健康・医療

《「かかりつけ医」の重要性》患者の「ストーリー」を知っているからこそできる適切な判断、しかるべき専門医の紹介も 例えるなら“医療の入り口”のような存在

頼りになる、かかりつけ医の見つけ方とは(写真/PIXTA)
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 体の不調を感じた際、頼れる病院はあるだろうか。医療の発達で、専門医の技術や治療法は格段に進化したものの、日常のちょっとした体の変化を正しく診てくれる医師がいなければ、専門医までたどり着かないこともある。人生100年時代には、あなたと家族の健康に寄り添ってくれる「かかりつけ医」が欠かせない。【前後編の前編】

「食欲がない」「いつもより血圧が高くてめまいがする」「急に耳が聞こえにくくなった」──年を重ねて増える不調。不調の部位や症状によって「どの病院を選べばいいのか」「どのお医者さんに診てもらえばいいのか」で悩む人は多いだろう。

 都内に住むAさん(62才・女性)もそのひとりだ。

「先日、急に耳鳴りがして、めまいや吐き気がして立っていられなくなりました。急いで近くの耳鼻科を受診したところ、加齢による難聴じゃないかと薬を処方されましたが、数日経って症状は悪化。熱も出てきたので、昔からかかっている内科を受診し、その際に耳のことも伝えたんです。

 そうしたら医師が、私の左耳がもともと聞こえにくいことを指摘して、逆の耳も難聴になっているのではないかと、総合病院に紹介状を書いてくれました。すぐに入院して点滴で薬剤を入れたら、2日目でめまいや吐き気がまったくなくなって。専門医よりも自分の体のことを知ってくれているかかりつけ医のありがたみを感じました」

自由に病院を選べることのデメリット

 Aさんのように昔からかかっている内科医がいればいいが、初めて受診する病院なら「本当に信頼できるのか?」という不安が募る。きくち総合診療クリニック理事長の菊池大和さんが「かかりつけ医の重要性」について話す。

「自己判断でいきなり専門の病院を受診すると、通常の体の状態がわからないことから、“専門外”の原因が見逃されてしまう可能性もあります。体の不調や変化を感じたら何でも気軽に相談できて、信頼のおける“かかりつけ医”を見つけることが、とても大切なのです」

 自分の体を守れるのは自分だけ――と思っていたら、それこそ命取りになりかねない。あなたと家族の健康と命を守ってくれる「理想のかかりつけ医」と「選んではいけない医師」の見極め方を徹底取材した。

 かかりつけ医とはどんな存在なのか。くるみクリニック院長の西村知香さんは「例えるなら“医療の入り口”です」と話す。

「健康診断の結果が思わしくなかった場合や風邪をひいたとき、体の違和感などでいつでも受診できる医師が『かかりつけ医』です。

 普段の血圧、血糖値や肝臓の数値など、その人の状態を把握しているので、不調について的確な判断を下しやすい。そして重大な病気の疑いがあったときにはしかるべき専門医を紹介してくれる。医療のとっかかりになる存在です」

頼りになるかかりつけ医・クリニックを見つけるチェックポイント
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 多摩ファミリークリニック院長の大橋博樹さんも、患者の「ストーリー」を知る医師が必要だと話す。

「血圧の数値が150mmHg、180mmHgなど基準値を上回る場合、普段の生活や既往歴、持病や服薬状況などは非常に重要な情報になります。昔から血圧が高い傾向にあっても元気なかたや、持病の薬で数値が高くなっている場合など、いろいろなケースがあります。

 そうしたストーリーを知っている医師がいるか、記録が残っているかどうかは命を左右する病気になった際にとても重要です」

 近年では、厚労省もかかりつけ医を持つことを推奨し、昨年4月には「かかりつけ医機能報告制度」が施行され、今年1月にはかかりつけ医の機能を備えている医療機関が、都道府県への報告を開始した。ティーズ内科クリニック院長の土山智也さんが言う。

「いまの日本の医療システムでは、まず小さなクリニック系の医療機関を受診してからでないと大病院に行けません。受け付けてもらえたとしても初診料プラスアルファの高額な費用がかかります。欧米では家庭医制度が確立していて、いったんはそこで診療してから専門医や大病院にかかる仕組みです。日本はそのような制度になっていませんから、誰もが病院を自由に選べるメリットがある半面、適切な医師に出会えるかどうかも本人次第です」

 また、かかりつけ医を持つことは、大きな病気を未然に防ぐことにもつながる。

「例えばかかりつけ医の場合、その患者さんに喫煙習慣があって、血圧やコレステロール値を下げる薬をのんでいることがわかっていれば、胸の痛みや頭痛の症状で脳血管障害や心血管疾患を疑い、MRIなど迅速な検査をすすめます。でも、初見の医師だったら最悪の場合、風邪の症状などと診断されて手遅れになってしまうこともあるのです」(土山さん)

(後編に続く)

女性セブン2026212日号