
「てんきち母ちゃん」名義で料理ブログを始めて、3人の子供たち中心の家族ごはんを長年紹介してきた料理ブロガー・料理研究家の井上かなえさん。50代になり、子供たちも1人、2人と独立していき、いよいよ夫婦2人暮らしが間近に。そんなタイミングで出版したレシピ本『野菜たっぷり! 夫婦ふたりの簡単大人ごはん 』(扶桑社ムック)。同書から、“大人ごはん”にぴったりのレシピを紹介します。
ヘルシーで野菜たっぷり、調理方法と味つけはごくシンプルに
「若いころは体力もあったので、手間暇かけて料理することを楽しんでいましたが、年齢を重ねるごとに調理はよりシンプルに、手をかけなくてもいいところは省略。より作りやすい料理へと、作るものも変化してきました。“鍋に入れて煮るだけでいい”というのも、手間を省いたというだけではなく、手間暇かけて作ったのと遜色なく作れる方法にたどり着けたから」(井上さん・以下同)
同書では、旬の野菜をたっぷり使って(1レシピに1日に摂りたい野菜350gの1/3量入り)、体に優しくて食べやすくておいしい、なにより作るのが簡単なレシピをたっぷり紹介。
また、「子供2人が独立した今、わが家の食事も夫婦2人のことが多くなってきました。だから分量も2人分。シンプルな調味料にスパイスをきかせたり、香味野菜がたっぷり入っていたり、子供が小さなころはなかなか作れなかったものもあります」とも。
手羽元と大根を昆布と塩だけでシンプルに煮たスープや、キャベツとにらと豚バラ肉を蒸し煮したところに大根おろしとにんにくポン酢しょうゆをかけたり、豚バラ肉とセロリを粗びきこしょうとしょうゆで蒸し焼きしたところにレモン汁をキュッと絞りかけたりした料理も。井上さんのレシピは、子供ウケを狙わない、大人がしみじみ味わえるレシピになっています。
おいしさの方程式は長年のレシピ研究と、そしてブログというマーケティングツールから導き出された確かなもの。今回は、「しいたけのおかかハンバーグ」と「ブロッコリーのおかかあえ」レシピを紹介します。
噛むほどにうまみがあふれ出る「しいたけのおかかハンバーグ」レシピ
主役はきのこ、豚ひき肉、きのこ、かつお節が織りなすうまみのトリプルパンチのビッグハンバーグ。噛むほどにうまみがあふれ出るうえ、ヘルシーなので、罪悪感ゼロでペロリといただけます。味がついているのでソースなしでOK。

「ひき肉料理には、野菜をたっぷり混ぜ込みます。私は『野菜のつなぎにひき肉を使っている』くらいをイメージしています。すると、野菜の水分が肉だねをジューシーにしてくれて、見た目よりもフワッと軽い食感に仕上がり、大人の胃にも優しくなります。野菜から水分が出るので、混ぜたらすぐに焼いてください」
《材料》(2人分)
豚ひき肉…150g しいたけ(軸とかさとともにみじん切り)…5個(150g) えのきだけ(1cm長さに切る)…1袋強(120g) 【A】[卵…1個 かつお節…1パック(2g) しょうゆ…小さじ1 塩…小さじ1/3 薄力粉…大さじ1]サラダ油…少々 青じそ(あれば)…2枚
《作り方》
【1】ボウルにひき肉、しいたけ、えのき、【A】を入れてよく練り混ぜ、2等分にして小判形に成型する。
【2】フライパンにサラダ油をひいて【1】を並べ、中火にかけて2分ほど焼く。こんがりと焼き色がついてきたら裏返し、ふたをして弱めの中火で7~8分蒸し焼きにする(箸で押してみてはね返ってくるような弾力があれば焼き上がり)。
【3】器にあれば青じそを敷き、【2】を盛る。
しいたけの代わりにマッシュルームで作るのもおすすめです。しめじやまいたけなど、いろいろなきのこで作って、味わいの違いを楽しんで!
少ない調味料でもしっかり満足感のある味に「ブロッコリーのおかかあえ」レシピ
ブロッコリーはゆでずに塩をふって蒸し焼きに。水っぽくならないので、少ない調味料でもしっかり満足感のある味に仕上がります。お弁当の彩りにも役立ちますよ。保存期間の目安は冷蔵で5日間。

「忙しい日でも野菜を欠かさず食べるためには、やっぱり作りおきが便利。お弁当にも夕食にも使える野菜の副菜を冷蔵庫にストックしています。挫折しないために『作るのは週末、かける時間は全部で30分』、『分量は2人で1~2回分』『1品ずつに使う食材を少なく』をマイルールに。無理なく長続きできる秘訣です」
《材料》(作りやすい分量)
ブロッコリー(小房に分け、軸は食べやすい大きさに切る)…1個(250g) 塩…小さじ1/3 ごま油…大さじ1 しょうゆ…小さじ1 かつお節…1パック(2g)
《作り方》
【1】フライパンに洗って水気がついたままのブロッコリーを入れ、塩をふり、ごま油を回しかける。ふたをして中火にかけ、3分ほど蒸し焼きにして火を止め、ふたをあけて冷ます。
【2】しょうゆをふり、かつお節を加えてまぶす。
ブロッコリーは、ゆでるより蒸し焼きにしたほうが味が濃くなっておいしい! 加熱しすぎずにコリコリ食感を残すと食べごたえのあるおかずになります。
◆教えてくれたのは:料理ブロガー・井上かなえさん

料理ブロガー、料理研究家、野菜ソムリエ。1972年広島県生まれ、兵庫県在住。てんきち母ちゃん名義で2005年にスタートした、3人の子供たちのリアルな日常と日々のごはんを綴ったブログ『母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記』はライブドアブログで2018年に殿堂入りし、レジェンドブログに。累計48万部のベストセラーとなった『てんきち母ちゃんの毎日ごはん』シリーズ(宝島社刊)や、累計15万部の『てんきち母ちゃんの朝10分、あるものだけでほめられ弁当』シリーズ(文藝春秋刊)など、著書累計80万部を突破。https://inoue-kanae.blog.jp/