
日本赤十字社に嘱託職員として就職された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま。宮内記者会の質問へ文書で回答を寄せられ、そのお言葉が注目を集めた。愛子さまは、これまでもご自身のお気持ちを文章で率直に表現されてきた。そんな愛子さまが学生時代に綴られたお気持ちを紹介する。
ご就職先を選ばれた理由は「困難を抱えている方の力になれる仕事ができれば」
2024年4月1日、日本赤十字社の入社式を終えられた翌日の2日に宮内記者会の質問に文書で回答を寄せられた愛子さま。日本赤十字社を就職先に選ばれた理由を以下のように綴られた。

「私は、天皇皇后両陛下や上皇上皇后両陛下を始め、皇室の皆様が、国民に寄り添われながら御公務に取り組んでいらっしゃるお姿をこれまでおそばで拝見しながら、皇室の役目の基本は『国民と苦楽を共にしながら務めを果たす』ことであり、それはすなわち『困難な道を歩まれている方々に心を寄せる』ことでもあると認識するに至りました。
そのような中で、ボランティア活動を始め、福祉活動全般に徐々に興味を抱くようになりました。特にボランティア活動に関心を持つようになったのは、一昨年の成年を迎えての会見でも述べましたように、災害の被災地に赴き、厳しい環境の中でも懸命に活動を続けるボランティアの方々の姿をニュースなどで目にして胸を打たれたことや、中学・高校時代からの親しい友人が、東日本大震災の復興支援にボランティアとして携わってきており、その友人から活動の様子を聞いたことなどが大きなきっかけとなったように思います。
大学では福祉に関する授業を履修し、福祉活動への関心が増す中で、公務以外でも、様々な困難を抱えている方の力になれる仕事ができればと考えるようになり、大学卒業後は社会に出て、福祉関係の仕事に就きたいという思いを抱くようになりました」

成年皇族となった際に開かれた記者会見でも、愛子さまは「上皇陛下が折に触れておっしゃっていて、天皇陛下にも受け継がれている、皇室は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にしながら務めを果たす、ということが基本であり、最も大切にすべき精神であると、私は認識しております」と話されている。
改めて、今回の文章回答で“皇室のあり方”について触れられたのは、愛子さまの新社会人、成年皇族としての覚悟が感じられる。




また、ご結婚については「両親から具体的なアドバイスを頂いたことは特にございませんが、両親のようにお互いを思いやれる関係性は素敵だなと感じます」と回答され、ネットでは、ご両親を「素敵」と表現されたことに、称賛の声が上がった。
今回、愛子さまが寄せられた回答が話題になったのは、「困難を抱えている方の力になれる仕事ができれば」と相手を思いやるお気持ちや、ご両親を尊敬されるお気持ちなど、優しいお人柄が伝わる文章だったからだろう。
「動物との絆は素晴らしいもの」初等科の卒業文集で動物愛を綴られる
愛子さまは学習院初等科の卒業文集で、可愛がられているペットとの暮らしについて書いた「犬や猫と暮らす楽しみ」と保護犬と保護猫について書いた「動物たちの大切な命」という作文を書かれている。
「犬や猫と暮らす楽しみ」は《私は、飼っている犬や猫と過ごす時が、一日の中で心が和む楽しい時間です》と書き出され、保護犬の愛犬・由莉が登場する。その一部は以下のように綴られている。

《成犬となった今も、子犬の時と同じように、家族が帰って来ると、しっぽを振りながらおもちゃをくわえて走り周り、喜びを表現しようとしています。》
《特に由莉は出された指示に従う時には、得意そうに目を輝かせてこちらを見て、とても可愛いです。》
天皇ご一家は、これまで保護犬と猫を飼われてきた。愛子さまは「動物たちの大切な命」というタイトルの作文で、動物への思いを綴られた。(以下は一部抜粋)。
《私の家では、犬を一頭と猫を二頭飼っています。みんな保護された動物です。前に飼っていた二頭の犬も保護された犬でしたが、どのペットも、可愛がって育てたらとても大切な家族の一員になりました。動物がいることで癒されたり、楽しい会話が生まれたりして、人と動物との絆は素晴らしいものだと実感しています。私が飼っている犬は、病院に入院している子供たちを訪問するボランティア活動に参加し、闘病中の子供たちにもとても喜ばれているそうです。》
“人の役に立ちたい”というお気持ちは、幼い頃からボランティア活動をする動物と暮らしていたことも影響されていたのかもしれない。




































中等科の卒業文集では平和を願うお気持ちを表現
学習院女子中等科の卒業文集では、修学旅行で原爆ドームや広島平和記念資料館へ訪れた際に感じたことを綴った作文「世界の平和を願って」を書かれた。
文末では、《何気なく見た青い空。しかし、空が青いのは当たり前ではない。毎日不自由なく生活ができること、争いごとなく安心して暮らせることも、当たり前だと思ってはいけない。なぜなら、戦時中の人々は、それが当たり前にできなかったのだから。日常の生活の一つひとつ、他の人からの親切一つひとつに感謝し、他の人を思いやるところから「平和」は始まるのではないだろうか。
唯一の被爆国に生まれた私たち日本人は、自分の目で見て、感じたことを世界に広く発信していく必要があると思う。「平和」は、人任せにするのではなく、一人ひとりの思いや責任ある行動で築きあげていくものだから。
「平和」についてさらに考えを深めたいときは、また広島を訪れたい。きっと答えの手がかりが何か見つかるだろう。そして、いつか、そう遠くない将来に、核兵器のない世の中が実現し、広島の「平和の灯」の灯が消されることを心から願っている。》と綴られている。
幼い頃から文才を発揮されていた愛子さまは、初等科では動物愛が伝わる卒業文集をご執筆、中等科では「他の人を思いやるところから『平和』は始まるのではないだろうか」と他人を思う大切さを綴られ、今回の文章回答では「困難を抱えている方の力になれる仕事ができれば」という優しいお気持ちを明かされた。
それぞれテーマは違うが、長年にわたり、共通して「愛」や「思いやり」を表現されていた。日本赤十字社では青少年ボランティア課に配属された愛子さま。今後、その優しいお気持ちが職場で生かされるに違いない。








































































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