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【老後不安を乗り越えるための「自分年金」】資産を増やすなら外貨建てが有利でも、円建てのほうが安心感あり…「同時に活用」がベストな選択か iDeCoの受け取り方にも注意 

老後の不安を乗り越えるために、頼れるのは自ら運用する「自分年金」だ(写真/イメージマート)
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終わらない値上げラッシュのなかでの“トランプショック”──経済の先行きはますます不透明だ。食品やサービスだけでなく、医療費の値上げも続き、老後不安は増すばかり。年金の給付水準が年々減少する中、頼れるのは自ら運用する「自分年金」だ。

自分年金には、確定拠出年金(企業型・個人型)や、民間の個人年金保険などが挙げられる。いずれも自分で設定した金額を運用しながら積み立てていくが、個人型確定拠出年金(iDeCo)が国の制度であるのに対し、個人年金保険は民間保険会社の商品となる。

運用には攻めと守りの同時活用

自分年金を運用するにあたって商品を選ぶ際、最近は外貨建ての商品も人気だ。保険料を米ドルなどの外貨に換えて運用し、保険金は円または外貨で受け取る。ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが解説する。

「現在の日本の長期金利は約1%ですが、アメリカは約4%と金利が高い。外貨建ての商品は利回りが高いので、高い運用益が期待できます。ただし、為替リスクを伴うので、契約時より支払い時が円安なら利益が出ますが、円高なら為替差損が出ます。資産を増やすという意味では外貨建てが有利ですが、円建ての方が元本割れしない安心感があります」

ファイナンシャルプランナーの横川由理さんは、「両方を同時活用するのがいい」とアドバイスする。

「外貨建てを1万円、円建てを1万円など半分ずつにすることをおすすめします。米ドルが15年後の受け取り時に円高になっていれば、ドルのままとっておき、円安を待つ。ただし、満期後は自動的に円で支払われる保険もあるので、契約の際、為替手数料を忘れずに確認してください。さらに、据え置きができたり、外貨のまま支払ってもらえる保険会社を選ぶといいでしょう」

現役のうちに時間をかけて積み立てていくことが大切になる(写真/イメージマート)
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月々の保険料はいくらにすればいいのだろうか。飯村さんは、投資と個人保険は半分ずつにするのがひとつの目安だと話す。

「一般的には、手取りの1割くらいは将来への積み立てに回すのが理想です。30代、40代のかたは、これからさまざまなライフイベントがあるため、老後資金に向けた貯蓄までお金が回らないという人もいるかもしれません。しかし、現役のうちに時間をかけて積み立てていくことが大切です」

いずれの場合も、初心者ならまずはハイリターンを狙いすぎない安全運転がカギとなる。個人年金保険に加入する際は、運用期間が長期にわたるため保険会社の安全性を第一に考えよう。

「保険金の支払い能力を考えると、『BBB(トリプルB)』以上の格付けの保険会社を選ぶと安心です。保険を選ぶときは、総額で支払う金額と、受け取れる金額の確認も忘れないようにしましょう。総額に対して受け取る金額の割合を示した『返戻率』を確認して、納得したうえで契約してください。所得控除を利用予定の人は、『税制適格特約』がつけられるかどうかも確認しましょう」(飯村さん)

iDeCoの受け取り方には注意が必要

受け取り方もシミュレーションしておきたい。個人年金には、被保険者が亡くなっても一定期間に限って遺族が受け取れる「確定年金」や、生きている限り生涯受け取れるが、亡くなると受け取れない「終身年金」などいくつかのタイプがある。

「終身年金は一見お得そうですが、若いうちに亡くなってしまえば元をとれないリスクがあります」(横川さん・以下同)

一方のiDeCo(個人型確定拠出年金)は一時金として一括で受け取る、年金として受け取る、両者を組み合わせて受け取る3パターンがあり、それぞれ控除が異なる(別掲表参照)。

「公的年金をいくらもらうかで、課税対象となる金額が異なります。また、一時金でもらう場合も、高額な退職金をもらっていれば控除が受けられず課税されるケースもある。iDeCo以外にもらうお金のことを考えてよりよい商品を選びましょう」

公的年金に頼る老後設計が不透明ないま、「自助」が求められている。あらゆる制度への知識を蓄え、老後設計を無理なくたてよう。

個人年金・iDeCo・新NISAの違いとメリット、デメリット
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※女性セブン2025年5月1日号

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