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永野芽郁のキャリア集大成にして真骨頂の姿 『マイ・ブロークン・マリコ』は“凄み”すら感じさせる作品

『マイ・ブロークン・マリコ』場面写真
永野芽郁の演技が光る(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
写真10枚

永野芽郁さん(23歳)が主演を務めた映画『マイ・ブロークン・マリコ』が9月30日より公開中です。共演に奈緒さんを迎えた本作は、女性同士の特別な友情関係を描いたもの。若い女性が主人公ではありますが、年齢や性別にとらわれずに1人でも多くのかたに観て欲しい、そんな魂を揺さぶる作品に仕上がっています。本作の見どころや永野さんをはじめとした役者陣の演技について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説します。

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平庫ワカによる衝撃的なマンガを映画化

本作は、2020年に発表されるやいなや即重版となり、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞をはじめ、各賞を総なめにした平庫ワカさんによる同名マンガを実写化したものです。

『マイ・ブロークン・マリコ』ポスタービジュアル
(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
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メガホンを取ったのは、『ロマンスドール』(2020年)や『浜の朝日の嘘つきどもと』(2021年) などのタナダユキ監督。発売日に原作マンガを手にして大きな衝撃を受けた監督は、その日のうちに映画化権を獲得すべく動き始めたのだといいます。“親友の遺骨と旅に出る”という特殊なこの物語は、それほどまでに触れる者を衝き動かす力を持っているのです。

『マイ・ブロークン・マリコ』場面写真
(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
写真10枚

幼馴染みの最初で最後の“2人旅”

ブラック企業に勤めるシイノトモヨ(永野)。ある日、衝撃的な事件が彼女を襲います。それは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したという悲報。

シイノはマリコの死を受け入れられないまま自身の日常に戻ろうとしますが、大切な「ダチ」の遺骨が毒親の手に渡ったのだと知り、包丁を片手に“敵地”へ乱入。マリコの遺骨を奪い取ります。マリコは幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、傷つき、人生を奪われ続けた存在だったのです。

『マイ・ブロークン・マリコ』場面写真
(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
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シイノはマリコのため、学生時代に彼女が行きたがっていた海へとその“遺骨”を連れていくことに。道中で出会った男・マキオをも巻き込み、幼馴染みのシイノとマリコによる最初で最後の“2人旅”が幕を開けるのです。

少数精鋭キャストによるアンサンブル

本作は、シイノとマリコの物語であるため、キャストは少数精鋭で構成されています。シイノ役の永野さんとタイトル・ロールであるマリコ役の奈緒さんといえば、同じく幼馴染みの関係を演じた朝ドラ『半分、青い。』(2018年/NHK総合)以来の共演。あれから4年のときを経て、ともにその世代を代表する俳優となりました。

『マイ・ブロークン・マリコ』場面写真
(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
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永野さんは前クールに放送された『ユニコーンに乗って』(TBS系)で、奈緒さんは放送中の『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)で主演を務めている事実がそれを物語っていることでしょう。組み合わせとしてベストです。

『マイ・ブロークン・マリコ』場面写真
(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
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そして、尾美としのりさんが“鬼畜”ともいえるマリコの父を、吉田羊さんがその後妻を演じ、シイノが旅先で出会うマキオという素朴な若者を窪田正孝さんが演じています。まさに少数精鋭キャストによる見事なアンサンブルがここに実現しています。

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