
加齢とともに悩みとして増える「薄毛」や「乾燥肌」。実はこれらの悩みを引き起こしているのは「ゴースト血管」が原因かもしれません。そう警鐘を鳴らすのは、冷えやむくみについて詳しい医師・石原新菜さん。いったい「ゴースト血管」とはどういった状態なのか、どうすれば改善するのか、詳しく教えてもらいました。
加齢で増える「ゴースト血管」に注意!
健康や美容を考えるときに、必ずと言っていいほど注目されるのが「血流」。加齢によってさまざまな健康、美容の悩みも増えますが、原因のひとつとして、一部の血管が「ゴースト血管」になってしまっているかもしれないと石原さんは言います。ではまずこのゴースト血管とはどういった血管を指すのでしょうか。

「体のすみずみまで張り巡らされている目に見えないほど細い毛細血管ですが、血流が悪いと、血液が通らなくなっている毛細血管も存在します。それをゴースト血管と呼びます。年中冷えに悩んでいる人、肌が乾燥してくすんでいる人、薄毛の人など、ゴースト血管になっている可能性があります」(石原さん・以下同)
シミやシワ、肩こりや冷え性も「ゴースト血管」が増えている証拠かも
ゴースト血管は血液が通らなくなった、いわば戦力外通告を受けた血管。そんな使われなくなった血管が健康や美容にどのように影響するのでしょうか。

「血流が低下すると細胞も活力を奪われます。ゴースト血管は血液が通らなくなった血管なので、体のすみずみに酸素や栄養が行き渡らなくなり、例えばシミやシワなどの肌トラブルが起きたり、内臓の機能が低下したり、血行不良による冷えや肩こりなど、さまざまな不調を招きやすくなります」
他にも乾燥肌や、薄毛などの髪の悩みを引き起こすこともあるといいます。
「アラフィフはゴースト血管が増えやすい世代。さらに、60~70代になると、毛細血管のゴースト化は4割ほどになってしまうこともわかっています。つまり体の若々しさを維持するには、ゴースト血管を作らせないようにすることが重要です」
ゴースト血管を改善する方法はある?
では、ゴースト血管はもとに戻せないのでしょうか。
「毛細血管は、生活習慣次第で増やすことも可能です。血液量をアップさせることと、血液の流れをよくすることが復活のカギになります。まずはゴースト血管を作らせないことが大事なので、1年中冷え対策は欠かせません。夏でも冷房で冷えるので、腹巻きをしたり、しっかりお風呂に浸かった入浴で臓器を温めてください」
体を温める+血流をよくする食べ物を積極的に摂ることで改善
ゴースト血管を改善する食生活のコツはあるのでしょうか。

「基本は温かい食べ物や飲み物を摂ること。食材としては、体を温める『陽性食品』を摂るようにし、臓器の働きをよくしましょう。手軽なのは、しょうが、ねぎ、たまねぎといった薬味。血管を広げて、血流をよくしてくれます。ルイボスティーは、血管内皮細胞と壁細胞を結びつけて、血管の健康を保つ『TIE2(タイツー)』が含まれているので特におすすめです。
それから、血管を丈夫にしてくれるルチン、ヘスペリジン、ケルセチンも積極的に摂りたいですね。ルチンはそば、ケルセチンはたまねぎ、ヘスペリジンはレモンなどの柑橘類にはいっています。若返りビタミンとも言われるビタミンEが豊富なアーモンドやキウイもおすすめです」
これからの汗ばむ季節も冷房による冷えに気をつけ、食事面では血流をよくしてくれる食べ物を積極的に摂りながらゴースト血管を改善していきましょう。
◆教えてくれたのは:医師・石原新菜さん

イシハラクリニック副院長。父である石原結實氏のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察のほか、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書に『がんばらなくても2週間で-3kg 医者が教える奇跡の16時間断食』(宝島社)などがある。https://www.ninaishihara.com