7月5日から販売されているサマージャンボ宝くじ。一等前後賞で7億円と聞くと夢が膨らみますね! ところで、宝くじは一部の人から「貧者の税金」と呼ばれていることを知っていますか? そのワケは当せん金にあるといいます。そんな宝くじのカラクリについて、生活コスト削減コンサルタントの生方正さんに聞きました。
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狙うは1等!当せんしたら何に使う?
毎年夏になると発売されるサマージャンボ宝くじ。今年は8月5日まで販売されています。抽せん日はお盆明けの8月17日です。
「高額当せんしたら……!?」なんて考えてワクワクしている人も多いのではないでしょうか。「たとえ億の当せん金に当たらなくても、数万円、数十万円なら当たるかも」と想像すると、「あれを買って、これを買って、おいしいランチに行って…」と、それだけでもワクワクできそうです。
宝くじは「貧者の税金」?そのワケは…
夢が詰まった宝くじですが、一部の人たちから「貧者の税金」と呼ばれることがあります。2008年に米国の研究チームが専門誌「Journal of Behavioral Decision」で、自分が貧しいと感じている人ほど宝くじを買う傾向が強いことを発表しているんです。
宝くじの当せん確率を考えると、高額所得者よりも一発逆転を夢みる人にこそ魅力的に感じられることは想像に難くないですよね。また、宝くじによる収益が地方自治体の財源になっていることも、そのように言われる理由です。
当せん金は収益金の半分以下
宝くじ公式サイト「収益金の使い道と社会貢献広報」によると、令和2年度の売上は8610億円でした。そのうちの36.6%が公共事業等に使われ、15.0%が宝くじを印刷するお金や売りさばき手数料に使われます。1.4%が社会貢献広報費として使われます。
ここで問題です。当せん金として当せん者に支払われる金額は全体の何%でしょうか? 答えは47.0%(令和2年度の場合)で収益金の約半分以上が当せん金にまわらないのです。つまり、発売されている宝くじを全部買い占めて、すべての当たりを手にしたとしても、購入者が儲かることはないのです。
1枚300円の宝くじ購入。手元に残るのはいくら
そもそも宝くじは当せん金付証票法、通称「宝くじ法」という法律で、還元率を50%未満にするように定められています。つまり1枚300円の宝くじを買ったとしたら、還元率が150円未満になるように設定されているのです。
そう考えると、半分も戻ってきたら、ある意味ラッキーかもしれません。たとえば、1枚300円の宝くじを10枚買って3000円。結局当たったのはその中の1枚300円で、2700円の損失。こんな経験をした人も多いのではないでしょうか。
つまり、宝くじを買った人の大半は購入金額よりも少ない金額しか受け取れないのです。
それでも宝くじを買いたくなる人の心理
そうはいってもサマージャンボ宝くじや年末ジャンボ宝くじなどが発売されるたびに、つい買いたくなってしまう人もいると思います。なぜ宝くじはそれほどまでに多くの人を惹きつけるのでしょうか。
理由の1つに「もしも高額当せんしたら……と、夢見ることができるから」という人もいます。「このままの生活を続けていても、生涯に稼げるお金は限られている。だったら宝くじの高額当せんに賭けてみたい」という気持ちが働くのでしょう。
そもそもいくら高額当せんを夢見ていても、宝くじを買わなかったら絶対に当たりません。そういう意味では、いくら当せん確率が低くても、宝くじにチャレンジしたくなる人は絶えることはないのかもしれません。
◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん
うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。
構成/間野由利子