
ステージⅣの大腸がんに侵されながら、23才で娘を出産した遠藤和さん。闘病の末、24才でこの世を去った彼女の手記をもとにした映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日に全国公開される。和さんを演じた川口春奈(31才)と、妻を懸命に支える夫・遠藤将一さん役の高杉真宙(30才)に、撮影時の心境、モデルとなった和さん夫婦への思いを聞いた――。

「撮影中は、いつも和さんにパワーをもらっていました」――9月7日の舞台挨拶で、川口はそう口にした。川口が和さんと“出会った”のは、テレビ番組『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)だった。
川口「リアルタイムではありませんが、和さんと夫の将一さんが出演した『結婚式の旅』の映像を見ました。がんと闘病しながら、インタビューに明るく答えていて、そのときはとてもポップな印象を受けたんです」

映画オファーを受けた2人は『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』と向き合った。
川口「番組で見たのは、和さんのごく一面でした。日記にはがん告知から治療のプロセス、壮絶な闘病生活とともに、結婚や出産への覚悟や選択がリアルに書かれていて、和さんの意志の強さを感じました」
高杉「日記から和さんの素直さ、まっすぐさが伝わってきました。彼女の本音が詰まっていた。将一さんに対する率直な気持ちも書かれていて、“和さんにはこう見えていたんだな”と、演じるにあたって和さんの視点も大事にしました。将一さんに対する不満も赤裸々につづられていたけれど、和さんの愛情表現なんだなと心が温かくなりましたね」

撮影中には将一さんや、和さんの家族と対面する機会もあった。
高杉「映像で将一さんの動きや話すスピードなどは気にかけていましたが、直接お会いして、自分でも気づかない本質的な部分で演技が変わった気がします」
川口「ご家族の皆さんはすごくポジティブで、本当に素敵なかたがたでした。そんな皆さんに囲まれてきたからこそ、和さんの明るさや芯の強さが育まれたんだろうなと、演じる上でのヒントになりました。がん治療を中断してでも“ママになりたい”と覚悟した和さんに対して、最初はそれぞれ葛藤する気持ちがあったけど、最終的には誰も否定しなかった。和さんの生き方を何より尊重して支える、本当に素敵なご家族です。家族に愛されて育ったからこそ、愛する家族をつくりたかった和さんの気持ちがよくわかりました」

和さんが生まれ育った青森でも撮影が行われた。
高杉「青森は本当に素敵な場所で、八甲田ロープウェーの頂上は雲の上にいるかのような、気持ちが晴れる不思議な空間。ロケ地以外にももうちょっといろいろ歩き回ってみたかったですね。花の写真は撮ったんですけど、植物を見たり、動物の声なんかも聞きたいなって」
川口「本当にきれいな場所で、青森のかたがたが見ても、楽しんでいただける映像美も見どころです。現地エキストラのかたにもたくさん協力していただきましたし、あの空気の中で撮れたことは、何よりの思い出です」

家族の一帯感を強めたのはやはり「母」。
川口「和さん家族の温かくてアットホームな空気を、みんなで自然とつくり上げていきました。母親役の小林聡美さんが、作中の過酷な状況でも一貫してブレずに構えてくれていて、母の偉大さを感じました」
愛する人と、大好きな娘と賢明に生きた女性の物語は、私たちに前を向いて人生を歩く強さを与えてくれる。
川口「和さんというひとりの女性がいて、それを全力で支えた家族がいて、そこには前向きに愛にあふれた時間がたしかにありました。当たり前の何気ない日常のありがたみや、重みのようなものを感じとっていただけると思っています」
◆映画「ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記」
10月2日全国ロードショー
出演・川口春奈 高杉真宙
松本穂香 中島瑠菜 清水くるみ 笠原秀幸 豊本明長 一ノ瀬颯/星野真里 森田望智
デビット伊東/小林聡美
◆原作
小学館文庫『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』定価847円(10%税込)

取材・文/土屋秀太郎 ヘアメイク/高村三花子 スタイリスト/緒方なぎさ(サブレットプラージュ)(川口春奈) ヘアメイク/堤紗也香 スタイリスト/菊池陽之介(高杉真宙)
※女性セブン2026年10月1・8日号