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医師がすすめる「老けない習慣」 もっとも年齢が出やすい顔のシワ・たるみの原因と対処法

年齢肌に効果的な対処法とは?(Ph/イメージマート)
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年齢とともに気になり始める顔のシワやたるみ。著書『お医者さんが教える老けない習慣』(三空出版)が話題の医師・糸井由里恵さんに、「もっとも年齢が出やすい肌のシワやたるみ」の原因と、すぐにできる対処法について聞きました。

シワとたるみの原因

「『加齢』は年齢を重ねること、『老化』は体の機能が衰えていくことを指します。楽しく美しく年齢を重ねられるように、私がおすすめしたいのは、老化のスピードをゆるやかにする『スローエイジング』の取り組みです」(糸井さん・以下同)

「スローエイジング」のコツは日常の中にあり、普段何気なくやっていることにほんの少し意識を向けるだけで、若々しさを保つことができると糸井さんは言います。

シワとたるみについて詳しく教えてもらいました。

「多くの人が悩む肌のシワやたるみの原因となるのは、肌の乾燥や摩擦、紫外線などが大きく関係していますが、それ以外にも、骨や筋肉などのさまざまなことが複合的にかかわっています」

具体的にはどんな原因があるのでしょうか。

骨の変化が肌にも影響(Ph/イメージマート)
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骨の変化がシワやたるみを生む

「若いころは、古くなった骨を溶かす破骨細胞の働き(破骨)と、カルシウムなどを付着させて新たな骨を作る骨芽細胞の働き(造骨)のバランスがとれています。しかし、加齢とともに、破骨細胞が骨芽細胞よりも優位になって、骨密度が低下します。この現象が『骨粗しょう症』です」

骨粗しょう症が起きるのは顔の骨も例外ではなく、目の周りの骨やあごの骨がだんだんと縮むなど、皮膚や筋肉を支える土台となる骨に変化が出て、“年齢肌”として表面に現れるといいます。

「眼球が収まるくぼみの骨(眼窩)が縮むと、皮膚が余って目尻に小ジワができたり、目の下にたるみが発生します。あごの骨が縮むと頬はたるみ、ほうれい線やマリオネットラインが発生し、フェイスラインがだぶついてきます」

それらの顔のシワやたるみの対策には、肌のケアはもちろん大切であるものの、骨や筋肉など、体の内側へとアプローチする必要があるそうです。

「当たり前のことのようですが、それには栄養バランスのよい食事、規則正しい生活、適度な運動、質の良い睡眠もとても大切です。それらの当たり前をもう一度見直し、体の組織全体を若々しく保つことに視点を置くようにしましょう」

表皮ジワは保湿で予防(Ph/photoAC)
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シワの種類は2つ、それぞれの対処法

「表皮ジワ」と「真皮ジワ」の2つに大きく分けられるという顔のシワ。それぞれ、対処法があります。

表皮ジワは保湿で対応

「表皮ジワは比較的浅いところにできるシワで、目元や口元にできる小ジワはこれに入ります。適切なケアで改善されやすいのが特徴ですが、肌が慢性的に乾燥していると定着してしまいます。皮膚が薄くて乾燥しやすい目元には、日頃からアイクリームなどで保湿して予防しましょう」

真皮ジワは表情筋体操で予防

「真皮ジワは細胞の変化で生じるシワで、繰り返される表情運動などによって深く刻まれます。しかしだからといって表情を動かさないのは、たるみの原因になるので気を付けましょう」

顔の筋肉を動かすのに糸井さんがすすめるのは、顔ヨガや表情筋体操。巷にはさまざまなメソッドがあるので、自分にあるものを取り入れてみてください。もちろん、肌の乾燥を避けることも重要です。

表情筋のトレーニングが真皮ジワ予防に(Ph/イメージマート)
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年齢ジワを受け入れることも大事

一方、スローエイジングではこんな考え方も大事だといいます。

「年齢を重ねるとだれでもシワはできます。逆に、ある程度の年齢でありながら、まったく顔にシワがなくてツルッとしていたら不自然です。シワの予防やケアに気を配りながらも、一方では年齢シワを受け入れるおおらかさも持つことも、スローエイジングには大事なことです」

日頃の姿勢にも要注意

「さらに注意していただきたいのが『姿勢』です。日頃の姿勢がシワとたるみをつくる原因になっています」と糸井さんは指摘します。

「たとえば、スマートフォンを見るときにうつむいて画面を覗き込むような姿勢でいると、『首にシワができる』『頬がたれる』『二重あごになる』『マリオネットラインができる』『猫背になって下腹が出る』など、全身のいたるところにシワやたるみをつくってしまいます」

姿勢の悪さがシワやたるみの原因に(Ph/photoAC)
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このとき、正しい姿勢のポイントは、「背筋を伸ばして、スマートフォンを顔の前に持っていく」「スマートフォンを持つ手と体の間にもう一方の手を挟んで、軽く支える」の2点に気をつけること。

「また、寝相もシワをつくる原因の一つになります。できるだけ仰向けで、顔に圧がかからないように寝るのがベスト。横向きで寝るのがラクな人は、体の歪みが大きい可能性もあります。場合によっては整体院などでみてもらうことをおすすめします」

◆教えてくれたのは:医師・糸井由里恵さん

医師・糸井由里恵さん
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埼玉県生まれ。日本医科大学を卒業後、同大学付属病院形成外科で勤務。皮膚科・麻酔科・救命救急・訪問診療など多彩な分野で経験を積み、形成外科専門医を取得。現在は都内美容クリニックで多くの女性の悩みに日々向き合う。一般的な顔の美容整形手術のほか、美容婦人科系の治療も得意とする。今年7月、老化のスピードをゆるやかにして楽しく美しく年齢を重ねる「スローエイジング」の考え方を取り入れた『お医者さんが教える老けない習慣』(三空出版)を出版。

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