
「将来のためにお金をどう増やすか」は、多くの家庭が抱える悩みです。しかし、物価高・インフレが生活を圧迫するなか、貯金する余裕がないという人は多いはず。しかし、『90日で「貯める力」をつける本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者で、これまで2万4000件の赤字家計を再生させてきた家計再生コンサルタントの横山光昭さんは、「年収が低い、家族が多い、貯め方がわからない、といったどのような局面でも貯めるコツがある」と指摘します。
お金の使い方「3つの基本定義」
横山さんは、「貯める力」の習得は、その「使い方」を分け、把握することから始まると言います。
「お金の使い方は、『消費(ショー)』『浪費(ロー)』『投資(トー)』の3つに分けられます。それぞれ、具体的な支出を当てはめてイメージしてみましょう」(横山さん・以下同)

「消費」は必要支出
「食事や居住費、水道光熱費、教育費、被服費、交通費など、必要なものの購入や、使用料としての支払い全般を消費といいます。生産性はさほど伴わないものです」
「浪費」はいわゆるムダづかい
「いわゆるムダつかいを浪費と言います。嗜好品(タバコやお酒、コーヒー)もそうですし、度を越した買い物やギャンブル、クレジットカードのリボリビング払いなどの固定化された高い金利なども当てはまります。もちろん生産性もないお金の使い方です」
「投資」には学びも含まれる
「一方、習い事の月謝や本代など学びの費用、投資信託、貯金などが投資です。必ずしも生活に不可欠ではなくても、将来の自分に有効な、生産性の高いお金の使い方を指します。生産性が伴う点で、消費とは対極にあるのが特徴です」
何をどう減らすか
自分のお金の使い方が把握できたら、「減らせるものを減らす」段階に移ります。

「『貯める力』を身につけるために今後、減らしていただきたいのは、まず『浪費』の部分です。そして、必要以上に偏った『消費』の一部も見直します」
「浪費」、「偏った消費」を減らす
「家賃や光熱費などの必要最低限の消費がダメなのではないし、ムダになるかもしれないからといって投資がNGなわけでもありません。バランスよく消費し、自分への投資はむしろ積極的にしてほしい。そうすることで、実生活に変化が生まれ、人生が少しずつ豊かになっていくのです」
「貯める力」の目的は、お金ではなく、人生を豊かにすることです。
「いくら」より「何に」の見える化を
では、ムダな支出をどう見極めればいいのでしょうか。
「『これは消費? 浪費? 投資?』と、お金を払う時、まずはそんなふうに自分に質問してみてください。はじめはすぐに判断できないこともあるでしょう。ですが、3か月(90日)もすれば、反射的に分かるようになります」
そのうえで、支出の「見える化」に取り組みます。

家計簿の付け方のコツ
「自分の出費がどの項目にあたるかを知るには、見える化する必要があります。そのために家計簿を使いましょう。お金の流れや収支を把握するために家計簿はとても有効です」
ポイントは、家計簿の支出欄の各項目を「消費」「浪費」「投資」に分けることです。家計簿をつけたことがない人は、支出した項目(住居費、食費、水道光熱費、交際費など)を、自分なりに「投資」「消費」「浪費」の3つに分けることから始めます。
同じ支出にも「消費」と「浪費」がある
同じ支出項目でも、消費、浪費、投資と分かれることがあるようです。
「携帯代という支出は、生活や仕事に使っている部分は『消費』ですが、過度なデータ通信料やアプリゲームの課金は『浪費』です。要するに、“いくら使ったか”より、“何に使ったか”が大事なのです」
家計簿の目的はバランスを知ること

「家計簿の目的は、細かなお金の出入りを把握するためではなく、お金の使い方や流れを知ることにあります。消費・浪費・投資の3つの割合(バランス)を自分でわかるようにするためなのです」
そうすることにより、食費や住居費、小遣いといった項目の枠組みは取り払われ、「消費」「浪費」「投資」の3種類での使用合計が浮き彫りになります。
「少しずつ意識していくことで貯金体質へと変化していきます。まずは浪費を減らすことを意識しながら生活を送りましょう」
◆教えてくれたのは:家計再生コンサルタント・横山光昭さん

株式会社マイエフピー代表取締役。家計再生コンサルタントとして赤字家計の抜本的解決、確実な再生を目指す。個別相談・指導では独自の貯金プログラムを活かし、これまでに2万4000件以上の赤字家計を再生。著書『年収200万円からの貯金生活宣言』はシリーズ累計100万部、『はじめての人のための3000円投資生活』はシリーズ90万部のベストセラーに。2022年10月、『90日で「貯める力」をつける本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出版。
https://twitter.com/chokin_myfp