同じ屋根の下で暮らすばかりが夫婦ではありません。離婚をしないでお互いの自由を尊重しあう関係を「卒婚」と呼び、このような夫婦関係を選択した芸能人も複数います。そこで『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)を上梓した岡野あつこさんと一緒に、卒婚について考えます。
卒婚したら毎日が楽しくてたまらない
夫婦のかたちは千差万別。近年は卒婚を選ぶ夫婦が増えているといいます。そんな夫婦の一例を岡野さんに聞きました。
「現在50代のMさんは、大恋愛の末に20代半ばで結婚。2人の子供に恵まれ、順風満帆な人生を歩んでいました。ところが、夫の浮気が発覚。一度は許すと決めたのですが、夫の顔を見るたびにムカムカして、夫婦で話し合ったうえで別居し、卒婚を選びました。仕事をしてないMさんのために夫が必要な資金を渡しているそうです。
Mさんは毎日が楽しくてたまらないそうです。いままで夫のために尽くしてきたのに、自分ばかりが家庭に縛られているのが理不尽で悔しかった、別居に踏み切って自分も自由になったら、その悔しさは吹き飛んだと、満面の笑みを浮かべていました」(岡野さん・以下)
卒婚成功のカギは信頼関係
この夫婦が卒婚できたのは、人生のパートナーとして信頼関係があったことが大きいと岡野さんは分析します。だからこそ離婚をせずに、夫はMさんが充分に暮らしていけるだけのお金を出し続ける判断をしたのかもしれません。
卒婚経験のある人が芸能人でも増加
卒婚を公言している芸能人は複数います。おしどり夫婦で知られる加山雄三さん(85才)の妻で元女優の松本めぐみさん(76才)は2014年に卒婚宣言。松本さんは1年の半分以上を米ニューヨークで暮らしていました(2020年に加山さんが救急搬送され、それを機に再び同居と報道)。
上沼恵美子さん(67才)は、結婚40年で離婚を申し出たものの、夫の反対で5年以上別居状態に。ただし、夫は週末に1泊しに来て、上沼さんも旅館の朝ご飯のような食事を振る舞うなど、関係は良好。その距離感が心地よく、会う頻度が上がっていると公言しています。「卒婚」という言葉を使ってはいないものの、事実上の卒婚でしょう。
妻のありがたさを実感して卒婚をやめたケース
一方、いち早く2012年に妻を東京に残して長野県に移住した清水アキラさん(68才)は、1人暮らしの寂しさと大変さに耐えかねて、1年4か月で卒婚を卒業したと明かし、離れてみて妻のありがたさ、愛おしさがわかったと告白しています。
「お互いにするべきことがあり、経済的にも精神的にも自立していないと卒婚は難しい。年金をたくさんもらっていても、妻に張り付く“濡れ落ち葉”なんて言われる夫もいますし、反対に夫に頼りきりの妻もいる。だから卒婚というのは、人生が充実してきた年代に初めてできることなんです。
別居しなくても、お互いが自立した関係であれば、同じ家に住んでても自由にできます。妻はボランティアに走り回り、夫は定年退職をして悠々自適に1人で釣りや旅行にいそしんでいる。それぞれが自立した関係でお互いに認め合っているっているなら、それも卒婚の1つ。熟年夫婦におすすめです」