独特の香りと味わいがおいしいセロリは、冬から春にかけて旬を迎える野菜です。野菜ソムリエプロの福島玲子さんは、「セロリは栄養がたっぷりで、体にも心にもよい効果があります」と話します。詳しい栄養と、おすすめの調理法を教えてくれました。
* * *
セロリの香りには、健康によい栄養素がたっぷり
セロリは、シャキシャキした歯ごたえと爽やかな香りが特徴の香味野菜。この香りの正体は、実は栄養素に関係しています。ほかにも、健康によい栄養素をたっぷり含んでいるんです。
体にも心にも効果的なセロリの香り成分
セロリには40種類もの香りの成分が含まれています。その中でも、代表的な香り成分であるアピインとセネリンは、心を落ち着かせ、ストレスを緩和する効果があると言われています。
また、葉に含まれるピラジンという香りの成分には、血流を促進し、脳をリラックスさせて精神を安定させる働きがあります。さらに、 冷え性や肩こりの緩和、イライラや不安の解消、生活習慣病予防といった効果も期待できます。
不溶性食物繊維が豊富でお腹にも◎
セロリはお腹の健康にも効果をもたらします。腸の動きを活発にする不溶性食物繊維が豊富で、腸内の老廃物を排出する働きがあります。腸内のビフィズス菌を増やす効果もあるので、便秘の改善に役立ちますよ。
また、キャベジンとも呼ばれるビタミンUも豊富です。胃酸の分泌を抑え、胃や腸の粘膜を健康に保つ働きがあるので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防、改善に効果が期待できます。
むくみや美肌にも効果的な栄養素
さらに、むくみの解消や高血圧に効果的なカリウムと、体内でビタミンAに変換されて皮膚や粘膜の健康を守ってくれるβ-カロテンもたっぷり含まれています。
ちなみに、β-カロテンは葉に多くあり、茎の2倍も含んでいます。前出のピラジンも葉に含まれているので、セロリを買ったときは葉までいただくのがおすすめです。生で葉を食べると硬いと感じるかたは、加熱調理をしましょう。油で炒めると、やわらかくなって食べやすくなるうえに、β-カロテンの吸収率もよくなるので一石二鳥なんです。
野菜ソムリエプロおすすめのセロリ活用レシピ
シャキシャキ感が特徴のセロリは、生でも火を通してもおいしい野菜。サラダに活用したり、スープや炒めものなどにも使えたりと万能です。火を通すと、独特の香りも和らぎます。
定番のピクルスもいいですし、意外かもしれませんが、セロリは煮物にしてもおいしいです。おすすめは佃煮。ほのかにセロリの香りが残って歯ごたえもあり、味濃く煮込むのでご飯のおともにもおすすめです。セロリを使ったピクルスと、佃煮のレシピをご紹介します。
「セロリのピクルス」のレシピ
《材料》(作りやすい分量)
セロリ…1本
【A】(ピクルス液)酢…1カップ、水…1/2カップ、砂糖…大さじ3、塩…小さじ1/2
(お好みで)ローリエ、ディル、ローズマリー、鷹の爪
《作り方》
【1】セロリを食べやすい大きさにカットし、好みのスパイスと一緒に瓶などの保存容器に詰める。
【2】【A】の材料をすべて鍋に入れ沸騰させ【1】に流し込み、冷めたらふたをして冷蔵庫で保存。保存期間は1週間程度です。
「セロリの佃煮」のレシピ
《材料》(3人分)
セロリ…2本(茎と葉合わせて100g程度)、しょうゆ…大さじ2、酒…大さじ2、砂糖…大さじ1、みりん…大さじ1、かつお節…5g、白ごま…大さじ1
《作り方》
【1】セロリの茎を薄切りにする。葉は細かく刻む。
【2】フライパンにしょうゆ、酒、砂糖、みりんとセロリの茎を入れて火にかけ、調味料が沸騰してきたら葉を加える。
【3】加熱しながらよく混ぜ、しんなりとして汁気が無くなるまで煮る。
【4】皿に盛りつけ、かつお節と白ごまをふりかけたら完成。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ