健康・医療

女性にも増加中「水虫」、連日同じブーツを履く人は注意!ジムなどで菌がつくケースも

裸足
冬場でも油断できない「水虫」の原因と治療法は?(Ph/photoAC)
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梅雨から夏にかけて増える「水虫」。それは水虫の原因菌である「白癬菌(はくせんきん)」が高温多湿の環境を好む菌だからなのですが、近年は冬場の水虫も増えているといいます。「特に女性は注意してほしい」と話す医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんに、水虫になる原因と治療法を聞きました。

健康に気を付けている人ほど水虫はかかりやすい?

水虫の正式な病名は「足白癬(あしはくせん)」で、カビの一種である白癬菌が皮膚の角質層に寄生することで起きる皮膚病です。日本では約2500万人いると推定されています。もともと水虫は男性に多い疾患でしたが、最近では男女差が少なくなっているといいます。

「女性の水虫が増えている理由の1つは、女性の社会進出です。それによって外に出て靴を履いている時間が長くなりました。特に冬はタイツの上にブーツを履くなど、足が蒸れている状態になり、もし皮膚に白癬菌がいた場合は繁殖しやすい環境です。すると菌が皮膚の中に入り込んで、水虫になってしまうのです」(福田さん・以下同)

ジムやエステ、サウナ、健康ランドで…

健康のためにしていることが、水虫の原因になることもあるそうです。

風呂
公共施設を利用したら帰宅後はすぐ足を洗おう(Ph/photoAC)
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「健康や美容のためにジムやエステ、サウナや健康ランドなどに通っている人もいるかもしれません。そこで使用するスリッパや足ふきマットなどで白癬菌を足につけてしまい、そのまま靴を履くと、靴の中は湿度が高いので菌が増殖してしまいます。健康ランドで体を洗っているのに、家に帰ってまたお風呂に入ることは少ないと思いますので、水虫の原因になってしまうのです」

あなどれない水虫 悪化すると足を切断する事態も

水虫は大きく分けて3つの種類があります。「水疱型」「趾間型(しかんがた)」「角質増殖型」です。

「水疱型は、足の裏に2~3mm程度の小さな水膨れができ、かゆみを伴います。一般的な水虫のイメージは、このタイプかと思われます。趾間型は、足の指の間が白くふやけて皮がむけたり赤くただれたりして、ときには液が出てジクジクします。

角質増殖型は、特にかかとを中心に皮膚の角質が厚くなり、ひび割れてガサガサになります。かゆみはあまりありませんが、痛みを感じることがあります」

手や爪にできることも

このように、水虫の種類によって症状が異なるため、水虫に気づかない人もいるようです。

手足
水虫菌は爪や手にも増殖する(Ph/photoAC)
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「水虫は足だけでなく、手や爪や体幹などにできることもあります。放置しておくと症状が進行して、治りにくい状態になることがあります。生命を脅かす病気ではありませんが、糖尿病などで傷が極端に治りにくい場合は、水虫が悪化して足を切断することになるケースもごく稀にありますから、軽視してはいけません」

水虫にならないために…予防と治療法

水虫の菌が皮膚に付着したからといって、すぐに水虫になるわけではありません。

「白癬菌が皮膚に入り込むまでに24時間ほどかかります。スポーツクラブなどでシャワーを浴びても、家についたら足だけは石鹸を使ってよく洗う習慣をつけましょう。そしてよく拭いて、乾燥させることが大切です。指の間も忘れずに。これを家族で徹底できるといいですね。家族に水虫の人がいると、床からも感染します。家族でスリッパを個別にすること、素足で歩かないことも予防になります。

女性は服装に合わせるために靴を何足も持っているかもしれませんが、冬の時期は連日同じブーツを履くこともあるのではないでしょうか。それではブーツが乾く間もなく履き続けることになるので、菌が増えやすくなってしまう。できれば3足くらい用意して、ローテーションにするのがベストです」

ブーツ
冬であっても同じブーツを毎日履くのはNG!(Ph/photoAC)
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自己判断せず皮膚科へ

水虫かなと思ったら、自己判断をせずに皮膚科で診断してもらうと安心です。

「接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎など、水虫に似た症状の病気もあります。水虫だと決めつけて市販の薬を使っても、治らないかもしれません。反対に、角質増殖型の場合は、冬の乾燥でかかとの皮膚がガサガサになっていると考えて軽石などで擦ってしまい、その細かい傷から菌が入り込んで水虫が悪化することもあります。ですから医師に診断してもらって、適切な治療をしていくことが大事です」

水虫のような症状が現れては治ることを何年も繰り返している人は、実はずっと水虫に侵されている可能性があります。

「水虫は一見治ったように見えても、菌が皮膚の中に潜んでいることがあります。この場合も、皮膚科で診てもらって、症状が軽いうちに治療してしまいましょう」

コロナ禍のため、これまでは外出を控えていた人も、コロナの状況によっては、旅行や外出の機会が増えるかもしれません。

足の裏
乾燥している冬こそ水虫を完治するチャンス!(Ph/photoAC)
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「家族がステイホームをしていれば、外から水虫の菌を家に持ち込むことはありませんでした。しかし、旅行先や忘年会、ホームパーティーにお呼ばれするなど、行動範囲が広がるほど、感染する可能性は高くなります。人との接触を避けて通販をしていた洋服も、店内の試着室を利用すれば、カーペットから菌をもらうこともあるかもしれません。

これまで自粛をしてきたのですから、イベントや買い物を大いに楽しみたいものですが、家に帰ってきたら、しっかり足を洗うくせをつけたいですね。乾燥する冬の季節は、皮膚に潜む菌が減少しているので、水虫を完治する絶好の機会ですよ」

◆教えてくれたのは:医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん

医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
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1988年に慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとしてテレビやラジオ番組への出演、執筆、講演などで活動。『そもそも血糖値ってなんですか?』『高たんぱく質レシピ151』 (ともに主婦の友社)、『危ない! 命を縮める健康法』(アントレックス)など著書・監修書多数。https://fukuda-chiaki.com/

取材・文/小山内麗香

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