
大河ドラマや朝ドラで輝きを放っていた俳優の自宅で、身元不明の遺体が発見された。奔放な恋愛が注目されたこともあったが、近年はあまりに“やせすぎ”な体形に心配の声も──愛憎相半ばする母との関係と摂食障害、彼女が抱えてきた孤独と最近の生活を徹底取材。
住人たちが感じていた彼女の異変
「部屋はエアコンがついていなくて、この猛暑で昼間は40℃近くに達していたとみられます。そのため、死後数日が経過した遺体はひどく腐敗が進んでいました。顔で人物を特定できる状態ではなく、DNA鑑定での身元確認が進められています」(警察関係者)
7月8日現在、この部屋の住人である俳優・遠野なぎこさん(45才)とは連絡が取れておらず、遺体は遠野さんの可能性が高いという。遺体に外傷はなく、事件性はないとみられている──。
都心の繁華街の喧騒から少し離れた住宅街に位置する、白いタイル張りのマンション。遠野さんの自宅兼事務所であるこの建物の周辺が騒がしくなったのは、7月3日夕方のことだった。
「エントランス前に救急車と消防車が止まり、中から隊員が飛び出してきたのですが、建物に入れなかったようなんです。
警察を名乗る男性が『連絡が取れない人がいるんです。オートロックを開けてくれませんか』とあまりに必死なので、開けてあげると、すぐに別のフロアから『ガラスを割れ!』という大きな声が響いてきました」(マンションの住人)
室内へとなだれ込んでいった救急隊員たちが目にしたのは、むっとする重くて熱い空気の中、横たわる人の姿だった。
「隊員たちが去った後も遠野さんの部屋があるフロアの廊下は、魚の腐ったようなツーンと鼻をつくにおいと、大量の消毒液のにおいが立ちこめて異様な雰囲気でした。においは数日経ったいまも残っていて、なんとかならないかと管理会社と話している最中です」(マンションの別の住人)
以前は、仕事へ向かう遠野さんのハイヒールの音が響いた廊下は静まり返っており、住人たちも彼女の異変を感じ取っていたようだ。
「ここ最近はとてもやせてしまっていて、最初は遠野さんだとは気がつかないくらいでした。ブログで公開しているやせ方ともまったく違います。ガリガリで骨と皮だけのような、まるで骸骨が長い髪のカツラをかぶっているようでした」(前出・マンションの住人)
長年苦しまされてきた摂食障害
NHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』、『未成年』(TBS系)と話題作に立て続けに出演した1995年、一躍脚光を浴びた遠野さん。数年の休養を挟んだ後、19才でNHK連続テレビ小説『すずらん』のヒロインに抜擢。大正の終わりに生まれ激動の人生を歩む女性を演じた。
影のある難解な役柄も物ともせず、その演技力で将来を嘱望されたが、周囲の期待とは裏腹に、話題になるのは“7股交際”など、過激な私生活ばかりだった。
「3度の結婚はいずれも短期間で破局しています。期間は、2か月、55日、2週間と芸能界最速を更新し続けるようなスピード離婚でした」(芸能リポーター)
奔放な男女関係で注目される間も、彼女は常に摂食障害に悩まされていたという。2013年にはそうした闘病や母親との確執を赤裸々に綴った自伝『一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ』(ブックマン社)を発表した。

「遠野さんは4人きょうだいの長女。女優志望だった遠野さんの母が19才のときに、彼女が生まれました。しかし当初、役者の夢を託したのは遠野さんではなく、下の弟や妹。遠野さんには外見を否定するような言葉を発し、さまざまな形で支配しようとしてきたそうです」(テレビ局関係者)
10代の頃から遠野さんが悩まされてきた過食嘔吐。“吐く”ことを教えたのもまた、母だったという。
「思春期を迎えた15才の遠野さんに、スリムなスタイルを維持するために2Lのぬるま湯を飲ませ、吐くことを教えたというのです。それが長年、遠野さんを苦しめる摂食障害のきっかけになったのだそう。後年、朝ドラのヒロインに選ばれる前の休養期間も、実際には摂食障害によるドクターストップだったことを明かしました。遠野さんは数年前のインタビューでも睡眠薬のオーバードーズやアルコール依存の経験を語っています」(前出・芸能リポーター)
廊下に積まれていた20個以上のゴミ袋
母親からの数々の虐待を告白してきた遠野さんは、その母親が2022年に自死したことも明かしていた。
「近年は自身の過去や病気のことまでさらけ出すスタイルが共感を呼び、バラエティー番組などに呼ばれることも増えました。しかし、彼女自身の体調不良は相変わらずで、周囲が心配するほどやせてしまい……次第に仕事も減っていったのです」(前出・芸能リポーター)
昨年9月には所属事務所を退所。連絡先を公開し、ほぼフリーの形で活動し始めた。前出のマンションの住人は当時の様子が印象深いという。
「独立してすぐの時期に、遠野さんの部屋からかなりたくさんの荷物が運び出されていて、最初は引っ越しされるのかなと思ったくらいなんですよ。清掃業者のかたが入っていたようで、廊下にはゴミ袋が20個以上あったと記憶しています。そのうちの3袋はビールの空き缶や、焼酎・ウイスキーなどの空き瓶が入っていました。オフにはすべてを忘れるようにお酒を飲んでいたんでしょうね」
昨年秋にレギュラー番組がすべて終了。生活の不安も抱えていたようだ。

「最近は、愛猫との生活などを綴るブログが主な収入源でしたが、それも充分な稼ぎとはいえなかったようです。そのブログでは、うつ病と診断されたことや、訪問看護の利用についても明かされていました。
遠野さんは長年、2匹の猫を飼っていましたが、2016年と2020年にそれぞれ看取っています。しばらくペットロスだった彼女が昨年4月、雄のラグドールと運命的に出会い、再び飼い始めたのです。最近も『猫のママとして長生きしなくては』と話していたんですけどね」(前出・テレビ局関係者)
遠野さんの愛猫は、救急隊員らが駆けつけたときも、部屋の中で遺体に寄り添うように過ごしており、そばを離れたがらなかったという。
かつて、遠野さんは本誌・女性セブンのインタビューに「お墓はいらない」と断言し、樹木葬への憧れを語っていた。
《20代で家族と絶縁していることもあり、祖先のお墓がどこにあるのかわかりません。自分ひとりのために墓石を建てる必要性を感じられないし、樹木葬ならば建てた後のお手入れも必要ないため、誰にも迷惑をかけないで済む。ペットと一緒に入れるところも多く、長年連れ添ってくれた猫とずっと一緒にいられる》(2021年5月20・27日号)
生きるよすがだった愛猫を残し、遠野さんはどこへ行ってしまったのか。
※女性セブン2025年7月24日号