
2021年にコロナワクチンの接種が始まってから5年が経過した。国内でワクチンを1回以上接種した人数は、接種対象人口の8割を超え、私たちは完全に平穏を取り戻したように見える。多くの命を救った“救世主”だと評価される一方で、副反応やそれに伴う死亡例が報告され、いまなおその後遺症に苦しんでいる人々がいる。ワクチンは、果たして私たちの生活をどう変えたのか。ジャーナリスト・鳥集徹氏と本誌・女性セブン取材班がレポートする。【前後編の後編】
変わることのなかった政府の方針
副反応疑いや救済件数の多さだけでなく、コロナワクチンそのものの有効性自体を疑問視する声もある。免疫学者の東京理科大学教授・新田剛さんが話す。
「免疫学の有名な教科書では、『感染・発症予防効果が数年持続する』ことがワクチンの要件とされています。それなのに、接種開始後の方が陽性者数も死者数も増えた(別掲グラフ参照)。そのようなものを、ワクチンと呼ぶべきではないと私は思います。加えて、2021年の時点で、コロナウイルスは再感染することがわかっていた。『ワクチンで免疫をつけて新型コロナウイルス感染を防ぐ』という発想自体が、そもそも自然の理から外れていたのです」
また、コロナワクチンで健康被害が生じることは、その仕組みから充分に考えられると新田さんは続ける。
「後遺症と呼ばれる慢性症状の多くは、免疫系の異常だと思います。特にmRNAという遺伝物質を使うコロナワクチンは強力に免疫を活性化するので、特定の病気に対するかかりやすさなどといったもともとの素因が増強されて、何らかの自己免疫疾患を引き起こす可能性はあると思います。しかも最近になって、mRNAワクチンの体内での作用の仕方が、従来考えられていたものとは違うことを示唆する研究が学術誌に報告されています。
こうした新規の技術を、ほかに手段のないがんや難病の治療に使うのならわかりますが、若者や乳幼児にまで『大切な人を守るため』などと言って接種を推奨したのは間違いでした」
こうした批判に対して異を唱えるのは、接種開始直後、接種を推奨していた長崎大学高度感染症研究センター長の森内浩幸さん。コロナワクチンによって多くの命が守られたと強調する。

「高齢者が最初の2回の接種を済ませた時点で強毒のデルタ株の流行が到来。接種できた高齢者の死亡は抑えられましたが、接種が間に合わなかった壮年期のかたがたが自宅観察中に急激に悪化して次々と亡くなられました。もう少し早く接種が進んでいたら、犠牲者の数はもっと少なくて済んだと思っています」
ただし、接種を推進した政府や新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の方針には問題点もあったと森内さんは総括する。
「当初、新型コロナは若くて健康な人でも重症化がまれではなく、ワクチンには感染予防効果もありました。ですから、できるだけ多くの人に接種して流行を食い止めるという考えは妥当でした。しかし、オミクロン株になって、ワクチンの感染予防効果は極めて弱くなり、若くて健康な人の重症化もまれになった。つまり、接種の目的が流行の収束ではなく、ハイリスクの人を守ることに変わったのです。
しかし、政府や専門家会議、学会は、打ち出すワクチンの方針を当初の内容から変えようとしませんでした。接種の目的が変わったのに、そのことをしっかり伝えられなかった。権威ある組織ほどブレるのを嫌いますが、状況に応じて随時見直すべきだったと私は思います」
着目すべきデータがある。接種開始後の2021年から2023年にかけて、日本の死者数が急増し、超過死亡(過去のデータに基づき予測される死亡数を超える死亡)が見られたのだ(別掲グラフ参照)。コロナワクチンが原因と指摘する声も根強いが、医療社団法人悠翔会理事長の佐々木淳さんの見解は異なる。
「私はワクチンよりも、コロナ感染の拡大が直接的な原因だと考えています。実際、いくつか論文が出ており、2021年に日本の超過死亡が多かったのは、デルタ株の拡大による可能性が高いと結論づけられています。また、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の論文でも、各国の超過死亡はコロナ感染の直接死に加えて、医療ひっ迫や社会的影響を含むパンデミックの負荷として解釈すべきだとされている。超過死亡の原因をコロナワクチンとするのは科学的な裏づけがありません」