上方落語の大物・桂雀々氏(享年64、本名・松本貢一)が20日に死去したことが明らかにされた。10月下旬に倒れ、持病の糖尿病の治療も続けていたが、容態が悪化したという。
山下達郎、桑田佳祐ら大物との交流
「上方落語界の爆笑王」の異名も持つ雀々氏は飄々とした語り口と、師匠・桂枝雀譲りのオーバーアクションで落語界だけならず、地元・大阪の情報番組でも活躍。タレントとしても人気者となった。
2011年には芸歴45年を機に東京に移住。役者としても活動を始め、TBSの日曜劇場『陸王』(2017年)の銀行支店長役や、NHKBSプレミアムドラマ『贋作・男はつらいよ』(2020年)では主人公・車寅次郎を演じるなど、ドラマでも活躍していた。
そのため、私生活では大物芸能人との交流も多かった。落語関係者が明かす。
「ミュージシャンの山下達郎さん(71才)は、叔父の影響で寄席通いをしていたこともあり、雀々師匠のファンで、師匠の高座にゲスト出演したこともあります。
また、桑田佳祐さん(68才)とは40周年記念興行にゲスト出演してもらっただけではなく、プライベートで食事に行く仲です。
今年9月には、俳優の北村一輝さん(55才)が、『地面師呑みをした』と、ドラマの出演メンバーたちの他に雀々師匠との写真をアップしていました。そのほか、『贋作・男はつらいよ』で妹・さくらを演じた常盤貴子さん(52才)とも仲よしでした。非常に人懐っこく、すぐに相手との距離を縮められる性格で、それが誰からも好かれる理由だったのでしょう」
「母親が蒸発、父親は博打好き」の壮絶な
だが、そんな明るい性格の反面、壮絶な幼少期を過ごしたという。
「小学6年生の頃、母親が蒸発。父親は博打好きで、電気もガスも止められ、そこに、毎日のように借金の取り立て屋が来ていたのですが、『その相手に身の上を語ることで5000円をもらったと』いうエピソードはファンの間では有名です。その頃から、“話術”で身を立てる土壌ができていたのでは」(前出・落語関係者)
かつて、インタビューで「師匠から『噺家は60才からがスタートのような気がする』といわれたことがある。以前はわからなかったが、今『60才にしてやっとスタートラインに立った』と思う」と語っていた雀々氏。早すぎる死が悼まれる。