《検診はどんな基準で選べばいいのか》大腸がん「便潜血検査で陽性ならば内視鏡」、肺がん「低線量胸部CT検査は高リスクの人向け」、胃がん「選べるなら胃カメラ」…医師が解説

健康を維持するため、そして病気を早期発見するために受けるのが健康診断や人間ドック。だが検査にはメリットだけでなくデメリットもあり、受けたからといって安心とはいえない。日々医療と向き合う医師たちに、健康診断・人間ドックに関する最新事情を聞いた。どのような検査を受けるべきなのか──。【全3回の第2回。第1回から読む】
個別の検査はどんな基準で選べばいいのか
個別の検査はどんな基準で選べばいいのか。まず、2023年の日本人の罹患者数1位で、2024年の女性のがん死亡数のトップである大腸がんについて日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんが言う。
「大腸がん検査には便潜血検査と大腸内視鏡検査があり、どちらも受けることで死亡率が下がる科学的根拠があります。ただし、大腸内視鏡検査は精度が高く、ポリープの発見・切除が可能ですが、費用や体への負担が大きい。腸壁に傷をつけたり、穴をあけてしまう事例も報告されています。
一方、便潜血検査は便を採取するだけで手軽に受けられるので、基本的には便潜血検査を受けて陽性だった場合に大腸内視鏡検査を受けるのがいいでしょう。内視鏡検査は一度受けて異常がなければ、5年に1回程度で充分です」
医師の大脇幸志郎さんも続ける。
「便潜血検査が陽性なら内視鏡検査を受けるという順番は妥当と考えられます」
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック院長の石岡充彬さんは、便に血が混じっていたら内視鏡検査を受けるべきだと強調する。
「『痔のせいだろう』と自己判断して、あるいは『恥ずかしい』からと内視鏡検査を受けない人が非常に多い。結果的に数年間放置し、手遅れの状態で運ばれてくる患者さんを何度も現場で見てきました。
内視鏡検査は出血のないポリープを発見することができるので、40才を過ぎて一度も大腸内視鏡検査を受けたことがないなら、専門医のいるクリニックで受けて腸の状態を調べておくと安心です」

2023年の女性のがん罹患率が最も高い乳がんの検査は年齢によって選び方が変わる。常磐病院の乳腺外科医・尾崎章彦さんが説明する。
「40才以上の女性だと、2年に1回の頻度でマンモグラフィ(マンモ)が推奨されています。20〜30代の女性は、乳腺組織が厚くてマンモでは見つけにくい。一般的に、若い人には超音波(エコー)検査が適しています」
個人のリスクに応じて検査を考える必要があると続けるのは、アットホーム表参道クリニック副院長の宮尾益理子さんだ。
「母親や姉妹など近い血縁関係者に乳がん罹患者がいるなら、2年に1回のマンモでは不充分です。できれば毎年、超音波検査とマンモを併用した方がいい。
乳がんだけでなく、子宮頸がん検診をきちんと受けることも大切です。特に20代から子宮頸がんの罹患率は上がってきます。どちらも罹患率の高いがんですが、早期に見つかれば治癒率が高い。閉経したからもう検査は必要ないと考える人もいますが、乳腺や婦人科系の病気をチェックすることを忘れないでほしい」