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《60才から貯金2000万円への道》「新NISA」でどんな投資信託を選べばいい?分散投資の理想的な割合は?マネーのプロが解説

一万円札の束や、外国紙幣が散らばっている
諦めるのはまだ早い。60才のいまから2000万円貯金実現のコツとは?(写真/PIXTA)
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世帯主が60代の世帯における貯蓄の中央値は「700万円」(政府の最新調査)──世間を驚かせた「2000万円問題」は、いまだ解決する兆しをみせずにいる。だが、不安に思う必要はない。60才のいまからでも遅くない、貯金2000万円のつくり方をプロがわかりやすく解説。

値上げラッシュに景気の低迷、増税も?トリプルパンチでも諦めなくていい

今年も「値上げの秋」がやってきた。今回は食料品2911品目に加え、郵便料金や火災保険料なども値上がりしている。

また9月27日に自民党総裁選挙にて石破茂氏が当選するやいなや、為替は1ドル=142円台まで急落し、首相就任後初日の30日、株式市場は1910円もの“暴落”をみせた。さらに一部では「新首相は来年以降、消費税15%の方針を打ち出すのではないか」とも噂されている。

値上げラッシュに景気の低迷、さらに増税のトリプルパンチが現実のものになれば、老後の暮らしはお先真っ暗。特にいま、老後資金がない人たちは、この先どう生きればいいのか──だが、諦めるのはまだ早い。

マネーのプロと、60才からの資産運用での「成功者」たちが身をもって教える「60才から2000万円」のつくり方に耳を傾け、実践してみてほしい。

ほったらかしでもいい

今年、元本1500万円に運用益500万円を合わせて2000万円を達成した個人投資家のカズターンさん(60才)が投資を始めたのは、57才で勤め先を退職した3年前のこと。

リビングで緑の通帳を持っている女性と男性がダイニングテーブルに腰掛けている
60才からでも2000万円の貯金は可能か(写真/PIXTA)
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「退職金や貯蓄から、当面使う予定のない1000万円を元手とし、アメリカの大企業500社の株価指数である『S&P500』に連動する投資信託に毎月10万円、また安定した配当金がねらえる高配当ETF(上場投資信託)に最初は10万円、慣れてきたら毎月100万円ずつと、徐々に資金を増やしました」

都内で自営業を営むKさん(60才)は、新NISAのつみたて投資枠(上限年120万円)と成長投資枠(同240万円)をほぼフル活用している。最初に設定さえすれば、ほったらかしでも貯まっていくので楽チンだ。

「貯蓄からは500万円を成長投資枠に入れ、毎月の収入からは月5万円ずつつみたて投資しています。15年後には2000万円に到達する見込みです」

家計再生コンサルタントの横山光昭さんが話す。

「女性の健康寿命である75才を“ゴール”とすると、60才から残された運用期間は15年間。新NISAのつみたて投資枠で利回り3%なら、毎月8万9000円を積み立てればいい。

もしくは、60才時点で成長投資枠で240万円を一括投資して利回り5%で運用。足りない分をつみたて投資枠で利回り3%で運用できるとすれば、月の積み立ては6万7000円で済む。夫婦2人で半分ずつ出し合うなどすれば、さほど無理をしなくても『60才から2000万円』が見えてくるはずです」

「インデックス型」なら間違いなし?

限られた資産の中から毎月小さくない金額を投じる以上、投資先は慎重に選びたい。まず挑戦すべきはやはり新NISAだ。

「新NISA」のほったらかし投資でも2000万円はつくれる!ことを示すグラフ
「新NISA」のほったらかし投資でも2000万円はつくれる!
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「新NISAでの主な投資先となる『投資信託』は、優良企業に手軽に分散投資でき、リスクを抑えられます。下落時もカバーされやすく、基本的にはほったらかしでいいうえ、運用益が非課税になるのが大きなメリットです」(横山さん)

新NISAでは、つみたて投資枠で約300本、成長投資枠で約2300本もの投資信託があるため、その中からどれを選ぶかが重要だ。『50歳ですが、いまさらNISA始めてもいいですか?』の著者でファイナンシャルプランナーの鬼塚祐一さんが言う。

「基本は、『信託報酬(運用コスト)』が安い『インデックス型』ファンドの中から選ぶこと。

具体的にはeMAXIS Slimシリーズの『国内株式(TOPIX)』『先進国株式インデックス』『先進国債券インデックス』『国内債券インデックス』の4本です」

インデックス型とは、株式を中心に代表的な株価指数に連動した運用をめざす投資信託のこと。ほかにも、独自運用の「アクティブ型」や、株式以外に債券などにも分散投資できる「バランス型」などがある。インデックス型は比較的、信託報酬が安く、運用額の上下がわかりやすいため、投資初心者に向いているのだ。なかのアセットマネジメント代表の中野晴啓さんが言う。

「ここ20年ほどは相場環境が右肩上がりなので、インデックス型が市場全体のパフォーマンスに準じた運用成果を実現してきました。今後も長期的な経済成長が続く限りは、株式ファンドへの投資が合理的な選択でしょう。ただし、世界的にインフレが恒常化する構造変化の中で、とりわけインフレに強い企業を選び抜くアクティブファンドがインデックス型を凌駕するだろうと考えています」

いまは「オルカン(全世界株式)」や前出の「S&P500」が人気だが、これらは米国株が中心なので分散効果が薄く、為替の影響をダイレクトに受けてしまう。そのため、投資信託でも、日本株や債券などにも幅広く資産を振り分けたい。

「理想的な割合は、先進国債券40%、日本債券20%、日本株20%、先進国株20%の4資産。70代になったら債券の割合を7割に増やすなど、よりリスクの低い債券の割合を『年齢と同じ』にするのが基本です」(鬼塚さん)

※女性セブン2024年10月24・31日号

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