全国ご当地おでんは、地元食材を活かした個性派が勢揃い。人気の高い8都府県のご当地おでんを紹介します。いつもとは違うおでん作りを試したり、今まで入れたことのない具材をプラスしたりと、アレンジの参考にぴったり。
全国のおでんに詳しい料理のプロも、ご当地おでんを知ることはアイデアを得るのに最適だという。
「おでんは驚くほど地域性に富んでいます。香川ではうどんのつゆを使い、鹿児島では豚のだしがベースに。しょうがや辛子の入った独特のみそだれをつけて食べる地域は全国に多く、手軽に味の変化を楽しめるのでおすすめですよ」(料理研究家・渡辺あきこさん・以下同)
秋田県|大きなちくわが鎮座
甘めのつゆが染みた大きなちくわが特徴。

だし:甘めの煮物風
具材:白こんにゃく、ちくわ、さつま揚げなど
つゆは煮干し、昆布、干ししいたけのだしに、しょうゆ、酒、砂糖で甘めの味付け。「地元の山菜『ニオサク』を入れるところもありますが、アスパラガスやわらびで代用しても。味がしっかり染みているのが秋田風」。
石川県|魚介と車麩が華やか
澄んだ昆布だしに魚介と車麩が華やかな贅沢おでん。

だし:昆布のあっさり味
具材:車麩、赤巻き、つぶ貝、ぎんなん、など
京都に影響を受けている金沢おでんは、やさしく上品な味わい。大きな車麩や、煮物と相性のいいつぶ貝やバイ貝が入るのも特徴的。金沢のおでん専門店では、カニ面(カニの甲羅にカニ身を詰めたもの)が有名。赤巻きがない場合はかまぼこ(紅)で代用してもOK。
東京都|ちくわぶが欠かせない昔懐かしい味
もちもちのちくわぶは東京のソウルフード!

だし:濃口しょうゆとかつおぶし
具材:ちくわぶ、すじ、はんぺん、つみれなど
つゆは濃口しょうゆにかつおぶしを効かせた、昔懐かしい味わい。すじは、魚のすり身に鮫の軟骨や筋を加えて蒸したもの。欠かせないちくわぶは、煮る前に一度下茹でをすると粉っぽさが抜けて食感がよくなる。「東京風おでんには、しょうゆで炊いた茶飯がよく合います」。
愛知県|八丁ミソの風味が具材と合う
濃厚なのにまろやかな八丁みそのコクが具材に絡む。

だし:八丁みそ
具材:角麩、豚もつ、など
八丁みそと砂糖の、甘辛い味付け。愛知にはみそで煮込むおでん、みそをかけるおでん、だしで煮るおでんの3種類がある。もちもち食感の角麩は生麩の一種で、八丁みその風味と相性がよく、欠かせない存在。ちくわぶで代用しても◎。

大阪府|薄口しょうゆで甘めの味付け
たこと牛すじの旨みたっぷりのだしが決め手!

だし:昆布、かつおぶし、薄口しょうゆ、鶏だし
具材:たこ、牛すじ、平てん、など
関西の定番調味料、薄口しょうゆを使ったやや甘めの味付け。かつては鯨を入れることが多かったが、手に入りにくくなったため、牛すじや鶏肉でコクを出す家庭が増えた。じゃがいもも人気の具材。

香川県|讃岐うどん店で食べるのが主流
うどん店でおでんを楽しむのが地元のスタイル。

だし:いりこ、昆布
具材:白天、牛すじ、里芋、など
讃岐うどんの店にはおでんコーナーがあり、2種類のみそだれ(白みそと辛子、赤みそと砂糖で作る)をつけて食べるのが地元流。串に刺してあるため、先にこんにゃくをつけて種が抜けない工夫がされている。香川名産の練り物である白天は、さつま揚げで代用しても。
福岡県|春菊がおなじみの具材
肉も野菜もしっかり摂れて栄養バランス◎

だし:かつお、昆布
具材:ロールキャベツ、もち巾着、春菊、牛すじ、など
春菊は西日本ではおなじみのおでん種。昆布のあっさりだしに、鶏ひき肉の入ったロールキャベツを加えてコクをプラス。「博多では餃子を魚のすり身で巻いた練り物『餃子巻』も有名。手に入らないときは市販の餃子を加え、2~3分煮るといいですよ」。

鹿児島県|つゆのベースは豚肉
甘めの麦みそと豚の旨みが絶妙にマッチ!

だし:豚骨、昆布、麦みそ
具材:スペアリブ、大豆もやし、いわし棒天、厚揚げ など
名産である豚がつゆのベース。九州で好まれる、甘く風味豊かな麦みそで味付けをする。大豆もやしは食べる前にさっと加熱。鹿児島はさつま揚げの種類が豊富で、いわしを小骨ごとすり潰した『いわし棒天』はカルシウムもたっぷり。
教えてくれた人:料理研究家・渡辺あきこさん
テレビ、雑誌で和食を基本とした家庭料理のレシピ提案を行う。全国各地に足を運んで郷土料理を研究し、講演会などでも活躍。

撮影/玉井幹郎
※女性セブン2021年1月1日号
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