《失敗例から学ぶ高齢者ホーム選び》入居後に脳梗塞で倒れて車いす生活になったら、施設側が「対応できない」と退去を要請…契約する際は“将来起こりうる事態”を想定することが重要

「最期の瞬間」を施設で迎える人は、この20年で約10倍に増えている。それだけ、高齢者施設を終の棲家とする人は増えているものの、選択を誤ることで、穏やかに安心して過ごすはずだった余生が暗転するケースも少なくない。実際に起きた失敗事例から、後悔しない高齢者ホーム選びのポイントが見えてきた。【全4回の第3回】
終の棲家のはずが、まさかの退去要請
吟味を重ねて、ここなら最期まで安心して暮らせると選んだ施設でも、思わぬ事態に直面することがある。
5年前に自身で施設に入居したCさん(78才)も、そのひとりだ。
「大きな不満もなく暮らしていたのですが、脳梗塞で倒れ、体にまひが残って車いす生活に。すると施設側から『いまの状態では対応できない』と退去を要請されました。入居一時金も戻ってこないと聞いて、途方に暮れています。
夫も亡くなり、頼れる身内もいないので、元気なうちに住まいを決めておこうと施設に入ったのに、どうやって次のホームを探せばいいのか……」

入居するときの体の状態で選ぶと“路頭に迷う”可能性がある。入居後に認知症が進行したり特別な医療が必要になることもあるため、契約前から将来起こり得る事態を想定しておきたい。介護・福祉ライターの浅井郁子さんはこう話す。
「契約時には重要事項説明書をしっかり読んで、退去事由、認知症になった際の受け入れ条件、医療サービスの有無などを確認してください。終の棲家にする予定なら、看取りの体制も必須です。入居一時金の償却や返金についても、不明点があれば質問しておきましょう」
「何でもできます」という施設の言葉をうのみにするのも禁物だ。N-TAKE代表取締役社長で老人ホームアドバイザーの伊藤直剛さんが指摘する。
「どの施設にもそれぞれ特徴があるので、どんなケアを得意とし、どう対応しているのかを具体的に聞いてください。本人にすでに認知症の症状やまひがある場合は、類似の実績があるか、どのような介助をしているかも確認すると安心です」
施設に入っても介護は終わらない
親と離れて暮らしている場合に悩むのが、施設の場所。住み慣れた親の地元か、離れて暮らす子供の近くにするかでは、どちらがいいのか。“施設に入れば安心”と地元だけを選択肢にするのは危険かもしれない。伊藤さんは、入居後に家族が担う役割まで考えて選んでほしいと話す。
「施設に入れば介護が終わるわけではありません。救急搬送時の対応や入院時の同意など、家族が対応することも多いので、家族内でも役割を事前に相談しておくことをおすすめします」
遠方の施設を選ぶなら、無理なく面会できるかどうかも重要になる。面会可能な時間、回数などの制限を契約前に確認しておこう。

(第4回に続く)
※女性セブン2026年10月1・8日号