マネー

食器洗いのコスト「手洗いより食洗機がお得」は本当?さらに節約する方法も 節約アドバイザーが解説

食器を洗っている女性
手洗いより食洗機がお得?(Ph/photoAC)
写真6枚

家事を助けてくれる家電のひとつである食器洗い乾燥機(食洗機)。手間は省けるけれど、電気代や水道代が気になりますよね。便利なものほどコストが高くなるイメージがありますが、実際のところどうなのでしょうか? お金のプロフェッショナルで節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。

* * *

食洗機を使用すれば節約が可能

食洗機のほうがコストがかかると思うかもしれませんが、そんなことはありません。

経済産業省の「省エネポータルサイト」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html)に、手洗いと食洗機の比較金額が掲載されています。

1年間の差額は約6470円

給湯器で40℃に設定し、1回あたり65リットルを使って手洗いした場合と、給水接続タイプの食洗機で標準モードを利用した場合、共に1日2回洗い物をするとして1年間で概算すると、食洗機のほうが約6470円も節約できるそうです。

40度設定の給湯器
40度のお湯で手洗いした場合と食洗機のコストを比較(Ph/photoAC)
写真6枚

内訳としては、いずれも年間で、手洗いにかかる光熱費はガス81.62立方メートル、水道47.45立方メートルで約2万5560円。お湯を使ったり、蛇口から水を出したまま使ったりすることもあり、コストは意外にかかってしまうものです。一方、食洗機にかかる光熱費は電気525.20kWh、水道10.80立方メートルで約1万9090円となっています。

さらに食洗機を使うことで台所に立っている時間が短くなります。台所用にヒーターなど置いている家庭では、冬場の暖房代の節約にもつながります。また、「省エネポータルサイト」では、洗浄終了後に扉を開けて予熱だけで乾燥させることや食器の残菜を丁寧に捨てて汚れ落ちをよくすることも省エネになると紹介されています。

扉をあけた食洗機
食洗機を使うときによ理節約する方法も(Ph/photoAC)
写真6枚

もちろん、食洗機を導入するときに購入する費用や工事費用などはかかりますが、年間約6470円の節約になるのなら長い目で見ればそれも回収できるでしょう。

ちなみに、経済産業省 北海道経済産業局の「実践!おうちで省エネ」(https://www.hkd.meti.go.jp/hokpw/ouchi/pamphlet.pdf)に記載のある水道4.38立方メートルあたり約1290円というのを参考にすると、47.45立方メートルは約11倍にあたるので、給湯器を使わずに水で洗い物をした場合は水道代のみの約1万4190円となります。ガス代がかからない分安くなりますが、これからの寒い時期はそれも大変かもしれません。

洗い物の量が少ない場合は手洗いが◎

ただし、4~5人の家族と2人暮らしなど少人数の場合で、1回の洗い物の量はかなり変わると思います。1回の洗い物があまり多くない家庭では、手洗いでもさほどコストが変わらないことがあるので、生活に合わせて選ぶようにしましょう。

食器のつけ置き洗い
洗い物が少ないときは手洗いがお得なことも(Ph/photoAC)
写真6枚

手洗いの場合、汚れがひどい食器はあらかじめゴムベラやぼろ布などで汚れを落としてから、水を張った洗い桶に食器を入れて、汚れを浮かしてから洗剤で洗い、すすぎはかんたんに洗い桶の水ですすいでから、水道水で流すようにすると節水になります。

工事不要食洗機のメリット・デメリット

据え置きタイプではない場合は工事が必要なので、それが原因で導入に踏み切れないという人や食洗機を置くスペースがなくあきらめている人もいると思います。そんな人に向けて、最近はコンパクトな工事不要の食洗機も登場しています。

分岐水栓式は置き場所の問題と取り付け作業が発生

また、分岐水栓を水道の蛇口に取り付ける「分岐水栓式」は、都度水を注ぐことなくほぼ全自動で使えます。ただし、工事不要といっても、まず専用の分岐水栓が取り付けることができる蛇口かどうかの確認が必要です。そして、蛇口を分解して専用の分岐水栓を取り付け、給水ホースをつなぐ作業を自分で行う必要があります。賃貸の場合は引っ越しの際に取り外す手間もかかります。

食洗機の中
工事不要の食洗機のメリット・デメリットは?(Ph/photoAC)
写真6枚

タンク式は簡単に導入できるものの水の補充が手間

「タンク式」であれば水栓とつなぐ必要がないので、置く場所にある程度自由が利きますし、洗浄力もあり便利ですが、タンクに水を補充する手間がかかってしまうのがデメリット。コンパクトなものはそれだけ一度に洗える量も少ないですし、水を補充する時間を手洗いに回したほうが早く済むこともありえます。

食洗機はコストや手間、生活スタイルを考えながら導入を検討しましょう。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

丸山晴美さん
節約アドバイザー・丸山晴美さん
写真6枚

節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/

構成/吉田可奈

●ペットボトル・ウォーターサーバー・浄水器…どれがお得か節約の専門家の見解

●工事不要で使える「タンク式食洗機」の実力は?洗浄力、容量などを家電ライターがジャッジ

関連キーワード