
エアコンは冷房を使い始めて2か月ほど経つと、徐々に効きが悪くなっていくのをご存知でしょうか。その原因は、フィルターの汚れなど、お手入れ不足にあることが多いそうです。真夏の今こそすべきエアコンのお手入れを、家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらいました。
Q:フィルターはどうお手入れするのが正しい?
A:2週間に一度、掃除機でホコリを吸い取ろう
まず、エアコンのお手入れといえばフィルター。

「エアコンは冷房時、室内の空気を吸い込み、内部で熱を取り除いて、冷えた空気を室内に戻しています。この吸引時に、室内のホコリがエアコン内部にはいり込むと、ホコリに含まれるカビ菌やたんぱく質と結露水を栄養源にカビが繁殖し、再び室内に撒き散らしてしまいます。それを防ぐ重要な役割を果たしているのがフィルターです。
一方、フィルターにホコリが溜まってしまうと、空気のやり取りがスムーズにいかず、冷房効率が落ちたり、電気代が上がる原因に。その状態を放置するとエアコンに負荷がかかり、本体の寿命減にもつながりますので、2週間に一度を目安にお手入れしましょう」(田中さん・以下同)
では、フィルターはどうお手入れをしたらよいのでしょうか。
「簡単なお手入れ方法としては、エアコン正面のカバーを開け、そのままフィルターを取り外さずに、フィルター表面についたホコリを取り除きます。その際は、掃除機の先端にブラシアタッチメントをつけて吸い取ると便利です。
しっかりお手入れしたいときは、フィルターを取り外してホコリを取り除いたうえ、液体中性洗剤を溶かしたぬるま湯で洗いましょう。フィルターは、調理時の油煙を吸い込むと、油っぽくなり、ホコリがこびりつきやすくなります。油モノ調理をすることが多い部屋にエアコンがあるなら、この方法でしっかり洗うのがおすすめ。このほか正しいお手入れ方法は取扱説明書で確認してください」
Q:吹き出し口に黒い汚れが出てきたら?
A:黒カビの可能性大。すぐに拭き取りましょう。
長年使っていると、エアコンの風が噴き出るところに黒い斑点が見えることがあります。
「吹き出し口に黒い汚れがつき始めたら、黒カビの可能性大。早めにお手入れをしましょう。まずエアコンのコンセントを抜きます。次に、割り箸にキッチン用スポンジや使い古しのタオルなどを巻きつけて輪ゴムで留めます。それを濡らして固く絞り、吹き出し口を拭き取ります」
固く絞らないと水分がエアコン内部にはいりこみ、故障の原因になるのでご注意を。また汚れは、付着したての方がより落としやすくなります。見つけたらできるだけすぐに対処しましょう。取れない場合は、後述のエアコンクリーニングに外注することになります。
Q:エアコン内部のお掃除に市販の洗浄スプレーを使ってもいい?
A:NG。プロに任せましょう。

「巷ではエアコン洗浄スプレーが売られていますが、エアコンメーカーは一様に、使用しないように案内しています。洗浄剤がエアコン内部の電気系統にかかると破損や故障、さらには発煙や発火の危険もあるため、内部のお掃除はエアコンクリーニングを行う業者、つまりプロに任せましょう。またフィルターに貼る使い捨てフィルターも、給気の効率を下げ、電気代が高くなる一因になるのでご注意を」
エアコンクリーニングにかかる費用の相場は、お掃除機能のないエアコンで1万円1000円前後、お掃除機能付きのエアコンはプラス1万円程度とみておくといいでしょう。では、エアコンクリーニングをプロに頼むタイミングはいつがベストでしょうか。
Q:エアコンクリーニングをプロに頼むタイミングは?
A:年に1度、シーズンオフに頼むと吉
「エアコンは使わない状態で放置しておくと、その間内部でカビが繁殖し、使い始めにカビが部屋中に撒き散らされてしまう可能性があります。まず冷暖房シーズンが終わったら、半日程度送風運転を行い、内部を乾燥させておきましょう。
そのうえで1年に1回程度、プロにエアコンクリーニングを頼むのが理想的。予約が取りやすく、値引きサービスを行っている業者も多いシーズンオフがおすすめです。なおメーカーによっては、持ち帰って分解洗浄を行ってくれるところもあります。価格は高くなりますが、数年クリーニングしていない場合は、分解洗浄サービスを検討してみてはいかがでしょうか」
もしフィルターや黒カビ除去などのお手入れがなかなかできない場合、自動的にお手入れをしてくれるエアコンを選ぶのもひとつの方法です。今はエアコンの自動お手入れ機能も進化しています。その例が、以下の2点です。
【1】日立ジョンソンコントロールズ空調『日立ルームエアコン 白くまくん プレミアムXシリーズ』

凍結洗浄でお手入れしにくい熱交換器やその奥のファンも自動お手入れ

「日立の最上位モデルXシリーズには、徹底した洗浄機能を搭載。最大の特徴は、エアコン内部でカビやホコリが付きやすい熱交換器を自動洗浄する『凍結洗浄 除菌ヒートプラス』です。まず熱交換器を56℃の高温で加熱し、油汚れをドロッとはがします。そして溶けた汚れを凍結し、一気に溶かして洗浄。
この機能により、付着したウイルスを抑制、菌やカビも洗い落とします。さらに熱交換器の奧にあり手の届かないファンも、自動お手入れ。ファンの羽の先端に付いた汚れを、定期的にブラシで取り除き、熱交換器の汚れと一緒に洗い流して清潔さを保ちます」
【2】パナソニック『エオリア Xシリーズ』

新「ナノイーX」がエアコン内部のカビ菌を99%除菌、抑制

「パナソニックのエアコンは、有害物質を抑制するOHラジカルを含むメーカー独自のイオン、新『ナノイーX』を放出。空気中の汚れはもちろん、エアコン内部も清潔にキープします。運転後、自動で『ナノイーX』を隅々まで充満させ、エアコン内部のカビ菌を99%除菌、抑制します。さらに付着した油汚れも最大約41%低減し、ホコリの付着も抑えます」
以上のような自動お手入れ機能のついたエアコンであれば、忙しくてついついお手入れをしそびれる人でも安心ですね。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電・美容家電を専門とするライター。雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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