暮らしのプロが実際に使ってみて「これ買ってよかった!」と実感した便利グッズと、暮らしに役立つテクニックを教えてもらうこの企画。今回は、管理栄養士で防災食アドバイザーとして活躍する今泉マユ子さんが、防災食に最適と推す「カップスープ」について教えてくれました。
常温保存可能で心の栄養にもなる
今泉さんが防災食としておすすめするのが、「カップスープ」。コンビニやスーパーなどで手軽に購入できますが、これが防災食に最適なのだそうです。
「長期保存出来る防災食は、普段の食事でなかなか食べず、しまい込んでしまいがちですが、いざ食べてみたら口に合わなかったという場合、食べることがストレスになってしまいます。災害が起きたあとは、非日常が続くことだけでもストレスになります。そのようなときに普段と同じ食事をすることで、日常を取り戻せることがあります。
”いつもの味”は、心をほっとさせてくれるでしょう。栄養バランスも大事ですが、災害が起きたあとは心の栄養をとることも大切です。非常時にいつも食べ慣れたスープが1杯あるだけでも、ホッと安心できるものです」(今泉さん・以下同)
種類豊富で飽きがこない、小さな楽しみになるカップスープ
防災食、非常食は普段から食べ慣れておくことが大事。カップスープ市場は今盛り上がっていて種類豊富にそろうのも魅力です。自分の好みの味を見つけておくことがおすすめだと今泉さんは言います。
「非常時用に購入するのではなく、自分の好きなもの、普段から食べたくなるものを選んで家に置いておくことがポイントです。種類豊富に家にあると選ぶ楽しさがあります。
『これを食べなければならない』『これしかない』という気持ちで食べるより、『どれを食べよう』と選ぶことで前向きになり、心を豊かにしてくれます。災害が起きたあとに食べる食事は、決して我慢して食べるものではありません。『おいしい』と思ったものを食べることができると、ホッと安心できます。好きなものが家にあると『あれが食べられる!』と、少し気持ちも落ち着くかもしれません。
『ポッカサッポロ じっくりコトコトカップ入りスープ』は8種類あり、我が家はいつも数種類置いていて、食べるとまた違う味を購入して、ローリングストックしながら普段の食事で楽しんでいます。コーン、かぼちゃ、クラムチャウダー、じゃがバターポタージュ、きのこポタージュ、温サラダほうれん草チャウダー、温サラダミネストローネ、温サラダオニオンチャウダー、日によって食べたいスープは変わるので、そのとき選べるように種類豊富にそろえています」
腹持ちがよく、野菜もはいっているのが推し
数あるカップスープの中で、今泉さんが防災食として特におすすめするのが、主食となるパンなどと野菜がはいったタイプ。
「私が好きな『完熟かぼちゃポタージュ』は、かぼちゃの甘みが濃厚でとろ~り優しいお味。そして『温サラダミネストローネ』と『温サラダほうれん草チャウダー』も大好きです。乾燥野菜がたっぷりはいっていて、噛むとシャキシャキして野菜を食べてる感があり満足度が高いんです。災害時は野菜や果物の摂取が不足しがちになるので、もしものときにこれらが食べられたらどんなに嬉しいでしょう。はいっているパンはどちらも全粒粉入りで、食べ応えがあり腹持ちもよく、災害時にも嬉しいポイントです。スープがパンにじゅわ~としみこみ、ホッとするおいしさで、体も心も温まります」
カセットコンロと水の備えもお忘れなく
カップスープを食べるためにはお湯が必要ですが、どんな準備が必要でしょうか。
「カップスープは、お湯を注ぐだけで簡単においしいスープが完成します。水は飲料用に1人1日あたり3リットル×3日分(できれば7日分)備えましょう。水の備えが心もとないと、少しずつ飲もうとして脱水症状になり危険です。そしてお湯を沸かせるように、ガスや電気が止まった場合を想定して、カセットコンロとカセットガスボンベは必ず準備してください。カセットガスボンベの使用期限は7年と言われているので、月に一度は使う機会を作り、食材だけでなく調理アイテムもローリングストックしながら備えることをおすすめします。どんなときでも温かいものが食べられますように」
◆教えてくれたのは:管理栄養士・防災士・防災食アドバイザー・今泉マユ子さん
管理栄養士として大手企業社員食堂、病院、保育園に長年勤務。食育、災害食に力を注ぎ、2014年に管理栄養士の会社を起業。レシピ開発、商品開発に携わるほか、防災食アドバイザーとして全国で講演、講座を行う。レトルトの女王、缶詰の達人とも呼ばれ、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEBサイトなどで活躍中。著書に『もしもごはん』(清流出版)シリーズ、『防災教室』(理論社)シリーズの他、多数。公式ブログ「食育大好き!まゆまゆのブログ」https://ameblo.jp/gogoshokuiku/