
人生100年時代、65才まで定年延長する会社も増え、70才を超えても働くことが当たり前になっている。かつ現在は深刻な人手不足のため、女性の働き手を求める企業や職種は多いという。そんななか、“生涯現役”を目指す人たちはどんな職に就き、「働く」ことに何を求めているのか。
未経験でも問題なし。「対応力」が武器に!
60才以上女性の近年の就労状況について、インディードリクルートパートナーズ リサーチセンターの宇佐川邦子さんはこう語る。
「ファストフードや大型アパレル店などで、60代の元気な女性店員を見かける機会が増えたと感じませんか? これまでの経験を生かしたコミュニケーション能力が重宝され、多くの業種で採用に至っています」
2021年の高年齢者雇用安定法改正以来、シニアの就業率は右肩上がり。60代前半では7割、後半でも5割以上が仕事に就いていると宇佐川さん(「」内以下同)は言う。
「アパレルチェーン、ショッピングモール内の雑貨店といった小売業や宿泊業、そして飲食業で特に就業率が上がっています。飲食業では、調理や清掃などの裏方業務だけでなく、ホールなどでお客さまと直接かかわる業務での採用が増えているのが特徴です」
オンラインショッピングが浸透したいま、実店舗で買い物をする客の多くはシニア世代。そのため、接客側も同世代だとうまくいくと考えられている。
「専業主婦経験が長く、60才からの就職に不安を抱える女性は多いですが、ここ10年で労働人口の減少が深刻化。人手不足もあって、ブランクが長くても未経験でも“対応力”があれば、就労は困難ではありません」
雇用者がシニア世代に期待する役割に変化が起こる一方で、働く側は新たな仕事に挑戦するうえでどんなことを重視しているのだろうか。
「60才以上を対象にした弊社の調査によると、賃金や給与よりも、勤務時間や日数、勤務地を重視する人が多いことがわかりました。親の介護や孫の世話などさまざまな事情があるため、家の近所で柔軟な働き方ができるパートやアルバイトの雇用形態が都合よく、それも週3日×4時間程度を希望する人がほとんど。無理なく自分のペースで働く方が長続きするようです」
一方、フルタイムで働きたい人には、派遣社員という選択肢もあるという。
「受付業務やコールセンターなど、対応力が必要な場面で60代女性が活躍しています」とは、パソナマスターズ代表取締役社長の中田光佐子さんだ。
「健康のため、社会とのつながりのために仕事をする人が確実に増えています」(中田さん・以下同)
初心者でも、ブランクがあっても始めやすく、主婦スキルを生かせる仕事は豊富にある。まずは一歩を踏み出そう。

あなたはどっち向き?人気のお仕事比較!
シニア世代に人気の高い4つの職種。現場の意見をもとに比較した!
同じ飲食だがファミリーレストランとファストフード
・飲食店初心者ならファストフードから
「これらの業種は教育制度がしっかりしているので、初心者でも比較的安心して始められます。ただ、メニュー数が少なく、店舗が小さいファストフードから始めた方が、仕事を覚えやすいかもしれませんね」(宇佐川さん・以下同)
セルフオーダーや自動レジの導入で業務内容が簡素化し、どちらもシニア世代が働きやすくなっている。
同じ販売だがスーパーマーケットとコンビニエンスストア
・割引制度があるなどそれぞれに魅力が
2業種の最大の違いは売り場面積。健康のために体を動かしたいなら、スーパーを選ぶ手も。
「小さな店舗が主なコンビニと違い、スーパーは商品数が多く、生鮮食品も取り扱うため品出し業務はハード。一方、家計の助けとなる割引制度などスーパーならではのメリットも。総菜調理、ベーカリー、鮮魚、レジなど幅広い業務内容が選べるのもスーパーの魅力です」
シニア女性だからこそ需要が!活躍するシニア女性が多い仕事12
1日数時間からOK。主婦力や子育て経験を生かせる仕事が盛りだくさん!
スーパー&コンビニ
【時給】1287円(販売職全般)、1217円(コンビニ)
「総菜コーナーは主婦の経験が生かせる。アイディアが採用され商品化するケースも」(宇佐川さん・特記以外以下同)
コンビニは早朝の時給が高いので、早起きの習慣を生かし、早朝に短時間働く人も。
アパレル&量販店
【時給】1243円(アパレル)、1287円(販売職全般)
アパレルチェーン店、ドン・キホーテなどの大型小売店、ホームセンター、100円ショップなどでシニア世代の採用が増。
「シフトの融通がきくのが魅力。人とのコミュニケーションが得意な人におすすめ」
ファミレス&ファストフード
【時給】1248円(ホールスタッフ全般)
モーニングの時間帯は地域住民の憩いの場になっているファミレスもあり、常連との会話も楽しめる。
「70代で飲食店で働き始め、高校生の同僚と仲よくなるなど新しい出会いを楽しまれている人も」
レストラン&居酒屋
【時給】1249円(調理/見習い含む)
「かつてシニアは裏方の調理採用が多かったですが、いまはホール業務での採用が増えています。看板店員として活躍する人も」
調理希望の場合、調理師資格がなくとも調理補助で採用されるケースも。
一般事務・受付
【時給】1307円(一般事務)、1281円(受付)
経理や法務など専門知識がある人はブランクがあっても採用されやすい。
「建設や運送といった業態の募集でも、業務内容は事務であることも。職種ではなく、業務内容で仕事を探しましょう」
コールセンター
【時給】1290〜1730円(※)
「お客さまと電話で直接やりとりする業務のため、シニア世代ならではの傾聴力や対応力が求められます」(中田さん)
主にカスタマーサポートや世論調査などがあり、初心者でも採用されやすい。
マンションコンシェルジュ(管理人)
【時給】1300~1800円(※)
「首都圏各地のマンションコンシェルジュ業務にて、50~60代女性が活躍中です」(中田さん)
地域密着型の仕事で、お世話好きにぴったり。人から感謝されることがやりがいにつながる。
ガス器具点検
【時給】1400~1900円
4年に1度の点検が義務付けられている住宅専用のガス機器。近年、女性作業員の採用が拡大している。
「室内点検のため作業員が女性だと安心と、お客さまからお声をいただいています」(中田さん)
宿泊業
【時給】1258円(ホテルフロント) 、1292円(ホテルスタッフ)
「人口が少ない地方の温泉地では、従業員の高齢者率が4割を超えることも。特に仲居業務は慢性的な人手不足で、70代で活躍している人もいます」。レストランや売店スタッフも狙い目。
介護スタッフ
【時給】1343円
ヘルパー資格がなくても大丈夫。介護補助や清掃、調理など、幅広い業務で採用を強化中。
「就業先の介護施設が気に入り、一念発起して資格を取得する人も。キャリアアップしやすい職種です」
家事・育児サポート
【時給】1350円~(※)
自治体のほか、民間でも採用を強化中。主に未就学児のいる家庭を訪問し、料理や掃除などの家事サポートを行う。資格を必要とせず、育児や家事のスキルを生かして働ける。
家事代行
【時給】1600円~(※)
1回につき2~3時間の勤務が多い。料理の作り置き、掃除、高齢者の買い物サポート、子供の送迎などから選択できる。主婦として培った家事スキルを生かし、70代で活躍している人も。
※上記時給は目安。特記以外はリクルートグループ「2025年10月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査(三大都市圏)」より
※(※)はパソナマスターズ、パソナライフケア調べによる首都圏の時給。
取材・文/植木淳子
※女性セブン2026年1月22日号