ライフ

清水ミチコさんの価値観を変えた“青春時代を捧げた人”「矢野顕子さんの『私だって“清水ミチコ”にはなれないよ』という言葉で吹っ切れた」

「ものまね女王」と称される清水ミチコさん
写真2枚

 黒柳徹子(92才)、桃井かおり(74才)、松任谷由実(72才)など、数多くの芸能人やアーティストのクセを巧みに掴み、「ものまね女王」と称される清水ミチコさん(66才)。彼女の人生に影響を与えたのは、膨大なものまねレパートリーのひとりでもあるシンガーソングライターの矢野顕子(71才)だ。

「高校1年生のときに矢野さんのピアノの弾き語りを聴いて“自由に歌うのは何てすてきなんだろう”と衝撃を受けて、“この人になりたい”と矢野さんのまねをするようになりました。まねているだけで、人生が華やかに彩られるような心地よい気持ちになりました」(清水さん・以下同)

 毎日学校から帰ると夢中になって矢野の“コピー”に明け暮れた。しかし、清水さんは友人に披露することなどはしなかった。

「私だけでなく、周りの友達も同じことをしていると思っていたんです。人に言わないだけで家に帰ると、みんな桃井さんやユーミンさんになりきっていると信じていました」

 ラジオ番組の構成作家からものまね芸、ライブと活動の幅を広げ、タレントとして人気を博す。40代になると、どこかから清水さんの噂を聞いた矢野から声がかかり、一緒に全国ツアーを回ることになった。

 しかし、憧れの人との夢のステージは、清水さんに大きなショックを与えた。

矢野顕子(右)とは食事に行くなどプライベートでもつきあいがある
写真2枚

「ステージにピアノを2台並べて2人で弾いたとき、矢野さんが手がけている芸術と私がやっている演芸の世界が全然違うものだとわかりました。似ている、似ていないの話ではなく、音楽の繊細さがまったく別物とわかってショックでした」

 どれだけ好きでものまねを練習しても、本人に近づくことはできない──その悔しさを矢野に伝えると、彼女はさらっとこう語った。

「私だって『清水ミチコ』にはなれないよ」

 青春時代を捧げた人の言葉が、自分の価値観を変えたと振り返る。

「あぁ、人は自分にしかなれないのだと初めて気づいて、自分らしく生きることが大事だと思いました。

 自分の人生は自分がいちばんよく知っていて、どういう欠点やよさがあるのか知ることも大事と気づいた。矢野さんの言葉で吹っ切れました」

 共演によって、矢野とは住んでいる世界が違うことを思い知ったが、同時に、自分の人生を素直に受け入れるようにもなった。

「“もっとお金持ちに生まれたかった”“美人がよかった”と隣の芝生は青いと感じる人は多く、自分もすぐにうらやましがる性質です。でも矢野さんの言葉で吹っ切れてから、何かあっても一呼吸おいて私の人生も捨てたものじゃないと思えるようになった。『人間が不幸なのは、自分が幸福であることを知らないからだ』という、文豪・ドストエフスキーの名言が身に染みるようにもなりましたね」

※女性セブン2026年4月16・23日号

関連キーワード