「閉経なんてまだ先の話」と思いがちな30代後半~40代前半の女性に、更年期のような症状が出る人が増えているそうです。
プレ更年期障害と呼ばれるこのような不調は、ストレスや生活習慣の乱れが引き金になることもあるのだとか。更年期とプレ更年期の違いは? 症状を緩和させる方法は? 婦人科医で成城松村クリニック院長の松村圭子さんに、プレ更年期のしくみと快適に過ごすためのコツを教えてもらいました。
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プレ更年期障害とはこんなもの
文字どおり、更年期と同じような症状が表れます。のぼせ、ほてり、動悸、頭痛、生理不順、汗が止まらない、足腰の冷え。また、集中力の低下、無性にイライラしたり気分が沈んだり、寝付きが悪くなるということもあります。
体調が悪くても明確な病気がないため、ひとりで抱え込んでしまう人もいます。「疲れかな」とか「落ち込むのは自分の性格のせいかも」とそのままにせず、体と心の不調を感じたら、婦人科を受診してみてください。
そもそも更年期とプレ更年期は何が違う?
医学的な定義ではありませんが、30代後半~40代前半をいわゆる「プレ更年期」と呼びます。劇的に女性ホルモンが減る更年期と違い、この年代ではまだ女性ホルモン量がそれほど低下していません。それなのになぜ、更年期と似た症状が起こるのか? それは、ストレスや不規則な生活がもとで自律神経が乱れるからです。
◆プレ更年期世代は自律神経のバランスが崩れやすい
プレ更年期世代は、女性の心と体に負荷がかかる時期とタイミングが重なります。職場ではだんだんと任される仕事が多くなり、家庭では育児、子供の進学や、親の介護が始まる人もいます。昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大も、メンタル面の不安定さに拍車をかけるでしょう。
このように精神的なストレスや、疲れが原因で自律神経のバランスが崩れると、更年期と似た症状が出ることがあります。これが、プレ更年期障害が起こるしくみです。
ただし、女性ホルモンの分泌には個人差があるため、中には若くても女性ホルモンが減少して、プレ更年期障害になるケースがあります。気になるかたは、不調の原因がストレスなのか、ホルモン量の低下なのかを調べるのがおすすめです。
◆女性ホルモンの量は血液検査で簡単にチェックできる
女性ホルモンの数値は、血液検査で簡単にチェックできるんですよ。そのしくみを説明しましょう。
カギとなるのは、脳下垂体から分泌される「卵胞刺激ホルモン」(FSH)と、卵巣から分泌される女性の美と健康を守る「エストロゲン」(E2)という2つのホルモン。閉経が近づくと、エストロゲンが減少するため、「エストロゲンを出せ!」と指令を出す卵胞刺激ホルモンが増加していきます。そのため、血液検査で2つのホルモン数値を調べると、自分がプレ更年期なのか、すでに更年期の本番にはいっているのかがわかるのです。
女性ホルモンの数値はゆらぎが大きいので、一度の検査では診断が下せないこともあります。必要に応じて、期間をあけて何回か検査をすると良いでしょう。
プレ更年期を快適に過ごすためのコツ
自律神経を崩す原因のひとつに生活リズムの乱れがあります。不調が出やすいプレ更年期は、これまで以上に健康的な食事、運動習慣、良質な睡眠を心がけましょう。とはいえ無理は禁物。心の負担にならないよう、できることから始めるといいですよ。
◆ストレッサーを避ける
また、ストレスが不調の要因になることが多いプレ更年期を快適に乗り切るには、メンタルケアが重要に。イライラやモヤモヤの原因を解消することです。無理のない働き方を探る、心を乱す人とは距離を取る、ネガティブになりそうなSNSを遠ざける。ときにはストレスから逃げることも必要です。
◆リフレッシュ法を見つけて不調を緩和
もうひとつ大切なのは、自分に合ったリフレッシュ法を見つけること。アロマオイルや、マッサージ、ヨガなど試してみてはどうでしょう? もちろん、好きな映画を観る、カフェでのんびりするなどあなたの「したいこと」を楽しみましょう。
プレ更年期に自分なりの対策方法を身につけておけば、更年期本番を上手に迎えることができるでしょう。
教えてくれたのは:成城松村クリニック院長・松村圭子さん
まつむら・けいこ。1969年生まれ。日本産科婦人科学会専門医。成城松村クリニック院長。広島大学医学部卒業。広島大学附属病院などの勤務を経て、現職。若い女性の月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけ、アンチエイジングにも精通している。生理日管理を中心としたアプリ「ルナルナ」の顧問医。西洋医学のほか、漢方薬やサプリメント、各種点滴療法なども積極的に治療に取り入れている。著書に『10年後もきれいでいるための美人ホルモン講座』(永岡書店)、『これってホルモンのしわざだったのね』(池田書店)など多数。https://www.seijo-keikoclub.com/
構成/森冬生
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