
暮らしのプロが実際に使ってみて「これ買ってよかった!」と実感した便利グッズと、暮らしに役立つテクニックを教えてもらうこの企画。今回は、備え・防災アドバイザーとして活動する高荷智也さんが、災害時に活躍するコードレスファンヒーターについて教えてくれました。
真冬の災害時に活躍する、発電するコードレスファンヒーター
高荷さんがおすすめするのは、岩谷産業の『イワタニ カセットガスファンヒーター 風暖』(3万8280円・税込)。大きさは、31.9×26.0×43.8cm、重さは、約4.7kg(カセットガスは含まず)。コンパクトで軽量なので女性でも無理なく運ぶことができます。

「真冬に生じる災害や突発停電に、防寒対策は必要不可欠です。外気温が10度を下回ると屋内、屋外ともに凍死者が増加するので、暖房グッズは北海道などの北国だけでなく、日本全国で必要となります。特に日中の気温が氷点下になる地域では、電気不要の石油ストーブを準備したいところですが、日頃灯油を使っていない場合は燃料備蓄が難しく、他の手段を検討する必要があります。
この『カセットガスファンヒーター 風暖』は、電源不要で、カセットガスボンベのみで作動するファンヒーターです。カセットガスの炎を熱源に、内蔵された発電器が電気を起こしてファンを回転させてくれるため、コンセント不要で温風が出てきます。点火して1分ほどで温かい風が出てくるので、非常時だけでなくいつものスポット暖房としてもとても便利です」(高荷さん・以下同)
部屋全体ではなく前にいる人を温めるスポット暖房
こちらのファンヒーターは、“熱電発電素子”を採用し、カセットガスの燃焼熱から電気をうみ出しファンを回すという仕組み。実際に使ってみると暖かさはどのくらいなのでしょうか。

「炎そのものではなく温風による暖房です。この温風がファンの回転により前方のみに出てきます。部屋全体を温めるというよりは、ストーブの前にいる人を確実に温めるという使い方に向いているため、平時でもスポット暖房として室内の必要な場所で使うのがおすすめです。机の下などに置いて使うこともできます。メリットは、電源が不要なのでどこにでも移動できる点です」
災害時にも安全に使える機能が満載
高荷さんはがこちらのファンヒーターをイチオシするのには、安全面にも魅力があるからだそうです。

「ホースやコードがないので、災害時も足元を気にせず安心して使えます。さらに、このストーブを製造販売しているイワタニは、大中小その他のカセットガスストーブも発売しており、用途や使い方にあわせて選ぶのもおすすめ。実際に3種類の機種を購入し、“3週間カセットガスストーブ生活”をしてみましたが、カセットガスボンベがある限りは凍えることなく、寒波を乗り越えることができました。
中でも『風暖』が最も温かく、予算(本体+ガス)が許すならばいちばんおすすめです。熱くなく、暖かくなる温風がすばらしく、自分専用の“暖かい衣”をまとうようなイメージです。また、不完全燃焼防止装置、立消え安全装置、転倒時消火装置、圧力感知安全装置、温度過昇防止装置と、各種安全機能が搭載されているため、平時・非常時のどちらでも安全に使えること。
さらには、カセットガスボンベはカセットガスコンロにも使えるため、使い回しができて便利なことなど、非常時用の備蓄アイテムとして大変優れています」
-5度の屋外でも安定して使える!
高荷さんは、実験として-5度の屋外でこの3種類のファンヒーターを使ってみたそうです。

「3種類のヒーターのなかでは『風暖』が最も安定して使えました。一度点火すれば、氷点下環境でも消えることなく最後まで使えたため、冬場のサブ暖房としてきちんと機能しそうです。
予算が許せば最も暖かくなり使い勝手のよい『風暖』が、複数名で使ったり店舗などで雰囲気重視にするなら『デカ暖』が、安価なスポット暖房が欲しければ『マイ暖』がそれぞれ最適です」
◆教えてくれたのは:備え・防災アドバイザー・高荷智也さん

合同会社ソナエルワークス代表。「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに「自分と家族が死なないための防災対策」のポイントをロジックで解説するフリーの専門家。難しく思われがちな防災を分かりやすく伝える活動に定評があり、講演・執筆・メディア出演も多数。防災YouTuberとして動画も配信中。著書に『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店)など多数。https://sonaeru.jp