
髪を傷めにくい低温ドライヤーが登場するなど、年々進化しているヘアドライヤー業界。中でも今、家電ライターの田中真紀子さんが注目しているのは、従来の軽量型より本体だけでおよそ200gも軽くなった、スリムタイプのヘアドライヤーです。果たして、それほど軽くてコンパクトなドライヤーでも、速く乾せるほどの風量が出るのでしょうか? スリムタイプのドライヤーの実力と注意点を、教えてもらいました。
直径4cm前後のスリムなヘッドで、300gを切る軽量ドライヤーも登場
「髪は短時間で乾かしたほうが時間の節約になるだけでなく、頭皮と髪を傷めにくいとされていることから、ここ数年のドライヤーは速乾性が期待できる大風量のドライヤーが増えてきました。一方で、大風量ドライヤーはパワフルなモーターを搭載しているため重量があるものが多く、腕が疲れるという指摘も。そんな中近年、急速に増えているのが、軽量スリムながら大風量を実現したドライヤーです。
従来のドライヤーとは形状が異なり、多くがヘッドの直径40mm前後ととてもスリム。さらに重さも、従来は本体だけで500gを切ればそこそこ軽いとされていたところ、300g前後か、300gを切るものもあります。それでいて大風量、速乾性を実現しています」
ちなみに、「大風量」というのは、どれほどの風量を指すのでしょうか。

「従来、もっとも大風量とされていたのが、ダイソンの2.4立方メートル/分ですが、近年のスリムドライヤーの中には、より大きな数字で表示しているものもあります。ただし最近は風量を公表していなかったり、別の規格で算出しているものもあり、風量の数字だけでは判断しにくくなっています。
軽量かつ効率的にパワフルな風を出せる「ブラシレスDCモーター」を採用
コンパクトながら大風量を出せるのは、搭載されているモーターに秘密があるそう。
「スリムタイプで大風量をうたっているものの多くは、ブラシレスDC(BLDC)モーターを搭載しています。これはブラシ付きに比べて軽量で、効率よくパワフルな風を送ることができるモーターです。また吹き出し口をスリムにすることで風の勢いが増し、周囲の風を巻き込んで風量がアップするため、コンパクトながらパワフルな風量を出せるのです」
吹き出し口がスリムであることから、同じ「大風量」でも、従来のドライヤーとは使用感が異なるそう。
「吹き出し口から勢いある細い風がダイレクトに頭皮に当たるような感覚があり、髪の毛の根本、つまり地肌の方までしっかり乾かせます」
スリムタイムのドライヤーのデメリット
一方で、スリムタイプのドライヤーにもデメリットがあります。
「前述のように風の勢いがある一方、ピンポイントで吹き付けるので、髪表面や毛先を乾かすのに時間がかかる場合があります。またスリムな分、ゴーッという風切り音が大きく、うるさく感じる人もいるかもしれません」
以上を踏まえて、田中さんのおすすめ製品を3点、教えてもらいました。
【1】MTG『リファビューテック ドライヤースマート』

本体は幅49mm×奥行216mm×高さ197mm程度で、直径約20cmという驚異的なコンパクトサイズ。
速乾性はもちろん、しっとりまとまる質感も期待

「MTGが世界的メーカー・Nidec(旧・日本電産)と開発した独自の『HPDモーター』を搭載。取り込んだ空気をファンモーターで風速・風圧の高い風に増強することで、本体重量330gと軽量コンパクトながら、速乾性を実現しています。さらに頭皮と毛先を美しく守るため、温風と冷風を自動で切り替えて温風温度を微調整する『センシングプログラム』、空気中の分子をイオン化させることで、髪の表面は乾いていても髪内部は水分を含んだ“しっとりまとまる質感”に仕上げる『イオナイザー』、髪の内部まで熱が届きやすい熱遠赤外線を放出するセラミックを搭載した高機能モデルです」
【2】Re・De『Re・De Hairdry』

本体サイズは幅38mm x 奥行185mm x 高さ170mmと、直径20cmを切るコンパクトサイズ。
255gの軽さでパワフルな風量。両手が空く“ドライヤースタンド”も付属

「本体重量255gと業界トップクラスの軽さを実現。またスリムな筒型と独自のノズル形状により、風量3.6立方メートル/分、風速53m/秒(独自の算出方法による)とパワフルな風を吹き出します。便利なのは、スタンドが付属しており、スタンドに立てた状態で使えば、ヘッドマッサージしながら髪を乾かせること。さらにスタンド使用時に推奨の『STAND』モードは、低温・弱風なので、子供が一人で使うときにも安心です」
【3】シャープ『プラスマクラスター ドレープフロードライヤー IB-WX901』

従来のヘッドの概念を覆すスクエア状のコンパクトヘッドが印象的。
速乾性、パワフル風量、美髪機能をあわせもつシャープの新製品

「こちらはスリムではありませんが、ヘッドが超コンパクトに進化。毎分約10万回転する高速小型モーターを採用し、従来2つだった吹き出し口を4つに増やすことで、同社史上最大風量を実現しました。4つの吹き出し口から送風するため、髪を押し分け頭部の広範囲に風が当たり、効果的に乾かします。プラズマクラスターイオンが、静電気や摩擦ダメージからキューティクルを守り、水分子で髪をコーティングするほか、熱に弱い髪の表面を55℃以下の低温に保つ『SENSING』モードなど、美髪を叶える機能も搭載」
これほどコンパクトなドライヤーなら、旅行カバンに入れても幅を取らず、旅先でも美髪を保てそうです。ヘアドライの最中も手が疲れにくいのも助かりますね。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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