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「お金持ち」が実践する部屋の片づけの極意 「隠す」「床に置かない」「壁に貼らない」

スッキリ片づいた部屋にするには「お金持ち」の部屋を参考に(Ph/PhotoAC)
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コロナ禍で在宅の時間が増え、家を快適な生活空間に保ちたいのに、片づかなくて困っている人も多いのではないでしょうか。これまでに2000軒以上の個人宅を訪問した片づけ・収納のエキスパートである広沢かつみさんは、著書『「お金持ち」が知っている いつも片づく部屋づくり』(青春出版社)のなかで、お金持ちのライフスタイルを真似することで、「片づかない暮らし」を変えることができると提案しています。では、具体的に「お金持ち」の家ではどんな整理・収納術を実践しているのでしょうか。広沢さんに聞きました。

「隠す収納」で出しっぱなしをやめる

「お金持ちの家に、生活用品がないわけではないですが、見事に目に見えるところに出ていることはありません。どこにあるかというと、扉つきの収納に隠しているのです。隠すだけなら、誰にでも真似できそうですよね」(広沢さん・以下同)

天井にロールスクリーンを設置

部屋をスッキリ、きれいに保つには、ごちゃごちゃとした生活用品が見えないことが大事だといいます。それには、「隠す」のがもっとも簡単。もちろん、扉つきの収納でなくても、「隠す収納」は実践できます。

「とあるご家庭では、扉1枚ずつの開閉が面倒だからと、大きな棚の天井にロールスクリーンをつけて、シャッターのように一気に開閉していました。日中の家事などをやっている間はあけたままにして、夜間や来客時などは閉めてスッキリ見えるようにしていました」

スペースに合わせた収納ケースを活用(Ph/PhotoAC)
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出しっぱなしのモノはまとめてしまう

そのようにして「隠す収納」を始めても、使う用があって一度出したものを「戻すのが面倒」と出しっぱなしにしては意味がありません。散らかさないためにはコツがあるそうです。

「日々使うモノ、出しっぱなしにしてしまうモノはまとめてしまうと良いです。収納スペースのサイズに入るカゴやケースを用意して、いつも出しっぱなしになっているものをまるまるとそのカゴやケースに入れて、ケースごと収納スペースにしまうのです。使う時はカゴやケースごと出す。収納スペースには、カゴやケースが1個入る場所をあけておきます」

そうすると、「出しっぱなしにはなっているけれど、実はずっと使っていないモノ」が目に見え、処分するか別の場所にしまうこともできます。

「床にモノを置かない」のが整理の基本

続いて広沢さんが挙げる「お金持ち」に共通するポイントは、「床にモノを置かない」こと。

「豪邸に限らず、『見える』床面積が広いのがお金持ちの家の共通点でもあります。住宅規模は平均より狭くても見える床面積が広い家と、大きな家なのに見える床面積が狭い家もある。モノを大切にする人ほど、床に置く行為をしない傾向があります」

「家が狭くて収納スペースがないから仕方がない」とあきらめてはいけないと広沢さんは指摘します。

「床面積は広げようと思えば誰でも広げられます。たとえば、玄関のたたきに靴を出しっぱなしにしない。玄関に段ボールやモノを置いておかない。リビングに鞄やランドセルといった荷物を置きっぱなしにしない。脱いだ衣服やほかの部屋から持ち込んだモノを置きっぱなしにしない……そうしたことに気をつけるだけで見える床は広がります」

お金持ちは床にモノを置かないという(Ph/PhotoAC)
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床にあるモノの収納場所を決める

それでもモノの片づけをなかなか実践できない人には、こんな方法がおすすめだそうです。

「口に出して『減らしてみるか!』と言ってみます。これは脳の仕組みを活用した、簡単な行動力アップの方法で、口に出した言葉に意識を向けることができます。

モノをつい1個置いてしまうと、その光景に慣れ、もう1個、さらに1個と増えてしまう。気づいた時には床はモノだらけ……。慣れはコワイもので、部屋がきれいであることにも慣れるし、散らかっている状態にも慣れてしまいます。同じ慣れるならキレイにしたいもの。収納場所ではない床にモノが置いてあること自体が不自然ですから、そのことに違和感を覚えてみることです」

そのための手順は、「床にあるモノの収納場所を決める。ずっと置きっぱなしのモノは、思いきって処分する」こと。床面積が広いと掃除がしやすい、という副次的な効果もあります。

「壁」をスッキリさせると部屋を広く感じられる

続いて広沢さんが注目するのは、「壁」です。

「お金持ちは、壁にカレンダーやお知らせなどの生活感があるものは一切貼っていません。壁にあるのは、『貼っている』のではなく、絵画や時計など『飾っている』ものだけ。それさえも壁にかけないで、大きな面全体をそのまま見せることでより一層広さを感じられる家も多くあります」

それに対して、カレンダーや絵葉書、写真などが貼られている家庭はどうでしょうか。

「床にモノが多々あると散らかって見えるように、いろんなモノが壁に貼られて賑やかな住まいが散らかって見えるのです。

まず、壁を見回してみましょう。貼る必要のないものははがします。『貼っておきたいけれど場所が違うほうがいいのではないか』と思うモノは移動させてください。絵葉書や写真などはバラバラと適当に貼らずにフレームに入れたり、細かいものを1か所にまとめて貼るなどすると、スッキリと見えます」

寂しければ一面だけ色を変えてみる(Ph/PhotoAC)
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寂しいなら壁一面だけ違う色合いにチェンジ

中には、壁に何も貼られていないことで寂しさを感じる人もいるかもしれません。

「その場合は、一面だけ違う色合いの壁紙にする、大きな観葉植物を置いてみる、一面だけ好きな写真や絵画を貼っていくのも良いかと思います。四面それぞれにいろんな色合いのものが貼られていると全体が狭く感じられるのでバランスには注意が必要です」

お金持ちが実践している「隠す」「置かない」「貼らない」部屋の整理・収納術。試してみる価値がありそうです。

◆教えてくれたのは:コレモッタ代表取締役・広沢かつみさん

コレモッタ代表取締役・広沢かつみさん
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収納コーディネートなどを手掛けるコレモッタ株式会社代表取締役。一般社団法人日本専門家検定協会代表理事。リフォーム雑誌の編集長を経て2010年に独立。新聞・雑誌の連載を含めて2000件以上の片づけ・収納相談を受ける。講演会やセミナー受講者は全国に2万人以上、中国・台湾・香港にも3000人以上いる。『玄関から始める片づいた暮らし』『服が片づくだけで暮らしは変わる』(いずれも青春出版社)など著書多数。https://ameblo.jp/koremotta/

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