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ペットボトル・ウォーターサーバー・浄水器…どれがお得か節約の専門家の見解

蛇口から水が出ている
ペットボトル・ウォーターサーバー・浄水器…どれが一番お得?(Ph/photoAC)
写真8枚

飲み水や料理など、さまざまな場面で使用する飲料水。毎日使用するからこそ、どうしてもコストがかかってしまいます。そこで、ペットボトル・ウォーターサーバー・浄水器、この中で最もお得なのはどれなのかを、お金のプロフェッショナルで節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。

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浄水器はタイプによって初期費用のコストに違い

ペットボトル・ウォーターサーバー・浄水器の3つを比較した場合、浄水器を取り付けるのがいちばんお得です。価格と種類を比較して見てみましょう。

蛇口直結型の浄水器は1Lあたり6~10円

浄水機の値段の差は浄水性能の違いで生まれます。金額が高い方が浄水性能も高く、勢いよく水が出ます。その利便性を考えると、ある程度高いものを使用したほうが良いでしょう。簡単に設置できる水道の蛇口に直接付けるタイプの浄水器は、安いもので3000円程度からありますが、浄水量、浄水速度が速いものは8000~1万円ほどで売られています。

蛇口からシャワー水
手軽に導入できるカートリッジタイプ(Ph/photoAC)
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上位機種で計算すると、1Lあたりの浄水コストは6~10円程度。これに水道料金がプラスされます。自治体によっても異なりますが参考程度の東京都の場合は1リットルあたり、0.24円です。

また、交換目安はカートリッジによっても異なりますが、浄水器に液晶がついているモデルは使うごとに残りの浄水量がカウントされ、替え時がわかりやすいのでおすすめです。例えば、「クリンスイ蛇口直結型 液晶機能付きモデル」は8618円(2022年10月19日現在のAmazon価格)、浄水能力900Lなので、1Lあたりのコストは9.6円。

「東レ トレビーノ 蛇口直結型液晶機能付きモデル」は、9199円(同)は浄水能力1500L、1Lあたりのコストは6.1円です。

カートリッジの交換タイミングは3か月~1年

ただ、浄水器は定期的なメンテナンスが必要です。浄水器にはカートリッジタイプやビルドインタイプなどさまざまな種類がありますが、交換時期は浄水能力(浄水できるリットル数)と使用頻度に左右され、目安としては3か月~1年ほどです。

使用前後のカートリッジ
使用前のカートリッジ(左)と使用後のカートリッジ(右)(Ph/photoAC)
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本体価格を除く交換カートリッジのコストで考えると、蛇口直結タイプで1Lあたり2~4円ほどで、ビルトインのアンダーシンク型の浄水器の場合、1Lあたりのコストは約1.5円とさらに安くなります。アンダーシンク型複合水栓の導入コストは10万円前後と高額になりますが、家族が多く1日に使う浄水量が多い家庭は長期的に考えれば検討の余地があるでしょう。

シンク下
ビルドインタイプは設置の手間があるものの、よりお得に(Ph/photoAC)
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一例として、クリンスイの浄水器で比較すると、蛇口直結タイプは「カートリッジ交換用 HGC9S×3個入り」(6245円・同)で浄水能力900L×3で計算すると1Lあたりのコストは約2.3円となります。一方、「浄水器カートリッジ交換用 アンダーシンク型」(1万1800円・同)は浄水能力8000Lなので、約1.5円です。

浄水器のデメリット

浄水器のメリットは、ペットボトルやウォーターサーバーのタンクの置き場が不要であることと、使用後のゴミが少ないという点でしょう。一方で、災害時に水道が止まると水が確保できないというデメリットもあります。

現在は水道水もおいしくなっている

余談ですが、現在は販売終了となっていましたが、東京都の「東京水」や北海道苫小牧市の「とまチョップ水」のように、水道水をペットボトル飲料として販売している自治体があるほど、現在では水道水もきれいでおいしくなっています。

金額面以外でのメリットもチェック

金銭面では浄水器が圧倒的にコスパがいいといえるのですが、ペットボトルとウォーターサーバーにもメリットはあります。そこで、ペットボトルとウォーターサーバーを比較してみると、利便性を追求しないのであればペットボトルのほうがおすすめです。

圧倒的な利便性のよさがメリットのウォーターサーバー

ウォーターサーバーの種類は、据え置きもしくは卓上タイプがあります。そして、水のタイプは天然水もしくはRO水と呼ばれる逆浸透膜(RO膜)という特殊なフィルターでろ過された水(ピュアウォーターなどともよばれている)に分けられ、どのタイプかは業者によって異なります。

ウォーターサーバーの注ぎ口
利便性が魅力のウォーターサーバー(Ph/photoAC)
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注文方法は定期購入型と都度購入型があり、毎月のコストはさまざまですが、定期購入型の方が1Lあたりのコストは安く、比較サイトの価格.com(https://kakaku.com/)で確認したところ、天然水の定期配送50L(4人家族)の最安値は、天然水は4800円で1Lあたり96円、RO水のものは106円ほど。どちらも値段はあまり変わりません。最高値は1Lあたり176円とペットボトルと比べると割高になる場合があります。(2022年10月19日現在)

また、ウォーターサーバーはウォータータンクの保管スペースや電気代、メンテナンス費などはかかりますが、冷水やお湯が出るタイプの利便性は魅力的です。また、サーバーのレンタル代は毎月の料金だけではなく、休止解約手数料がいくらなのか中身もしっかりとチェックしましょう。

ウォータータンク
ウォータータンクの置き場所を確保する必要も(Ph/photoAC)
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替えのウォータータンクは災害時の備蓄にもなりますが、重く、持ち運びには適していないので、避難する際には少し不便とも言えます。

ペットボトル飲料水はローリングストックして災害用にも

ペットボトル飲料水の価格は、日用品の価格比較サイト「Smart Shopping」(https://smashop.jp/)で1本(550ml)の単価が12円のものが最安値(2022年10月19日現在)、1Lに換算すると約22円になります。

水が入ったコップとペットボトル2本
ペットボトルは災害用の備蓄に用意しておくのがおすすめ(Ph/photoAC)
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ペットボトルは消費量に合わせてストックを用意することができるので、毎月決まった本数が届くウォータータンクと比べて保管数や保管場所をコントロールできます。なによりも災害時の備蓄になることが最大のメリットといえます。

そのため、浄水器やウォーターサーバーを使っている家庭でも、災害時に必要になりそうな本数を用意し、古いものから使って新しいものを補給していくローリングストックで常備しておくと安心です。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

丸山晴美さん
節約アドバイザー・丸山晴美さん
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節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/

構成/吉田可奈

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