
熱中症による死亡者数は年々増えており、なかでも65才以上の死亡者数は85%を占める(「人口動態統計」の年齢(5才階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~令和6年)より)。環境省は「熱中症警戒アラート」を発表するなど対策をしているが、節電・節約のためにエアコンの使用を控える人はいまだに多いという。エアコンの使用を控えるのではなく、無駄な電力を使わないよう賢く使うのがおすすめだ。そこで、電気代節約につながる家電の使いかたを家電王の中村剛さん、AllAbout節約ガイドの矢野きくのさん、節約アドバイザーの丸山晴美さんに聞いた。
【冷蔵庫】冷蔵室の詰め込みすぎと無駄な開閉は控えること!
■温度設定をチェック
資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」によると、温度設定を「中」から「強」にすると電気代が年間約1900円以上高くなることも。冷蔵庫に「AI省エネ」や「節電モード」が搭載されているなら、それに任せてOK。
■ドアの開閉回数を減らす
「わが家では、家族がそれぞれ1本ずつ水筒を持つようにしてドアの開閉回数を減らしています。こまめな水分補給は熱中症の予防にもなるのでおすすめです」(丸山さん)
冷蔵庫内に何が入っているか一目でわかる配置の工夫も。
■冷蔵室は7割、冷凍室はパンパンに
冷蔵室に食材を詰め込んだ場合に比べて、半分にした場合の電気代は年間約1360円安くなるというデータもあるので、冷蔵室に入れる量は7割に。
「冷凍室は食材自体が蓄冷剤になるのでパンパンでOK」(中村さん)
■放熱スペースを確認
冷蔵庫は庫内の熱を外部に放出して冷却しているため、放熱ができないと庫内が冷えにくくなり、故障の原因にも。
「背面は壁につけても構いませんが、側面は0.5~2cm、上部は5~30cm以上あけること」(中村さん)

【洗濯機】本体価格と乾燥にかかる電気代を比較して選ぼう
■「お急ぎ」「スピード」コースを活用
お急ぎやスピードコースと標準コースを比較すると、標準はすすぎと脱水の回数が多いため、電気代が多くかかる。
■まとめ洗いで洗濯回数を減らす
毎日洗濯するのと1日おきでは、電気代+水道代に年間約4510円の差が生じるというデータも。できるだけまとめ洗いを。
■こまめにフィルター掃除を
洗濯槽にきれいな水を送るため、ゴミや沈殿物などを除去するのが給水フィルター。これが目詰まりすると、給水に時間がかかって洗濯時間が長くなるので電気代が高くなる。
故障の原因になることもあるのでこまめに掃除を。洗剤の入れすぎがフィルターの目詰まりを招くこともあるので要注意。
ドラム式洗濯乾燥機の比較(「HTBエナジー」ホームページより)
ヒートポンプ式
●本体価格 30万円~
●1回当たりの電気代(洗濯のみ)2円、洗濯+乾燥28円
ヒーター式
●本体価格 10万円~
●1回当たりの電気代(洗濯のみ)2円、洗濯+乾燥54円
浴室乾燥はコスト高に!
「浴室乾燥機を1日に5時間使うと、電気代は約185円(1190Wで試算※2)。1年では約6万7525円に。洗濯乾燥機を使うよりかなり高い。夏は自然乾燥などと組み合わせて節約を」(中村さん)
※ 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電気料金目安単価:31円/kWh
【調理器具】温める家電は電気消費量大。加熱調理は短時間で
■電気ケトル
ガスコンロは熱がやかんの脇から逃げてしまうが、電気ケトルはそうしたロスがない。
■電子レンジ
フラットタイプは食材を真ん中に、ターンテーブルタイプは外側に置くと熱伝導率がよい。
■炊飯器
保温が4時間を超えると電子レンジで温め直した方がお得になるので、保温時間はできるだけ短くする。
■ホットプレート
一気に調理して、調理時間を短くすること。保温はせず、蓋をして余熱で温めるのがおすすめ。
【ドライヤー】タオルドライで水分をよくふき取る
強風は1200W、弱風は600W、冷風は35Wが必要で、10分ずつ使用した場合の電気代はそれぞれ約6.2円、約3.1円、約0.18円に。
「タオルドライをしてから、強風で一気に乾かすのがおすすめ」(丸山さん)

【アイロン】薄手の服やハンカチは余熱を利用
「アイロンがけはできるだけまとめて行うのがおすすめ。厚手のものからかけて温度を下げていき、ハンカチや薄手のブラウスなどは余熱でかけましょう」(丸山さん)
ノーアイロンの服や素材を選ぶのも手。

【照明器具】蛍光灯の製造終了前にLEDに切り替えを
省エネ対策に加え、蛍光灯に含まれる水銀が環境や健康に悪影響を与えるとして、’27年末に蛍光灯の製造・輸出入が禁止される。LEDに切り替えた方が節電にもなる。
【電気代約2883円の節約】白熱電球を電球形LEDランプに
54Wの白熱電球から7.5Wの電球形LEDランプに交換(年間2000時間使用)。
【電気代約279円の節約】電球形蛍光ランプを電球形LEDランプに
12Wの蛍光ランプから7.5Wの電球形LEDランプに交換(年間2000時間使用)。
※資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」より
【テレビ】画面の明るさを調節するだけで節電できる
「いまのテレビは待機電力がかなり少ないので、こまめに切らなくても構いませんが、画面の明るさを下げると節約に。1割下げると、年間の電気代が約581円下がるというデータがあります」(中村さん)

【どう違う?】《扇風機VSサーキュレーター》役割の違いを理解して自分に合った「風」を選ぼう
扇風機とサーキュレーターは、どちらも風を送る機器だが、エアコンと併用するのはどちらが適しているのか。
「扇風機は、人に涼感を与えることを目的としているのに対し、サーキュレーターは強い風で空気を循環させ、部屋の温度を均一にするのが目的です。いずれもエアコンと併用して構いませんが、それぞれの特長を生かすとより効率的です。
たとえば部屋に複数人いる場合は、サーキュレーターで室内全体の空気を攪拌させるのがベスト。ひとりの場合は、扇風機を使うといいでしょう。就寝時の暑さ対策には、扇風機の静音かつやわらかな風の方が快適です」(丸山さん)
ただし、10年以上使用した扇風機は買い替えを。その場合、構造がシンプルで安価なのはAC(交流)モーター搭載モデル。DC(直流)モーターは省エネ・静音で回転数の多段階制御が可能だが、本体価格が高めだ。
扇風機は、経年劣化すると発火の危険性がある。ほこりがたまらないようにしよう。

◆教えてくれたのは:家電王・中村剛さん
東京電力エナジーパートナー勤務。2002年に『TVチャンピオン』スーパー家電通選手権で優勝。動画マガジン『くらしのラボ』をYouTubeとFacebookで毎週配信し、テレビや雑誌などでも暮らしに役立つ情報を発信している。
◆教えてくれたのは:家事アドバイザー・AllAbout節約ガイド・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭でできるSDGsを中心にテレビや雑誌で情報を提供。食育指導士の資格を持ち、食品ロス削減をテーマにした講演、時短家事術やシニア向けに家事のアドバイスなども行う。主な著書に『シンプルライフの節約リスト』(講談社)など。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん
2001年、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に合格し、そのほか、FP技能士2級、認定心理士、消費生活アドバイザーなど、多くの資格を持つ。著書に『お金を活かす ハッピーエンディングノート』(東京新聞)など。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2026年8月13日号