
コードレスティック掃除機は、吸引力から使い勝手の良さまで、年々進化しています。さらに、今は水拭きができるタイプもあるそう。果たしてその実力とは? 水拭きロボットや吸引も水拭きもできるロボット掃除機と、どちらを選んだらいいのでしょうか? 家電ライターの田中真紀子さんに選び方のヒントを教えてもらいました。
水拭きもできる掃除機とは?
1台2役をうたう海外製品が登場したのはここ5年。1台でゴミを取り除くだけでなく、床拭き(乾拭き・水拭き)もできるコードレススティッククリーナー。いつ頃から市場に出てきているのでしょうか?

「床拭きができるスティック掃除機自体は、簡易的なものなら15年以上前からありましたが、“掃除と床拭きが1台でできる”とうたう製品が日本市場に登場し始めたのは、ここ5年ほどのこと。特に掃除機を扱う海外メーカーが続々参入しています。製品数はまだ少ないですが、日本は特に床の水拭きをしっかり行いたい人が多い。床拭き機能付きロボット掃除機の需要の高さから、今後、コードレススティックでもさまざまな製品が出てくると考えています」(田中さん・以下同)
吸引&水拭き兼用クリーナーには主に3つのタイプがある
ひと口に“1台でできる”といっても、その方式はさまざまだと言います。わかりやすくいえば、掃除機に床拭き機能を付加したタイプ、電動水拭きモップをかけながらゴミをかき取るタイプ、クリーナーのヘッドを付け替えることで吸引と水拭き機能をチェンジできるタイプです。順に見ていきましょう。
一般的な掃除機に床拭き機能を付加
「まずゴミ吸引の仕方でいえば、掃除機の吸引モーターを搭載しているもの、非搭載のものに分かれます。前者は、一般的な掃除機のように吸引モーターを搭載し、掃除機がけも床拭きもしっかり行う方式です。いわば、一般的な掃除機に床拭き機能を付加したイメージです。ゴミを吸引しながら床拭きを同時に行う製品もあります」
床拭きしながらゴミを拾い上げる
「吸引モーターを搭載せず、ヘッドに搭載したローラーモップを回転させる力で、床拭きしながらゴミを拾い上げていく方式です。わかりやすくいえば、電動水拭きモップをかけながら同時にゴミをかき取るタイプです」
ヘッドを付け替えてゴミ吸引と拭き掃除をチェンジ
「コードレススティッククリーナーのヘッドを付け替えることで、床拭きできるようになる製品もあります。当然ながら、ゴミ吸引と拭き掃除は同時にはできません」
水拭き・吸引兼用のコードレススティッククリーナーのメリット・デメリット
では、ゴミ吸引・床拭き兼用のコードレススティッククリーナーならではのメリットは何でしょうか。

吸引と水拭きが同時にできて時短に
「床の拭き掃除は従来、雑巾掛けするものでしたが、疲れる、膝が痛い、などの理由から、フロアモップで立ったまま行う人が増えているジャンル。そのため、自動でモップが回転する“拭き掃除専用”のスティッククリーナーも早い時期から登場していました。
それだけに、近年登場した1台で水拭きと吸引ができる製品、特に同時にできるタイプは、ラクをしながら時短もできるため、便利といえます」
ただし、こんな側面も…。
入り組んだ場所や階段などの掃除は苦手
「比較的新ジャンルであることから、水拭きのクオリティーがまだ機能的に安定していない製品もあります。タンクの水を入れる工程が面倒なもの、モップが吸水しすぎて床がびしょびしょになるものなど。またヘッド部分が重くなりがちなので、入り組んだ場所や階段などの掃除は苦手。雑巾掛けすると大変な広い床面を一気に掃除するときに役立ちますが…」
ロボットにする? コードレスにする?
ロボット掃除機が使えない階段こそ、水拭き兼用のスティッククリーナーでカバーしたい。そう考える人は、慎重に製品を選ぶ必要があるようです。また、ロボット掃除機とコードレス掃除機、2台持ちの方がいい場合もあれば、最初から吸引も水拭きもできるロボット掃除機を選ぶ方法もあります。
田中さんは、選び方についてこうアドバイスします。
床にモノが多い家、段差が多い家こそコードレスタイプを
「床に物が多くある家、段差が多く部屋と部屋の間を移動できないような家では、ロボット掃除機も床拭きロボットも思うように活躍できません。特に、電源コードなど濡らすと不都合なモノが床に多い家は、コードレスタイプは重宝するでしょう。
とはいえ、先述の通り、水拭き兼用のコードレススティックはまだまだ製品の数が少なく、玉石混合。もし選ぶなら、すでに掃除機を開発しているメーカーの製品を見てみましょう。ユーザーの掃除に対するニーズも熟知しているので失敗は少ないと考えられます。ただ、海外メーカー品は、文化的、体格的な違いもあるため、店頭で試してみたり、重量や使い方をあらかじめチェックしてから購入したほうが安心です」
中でも期待できる製品を2種、田中さんに選んでもらいました。
【1】エレクトロラックス・ジャパン『UltimateHome 900(アルティメイトホーム900) EFP91835』

まず吸引力に定評のある大手海外メーカーの製品から。こちらは、ノズルを付け替えることで水拭きができるタイプです。
高い吸引力を誇るコードレス掃除機に、水拭き専用ノズルが付加
「北欧発、スタイリッシュなデザインが人気のエレクトロラックスから登場。コードレス掃除機としての基本機能が高く、従来製品の約5倍(*)となる“エレクトロラックス史上最高の吸引力”を備えています。スティックの長さを身長や使いやすさにあわせて10段階で変えられるのもユニーク」
*国際規格IEC62885-2 edition1に基づき自社ラボラトリーにて実施されたハンドユニット(最大モード時)での試験結果。Well Q6シリーズ製品との比較。(試験実施:2021年7月)
本製品はノズルを付け替えることで水拭きクリーナーとして使えます。

「8つある付属品のアタッチメントの中から、『パワープロモップノズル』を装着すると自動で水拭きモードに切り替わります。ただ、自動給水ではなく、モップパッドをあらかじめ濡らしておき、スプレーボトルから随時水で濡らす仕様なので、多少の手間はかかります」
カーペットや布団などをしっかりと行いたい吸引力重視派にも、水拭きをしっかり行いたい人にもおすすめです。
【2】アンカー・ジャパン『MACH(マッハ) V1 Ultra』

続いて、吸引と水拭きを同時に行うタイプをご紹介。
110℃のスチームとオゾン水で、除菌しながら吸引と水拭き

「掃除機でゴミを吸い込みながら、水拭きが同時に行えるコードレス掃除機です。ボイラーも搭載し、110℃のスチームとオゾン水を噴射しながら床を走行するため、床の除菌も実現。掃除機だけでは吸い取れない無数の菌やバクテリア、皮脂汚れや食べこぼしまで取り除きます」
掃除後のお手入れも楽々。
「ボタンひとつでモップの洗浄から除菌、乾燥まで行う『セルフクリーニング機能』を搭載するため、お手入れの手間も軽減。モップを洗って干す作業がなくなる点でも、大きな時短になるでしょう」
他にも画期的な製品が出そうな吸引&水拭き兼用コードレススティッククリーナー。今後に注目したいですね!
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディア
で、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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