
テレビドラマや映画のスタイリストとして活躍中の西ゆり子さん(71歳)。3月に出版された大人の女性向けのおしゃれの教科書『ドラマスタイリスト西ゆり子の 服を変えれば、人生が変わる』(主婦と生活社)も話題になっています。数々のドラマのヒロインを服のパワーで輝かせてきた西さんから、50代の女性がすぐに実践できる着こなしのコツを教わりました。 【全5回の第4回】
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オトナ世代に向けてファッションのノウハウを伝えたい
スタイリスト歴45年を越える西さんは、ドラマや映画の製作サイドから絶大な信頼を受けている現役ドラマスタイリスト。彼女が衣装を担当すると、キャラクターの魅力がパワーアップするといわれている。
60代からは、これまで培ってきたスキルを生かして、一般向けにスタイリングレッスンや、無料でスタイリングの知識を得られる「着る学校」というコミュニティーを立ち上げ、ファッションに迷うオトナ世代の生徒たちに、着こなしのコツを教えている。
レッスン1|オトナ世代に最強のカラー「白」を味方にする

白は無難な印象があるかもしれないが、大人になってからは、実は攻めの色だと西さんは語る。
「私は白を人の気持ちを前に押し出す『飛び出す色』と呼んでいます。紺やグレーなど落ち着いた色に比べて、白というのは緊張感があり、着る人をシャキッとさせて前向きにしてくれます。白いトップスには、白の靴を合わせるとエッジの効いたコーディネートが完成します」
さらに、Tシャツやジャケットなどトップスに白をもってくると、光を反射するハイライト効果で顔色が明るく見える。若い頃に比べて顔色がくすみがちな50代こそ積極的に取り入れてほしいという。
レッスン2|色やトーンをつなげてスッキリ感を演出
「自分なりにコーディネートしているけれど、なんだかイマイチ…と感じたら、色やトーンをつなげる工夫をしましょう。スッキリとした印象になり、垢抜けますよ」と西さんはアドバイスする。
西さんが教える3つのポイントを意識して、コーディネートに取り入れてみて。
1 中の色をつなげる

ジャケットの中に着るインナーとボトムスを同色にすると、スッキリ見える。さらに帽子や靴の色を揃えてもいい。
2 キーカラーでつなげる
その日の「キー」になる色を決めて全身をコーディネートすると、おしゃれに見える。例えば、ボトムスの色がグリーンなら、それを「キー」にして、グリーンのスカーフをする。

柄物のブラウスなら、柄の中の1色とボトムスを同じ色にすることで、色がつながり、落ち着いた印象に。つなげる色とつなげない色の2色での着こなしをマスターできるようにすれば、おしゃれに見える。
ただし、同色でも色の明るさや鮮やかさの度合いが違うとちぐはぐな印象になってしまう。例えば、ネイビーと言っても黒に近いものもあれば青に近いものもあるので、実際に合わせてみて違和感がないかチェックをするのが肝心だという。
3 トーンでつなげる

組み合わせる色が違っても、色の明るさと鮮やかさの度合い(トーン)が同じなら、まとまりのあるシックな装いになる。コットンならコットンと、ウールならウールなど素材の質感を揃えた上で、トーンを揃えると◎。
10年後の自分を想像して服を選ぶ
西さんはスタイリングレッスンのときに、「10年後の自分をイメージして服を選んでください」とアドバイスしている。
「服というのは、あなた自身を表現するもの。今の延長線上にあるものだから、10年後の自分がどうなりたいかを思い浮かべれば、自分にピッタリの服を選ぶことができるはず。今、50歳なら、還暦の頃にどんな暮らしをしたいのか。現役で仕事をバリバリ続けたい人もいれば、趣味のガーデニングにいそしみたい人もいる。自分にとって理想の姿をイメージして服を選びましょう。そうすれば、この先の人生はもっと楽しくなりますよ」
◆スタイリスト・西ゆり子さん

にし・ゆりこ。スタイリスト。テレビ番組におけるスタイリストの草分け的存在で、ドラマスタイリストとしてテレビドラマと映画およそ200作品を手がける。2019年度「日本女性放送者懇談会50周年特別賞」受賞。現在は、一般個人向けに「CoCo Styling Lesson」や、無料でスタイリングの知識を得られる「着る学校」(https://www.stylingschool.org)というコミュニティも展開。近著に『ドラマスタイリスト西ゆり子の 服を変えれば、人生が変わる』(主婦と生活社)。
撮影/五十嵐美弥 取材・文/森冬生