
桃と比べると酸味が強く、食感もしっかりしているすもも。売り場にただよう芳醇な香りに惹かれながらも、どんなフルーツなのかあまり知らないという人も多いのではないでしょうか。旬の味覚としてチェックしておきたいすももについて、野菜ソムリエプロの福島玲子さんから教えてもらいました。
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おいしいすももの見分け方&保存法
すももは、日本すももとプルーンなどの西洋すももの総称でプラムとも呼ばれます。あまりなじみがない人もいるかもしれないですが、6~8月に出回る旬の短い果物なので、買うときの選び方や保存方法を知って、スーパーなどでぜひ手に取ってみてください。
「ブルーム=白い粉」が新鮮なすもものサイン
まず、皮にハリと弾力があるものが新鮮といえます。そして、果皮にブルームと呼ばれる白い粉がついているものを選ぶのがおすすめです。ブルームは果実から分泌される自然のろう物質で、水分の蒸発を防ぐ働きがあります。鮮度が良いものほどブルームがついていて、食べごろになるとブルームが落ちてきてつやが出てきます。

また、縫合線(実の割れ目)に対して左右対称のものは、バランスよく栄養が実全体にいき渡って育ったということなので味がいいでしょう。さらに、ほんのりと香りがするもの、全体が色鮮やかな赤色になっているものは食べごろといえます。
保存は未熟なら冷暗所、熟したら冷蔵庫へ
すももは追熟するフルーツなので、熟度によって保存法が変わります。未熟なものは冷暗所に置き、常温で保存しましょう。桃ほど繊細ではないですが、日光や風に当たると、乾燥し、ジューシーでみずみずしくなくなってしまうので注意しましょう。
実がやわらかく食べ頃になってきたすももも同じです。乾燥しないように新聞紙にくるんでからビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存すればOKです。

ちなみに、すももの酸味は特に皮の近くにあります。でも、完熟するまで待っているとだんだん酸味もぬけていきます。完熟させるには、様子を見ながらおおよそ3日から7日ほど常温に置いておくといいでしょう。
すももの栄養&アレンジの仕方を解説
西洋すももの一種であるプルーンのドライフルーツには栄誉豊富なイメージがあると思いますが、生のすももにもたくさんの栄養が含まれています。また、皮の栄養もまるごと摂ることができるアレンジも試してみてください。
疲労回復&整腸作用など、疲れたときにぴったりの栄養
すももの特徴である酸味は、リンゴ酸とクエン酸によるもの。これらには疲労回復効果があるといわれています。また、水溶性食物繊維のペクチンなどの食物繊維もたくさん含まれているので、整腸作用が期待できます。
さらに、血圧を調整するカリウムが豊富で、抗酸化作用があるポリフェノールの一つであるアントシアニンも摂ることができます。
野菜ソムリエプロ直伝!すもものアレンジの仕方
たくさんのすももが手に入ったときなどは、果実酒にするのもいいですし、シロップを作ると長くおいしさを楽しめます。

シロップを作るときの分量は、すもも3個(種付きで200g程度)に対して、氷砂糖170g、リンゴ酢50mlが目安です。よく洗って水分を拭き取ったすももに、楊枝などを刺してたくさん穴をあけます。穴をあけたすもも・氷砂糖・リンゴ酢の順番でガラス瓶などに入れて、2日ほど常温で保存します。この期間は朝晩など1日に数回ボトルを振って、中身をよく混ぜ合わせましょう。氷砂糖がとけたらシロップの完成です。また、でき上がったシロップは冷蔵庫で保管してください。

シロップの赤い色素は皮に含まれるポリフェノールなので、こうすれば栄養も余すところなく摂ることができますよ。炭酸で割ってジュースにしたり、ヨーグルトやバニラアイスにかけたり、カクテルの香りづけにするのもおすすめです。また、残った実はそのまま食べてもおいしいですし、すももの実が多めに残ったときは、実を煮詰めるだけでジャムを作ることもできます。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ