片づけ上手な職業はデザイナー、カメラマン?
ちなみに私の知る限り、出版界で片づけが上手な職業ナンバー1はデザイナーね。乱雑なデザイン事務所なんて見たことがないもの。置いてあるスリッパから椅子までスタイリッシュ。次にキレイなのがカメラマン。こちらは華美さはないけれど、カメラ機材が整然と片付いている。で、最もダメなのが私と同業のライターだ。「資料」と称して、捨てられない本や紙類があちこちにぎゅうぎゅう詰めで、それが床まであふれ返っているのは私だけじゃない。だからライターは私の部屋に来ても驚かないどころか妙にくつろいだ顔をしているんだわ。わが身を振り返って思うに、ライターは目のレンズがゆがんでいるんだと思う。見たいものは細部まで見て、見たくない部分は見ないという、都合のいい機能が備わっている気がするんだけど、どうかしら。
で、私たちが専門職だとすると、それらに指示だしをして取りまとめるのが編集者という仕事で、この人たちの片づけ力は、ある人はある。ない人はない。その中で、元ライターで今は優秀な編集者になったMさんの机はいつもきれいなの。職場はキレイでも家は大変なことになっている人もいるけれど、彼女は部屋もスッキリと片付いていたんだわ。Mさんいわく。
「そういえば私もライターのときは部屋の中、ぐちゃぐちゃだったのよ。でもある時、取材先で『すべての物の住所を決めなさい』と言われて、ああそうかと目が覚めたのよ」だって。そうか、住所は一度決めたら引っ越すまで変わらないものね。
ベッドメイクだけは続けている!
で、私の捨て活だけど、【80代元気ばあちゃん】の動画で度肝を抜かれ、数日間、手が止まったけど、朝起きたらご覧の通りのベッドメイクだけはしている。真ん中に敷いている敷物は以前、中近東のある国の大使館にお呼ばれしたときにお土産でいただいたもので、これを広げるたびに政情不安な遠い国に思いをはせている。「だからそれが何になる」と言われたらそうなんだけどね。日常からふっと遠くに気持ちを飛ばすと、どういうわけか気持ちが落ち着くのよ。ちなみにベッドの横に敷いているのは26歳のときにイスタンブールで買ってきた羊毛のじゅうたんだ。
それから亡き愛猫、三四郎の肖像画をチラ見してから、のたりのたりと手を動かして、床に落ちているものを拾い上げたりして、私なりの朝のルーティンを始めるわけ。そうそう。人は人。私は私よね。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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