
古今東西、家族関係の悩みはなくならず、とりわけ嫁姑問題は時代が変わってもなお永遠だ。実際の事件を紐解くと、深い憎しみが、一線を越えてしまう悲劇が明らかに──。
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瀬戸内海に面し、美しいビーチが有名な山口県南西部の町。その地で住民を震撼させる事件が起きた。2010年4月、木下雅代さん(仮名・78才)が自宅の浴室で頭から血を流して倒れているのを、訪ねてきた義妹が発見したのだ。
「雅代さんは何者かに首を絞められて殺害されていました。さらに、日常的に使っていたかばんがなくなっていたことから、警察は強盗殺人事件として捜査を開始。地域住民は予想だにしなかったことが起きて、疑心暗鬼に陥りました」(地元紙関係者・以下同)
強盗殺人事件によって地元の学校では部活動が中止され、教員は登下校時に見回りをすることに。現場付近の住民たちも来訪者に神経をすり減らすなど不安な日々を過ごしていた中、事件は急転する。
警察は現場の台所で雅代さんの血がついたパーカを発見し、自宅近くの資材置場では雅代さんのかばんや血のついたタオル、長さ20cmほどの裁ちばさみを見つけた。
「警察は遺留品のパーカの持ち主が犯人だとして捜査を進めました。そこで、重要参考人として浮上したのが、雅代さんの長男・和樹さん(仮名・55才)と20年前に離婚した山本美紀(仮名・53才)でした。美紀は事件当時、福岡県北九州市で内縁の夫とともに、和樹さんとの間に生まれた2人の子供と暮らしていました」
孫が不憫だと、多いときには10万円を送った
警察が遺留品のパーカに付着していた残留物をDNA鑑定した結果、パーカは美紀のものと判明。証拠を突きつけられた美紀は犯行を自供した。
「お義母さんにお金の無心をしたところ、断られたので腹を立てて首を絞めて殺しました」
なぜ20年前に別れた元嫁と雅代さんが、まだつながっていたのか。
「美紀は離婚後、たびたび“子供の養育費がほしい”と和樹さんと雅代さんにお金の無心をしていました。雅代さんは孫がふびんだと思い、事件が起きるまで多いときには10万円を送ったことがあるそうです。それに味を占めた美紀が、雅代さんからさらにお金をもらおうとして事件に発展したのです」
事件当日、美紀は雅代さん宅を訪問し、生活費を要求したが断られ激高。殺害したのち、自宅にある金目のものを奪おうともくろみ、金庫の鍵穴に裁ちばさみの刃を入れ開けようとしたが失敗。そこで財布の入ったかばんを持ち出し、現場から逃走した。財布の中身は現金250円のみだったという。
殺人と窃盗の罪に問われた美紀は法廷で「姑との確執があった。かばんは指紋がついたと思い持ち帰っただけで、お金は取っていない」と起訴事実を一部否認。争う姿勢を見せたが裁判が進むにつれ、美紀の残虐性が浮き彫りになる。美紀は雅代さんの頭を裁ちばさみで刺しただけでなく、左手中指を切断するなどの行為を行っていたのだった。
孫思いの母を、自己中心的な動機で元嫁に殺害された和樹さんは、法廷で「死刑に相当する刑をお願いします」と訴えた。しかし、美紀に下されたのは懲役17年の判決だった。
※年齢は事件当時。
※女性セブン2026年7月9・16日号