寒い時期になるとスーパーなどでもよく見かける洋梨。和梨とは違った濃い甘みが好きな人も多いのではないでしょうか? 野菜ソムリエプロの福島玲子さんによれば、洋梨には熟したものを見分けるコツがあるそうです。その方法と、熟す前後で栄養価が変わる、洋梨の秘密も教えてもらいました。
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熟した洋梨の見極めポイント
洋梨は秋から冬にかけて旬を迎えるので、旬の今こそおいしく食べてほしいもの。そこで、甘く熟した洋梨を見極めるポイントから紹介します。
軸・香り・形の3つに注目
軸が少ししんなりと枯れたようになっているのが熟している証拠だといわれています。洋梨は追熟する果物なので、軸が青々としていたら、まだ食べごろには早いです。それと、軸のまわりがやわらかく弾力があるもの、香りが強くするものも、熟している洋梨といえます。
私がお会いした生産者さんから聞いた話だと、丸みを帯びているものより一般的に想像するひょうたんのような形をした洋梨のほうが味がよいそうです。そのほうが、ストレスなく育っている洋梨なので、しっかりと味がのっている傾向にあるとお話されていましたよ。
ル・レクチェは表面の色も見極めのコツ
種類によって旬の時期は異なります。中でもよく出回っているものは、ラ・フランスとル・レクチェの2種類でしょう。ラ・フランスは旬が10~2月、ル・レクチェは旬が11月下旬~1月ごろになります。
ラ・フランスは熟しても皮の色は変わらず緑色のままですが、ル・レクチェは熟すと表面が黄色っぽくなってきます。この色の変化も、熟したものを見分ける指標のひとつです。
栄養価が高い洋梨
和梨と同様に、たまった乳酸を分解する成分を含むため、疲労回復効果が期待できる洋梨。また、和梨に比べて食物繊維は約2倍と、体にうれしいフルーツなんです。そのほかにもたくさんある、洋梨のうれしい栄養価についてお話しします。
熟す前後で食物繊維の種類が変わる!
食物繊維を多く含む洋梨ですが、実は熟す前と後で食物繊維が変わります。熟す前は、不溶性食物繊維といわれる、水に溶けない食物繊維の量が多いんです。これは、水分を吸収してふくらみ、便のカサを増やして腸の働きを刺激するため、便通をよくしてお腹をきれいにする効果が期待できます。
熟して果実がねっとりとしてくると、この不溶性食物繊維が水溶性食物繊維に変わると言われています。水溶性食物繊維は、糖質の吸収をおさえたり、コレステロールを下げたりする効果が期待できる食物繊維です。
洋梨には美容にうれしい栄養素もたくさん!
洋梨は栄養価が高く、ビタミンEや銅なども含んでいます。フルーツで銅が摂れるって、意外ですよね。ほかにも、美白成分で知られるアルブチンや、抗酸化作用のあるポリフェノールのひとつであるフラバノールなどを含んでいて、実は美容効果が高いフルーツなんです。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持つ。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導など、多岐にわたって活動している。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ