
冬の食卓に欠かせない鍋料理ですが、全国には夏こそおいしい鍋料理が。いまが旬の野菜に肉や魚を加えれば、栄養満点でヘルシー。あまり知られていない、地元ならではのツウな作り方や味わい方は必見。各地の名産品の新たな魅力に出会えるアツアツの鍋で、体の中から元気になって、猛暑を吹き飛ばそう!
じゅんさいはサッと火を通し、つるりとした食感を楽しむ。秋田「じゅんさい鍋」のレシピ
水がきれいな秋田・三種町の名産品として知られるじゅんさいは、この時期ならではの鍋の具材として地元で親しまれている。

「生のじゅんさいは加熱すると鮮やかな緑色になることから『食べるエメラルド』と呼ばれています。きりたんぽより手軽な“だまこ餅”を入れれば、秋田名物が自宅でも作れますよ」(『三種町観光協会』副会長・三浦基英さん・以下同)
じゅんさいのツルツル、プチンとした食感がやみつきに。
「淡泊なじゅんさいは比内地鶏の脂や、味に深みがあるきのこと相性抜群」。
《材料》(2〜3人分)
生じゅんさい…300g 鶏がらスープ…5カップ 温かいご飯…200g
【鶏団子】鶏ひき肉…200g 卵…1個 パン粉…大さじ1 酒…小さじ2 塩…少量
まいたけ…1パック えのきたけ…1/2株(100g) ごぼう…1/4本(60g) しらたき…100g 水菜…1/2束
【A】しょうゆ…大さじ4 酒…大さじ1 砂糖・みりん…各小さじ2
《作り方》
【1】ボウルに鶏団子の材料を入れ、粘り気が出るまでよく練り混ぜる。きのこは小房に分ける。水菜は5cm長さに切り、ごぼうはささがきにする。
【2】すり鉢にご飯を入れ、米粒の半分が潰れるくらいまですりこぎで潰す。ゴルフボールくらいの大きさになるよう、手で転がしながら丸める。
【3】鍋に鶏がらスープを入れて煮立て、きのこ、ごぼう、しらたき、スプーンで成形した鶏団子を加える。鶏団子に火が通ったら、【A】を入れて混ぜ、【2】を入れて2分ほど煮たじゅんさい、水菜を加えて1分ほど加熱する。
《Point》米をゴルフボール大に丸めただまこ餅

米は、熱いうちに米粒の半分が残るくらいにすり潰す。

粘り気が出たら、ゴルフボール大に丸めてだまこ餅の完成。
◆教えてくれたのは:『三種町観光協会』副会長・三浦基英さん

『森岳じゅんさい鍋倶楽部』の設立に関わり、「じゅんさい鍋セット」の販売・PRを行うなど、地元名産品の普及に努める。
柑橘たっぷりポン酢でコク旨鍋を爽やかに。福岡「水炊き」のレシピ
水炊き発祥の店の4代目・林田龍樹さんは「スープが主役の水炊きですが、当店の味の決め手はポン酢」と話す。

「今回は2種の柑橘を使った夏らしいポン酢を考案。通年提供している水炊きですが、疲労回復効果のある鶏肉は夏にもってこい。野菜を加える前に、鶏の旨みとコラーゲンたっぷりのスープをぜひ味わってください」(林田さん)
手羽先のだしは旨みが濃く、身も柔らか。爽やかなのにまろやかなポン酢と共に夏の疲れた体に染みるおいしさ。

冷たくして食べるイメージの強いくずきりは、水炊きのスープとも好相性。見た目も涼やか。
《材料》(2〜3人分)
鶏手羽先…8本 鶏もも肉…1枚(250g) 水…1と1/2カップ
【鶏団子】鶏ももひき肉…200g 玉ねぎ(みじん切り)…1/3個(50g) 卵…1個 パン粉…大さじ1 酒…小さじ2 塩・こしょう・練り辛子…各少量
キャベツ…1/4個 まいたけ…1パック 絹ごし豆腐…1丁 塩…少量
【ポン酢】濃口しょうゆ・薄口しょうゆ・穀物酢・グレープフルーツの搾り汁…各1/4カップ すだちの搾り汁…3個分
《作り方》
【1】ボウルに鶏団子の材料を入れ、粘り気が出るまでよく練り混ぜる。野菜と豆腐は食べよく切る。ポン酢の材料をよく混ぜておく。
【2】鍋に鶏手羽先、水を入れて煮立たせ、あくを取り除きながら30分ほど煮る。水が減ったら適宜(分量外)足す。鶏もも肉を加えてさらに10分煮る。
【3】【2】にスプーンで成形した鶏団子、野菜、豆腐を入れて5分ほど煮る。器に盛って塩を加えて好みの味に調え、ポン酢をつけて食べる。
《Point》柑橘果汁の使い分け

ポン酢にグレープフルーツ果汁を加えることで、すだちの酸味の角がとれて食べやすい味わいに。

ポン酢にライムを搾って、キレのある爽やかさをプラス。シメに加えたくずきりがツルッといける。
◆教えてくれたのは:『博多水たき発祥の店 水月』4代目 林田龍樹さん

店では手間をかけてとったスープを3段階で味わい、具材を秘伝のポン酢につけて楽しむ。元祖のこだわりの味にファン多数。『博多水たき発祥の店 水月』福岡県福岡市中央区平尾3-16-14 http://www.suigetsu.co.jp
ていねいにとっただしに京都の美食を合わせて。京都『はも鍋』のレシピ
開催と同時期に旬を迎えることから『祇園祭』は別名『はも祭り』とも呼ばれるほど、はもは夏の京都に欠かせない。
「食べると体力がつき、夏バテ予防になると言われています。あらでとっただしに昆布とかつおのだしを合わせ、風情のある味わいに」(『瓢嘻』総料理長・橋口定敏さん・以下同)

紹介するのは、ふわふわのはもを上品なだしで味わう鍋。
「水の分量をあえて少なくして玉ねぎの甘みをいかしただしは、豚肉ともよく合います」
《材料》(2〜3人分)

はも(骨切りされたもの)…500g 豚ばら肉(薄切り)…200g 玉ねぎ…1個 絹ごし豆腐…1丁 九条ねぎ…1/2束 しいたけ…3個 もち麩・赤こんにゃく…各適量
【A】だしパック…1個 昆布…適量 水…5カップ
白身魚のあら・塩…各適量
【B】白ねぎの青い部分…適量 水…3と1/2カップ 酒…1/2カップ
薄口しょうゆ…約2/5カップ(70ml) みりん…大さじ2 酒…小さじ4
《作り方》
【1】鍋に【A】を入れて煮立ったら弱火にし、昆布とだしパックを取り出す。
【2】白身魚のあらは熱湯(分量外)をかけ、塩を振って焼き目をつけ、【B】と共に別の鍋に入れてあくを取りながら30分ほど煮る。
【3】【1】に【2】のだし汁2と1/2カップ、酒、みりん、薄口しょうゆの順に加えて混ぜる。煮立ったら、食べよく切った玉ねぎ、しいたけ、豆腐、もち麩、赤こんにゃく、九条ねぎの順に入れてはもを皮目から加える。好みで豚バラ肉を入れる。
《Point》雑炊でシメ!

白身魚のあらはていねいに下処理して、30分煮てだしをとる。

梅肉がはもの味を引き立てる。ゆずこしょうがアクセント。

シメはご飯と溶き卵を加えて雑炊に。
◆教えてくれたのは:『瓢嘻』総料理長・橋口定敏さん

店では『はもの出汁しゃぶ』が10月20日頃まで味わえる。『瓢斗オンライン』ではブランド豚と骨切りされたはものセット(8000円~)が購入可。『京都 瓢嘻 銀座本店』東京都中央区銀座7-16-14 銀座イーストビル1F、2F
※店のレシピは家庭用にアレンジしたもので、提供される料理とは異なります。
取材・文/勅使河原桜 撮影/鈴木江実子、市瀬真以
※女性セブン2024年8月22・29日号