ライフ

66歳オバ記者、「捨て活」を始めて改めて認識 「捨てなきゃよかった」というものはほとんどない

オバ記者
定期検診を受けに行ったオバ記者。先生の発言に思わず「え」?(写真は昨年検査に行く前の写真)
写真7枚

ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。ここ数年、愛猫や身内の死を相次いで経験。昨年は自身の大病で手術、入院をした。それから意識した“終活”。モノを捨てる「捨て活」を始めたのだが、そんなある日、病院の定期検診で「片づけどころじゃない」事態に――。

* * *

引っ越しでは“捨てる捨てない”がハッキリ見える

18歳で上京して最初に住んだのは文京区。それから板橋区、江戸川区で4か所。千葉県八千代市に移り、再び東京の中野区、渋谷区、文京区に戻って、中央区、千代田区。長く住んだのは中野区で10年、2度目の文京区も15年住んだけれど、それにしてもまぁ、落ち着かないこと。

オバ記者の母ちゃん
母ちゃんも物が多い人だった
写真7枚

とはいえ引っ越しは私のような片づけられない女には最強の捨て活で、引っ越しのトラックに横付けされ、引っ越し業者のお兄さんから「えっ? まだ荷造り、半分も終わってねーじゃね!」という視線にさらされると、身体中の毛穴という毛穴が開いて無我夢中。移転先に持っていくものと、捨てるものがまぁ、恐ろしいほどハッキリ、くっきり見えてきて、「そろそろいいですかねぇ」なんて追い立てられるとイヤでも身体が動いちゃう。

「年末までに捨てまくろう」と決意した矢先…

これを捨て活というかというと、かなり微妙だけど、数々の引っ越しをしてきた私はハッキリ自覚しているのよ。「捨てなきゃよかった」なんてものはほとんどないってことを。台所用品だって絞れば半分になる。食器だって洋服だってそう。

でね、問題は今までと同じやり方で次もいけるのかってことなんだよね。追い詰められても年齢的に身体がいうことをきくかというとかなりヤバいと、昨年の“卵巣がんの疑い”で大手術した私は思ったんだよね。それで先日から捨て活を始めたわけ。やることはひとつ。毎日、何かを捨てること。「捨てるものはないか~」とマンションのワンルームの中をゴミ袋を引きずって見渡すと、あるわあるわ。

オバ記者
エルメスのニットジャケットも処分することに!
写真7枚

それで、さあ、年末に向けて馬力だして捨てまくりましょう!と、張り切っていたわけ。先日、昨年の秋に大手術をした病院で定期検診を受けるまでは。

「検査ですい臓に6mmの……」

こういうの、何ていうんだろうね。胃カメラは余裕のよっちゃんなのに、注射器がダメ。ましてや針の先から血液が抜かれるなんて、想像しただけで後頭部がスーッと寒くなる私。だからいつもあさっての方を向いて、針が刺さる瞬間は「ああああ~」と迷惑にならない程度の声を出してしのいでいるんだわ。

オバ記者
後ろに写ってるのは採血室。針が刺さる瞬間が怖い
写真7枚

大学病院は診察室に入るまで2時間待ちは普通だけど、今回は血液検査をしてその結果待ちなのか2時間半を過ぎてからやっと、「野原広子さーん」と呼ばれたわけ。

「お久しぶりです。手術から1年たちましたけど、体調はいかがですか?」とE先生に聞かれたので、「はい。手術跡がいびつだったお腹もずいぶん均等になってきて元の身体にもどってきた感じです」と答えると、「そうですか。それはよかったです」と、ここまでは想定内だったの。「今日は内診をします」というのも、「はいはい」とふたつ返事よ。前回は内診をしなかったから、ちょっと心配だったし。

ところがE先生、次の瞬間、わが耳を疑うようなことを言ったんだわ。「前回の検査ですい臓に6mmののう胞が見つかりまして、なるべく早くそちらの検査をしてください。いつがいいですか?」だって。

オバ記者
気軽な気持ちで(?)診察室に入ったら「すい臓に6mmののう胞がある」と
写真7枚

「いま、すい臓っていいました? だったらかなりヤバいですよね」と反射的に聞くと、「でもがんではないし、のう胞は6mmとかなり小さいので、これから経過観察をしたほうがいいということです。こののう胞は前回の検査でわかったんですけど、それほど急ぐ必要はないということで今日、こうしてお伝えしているんですけどね」と、いつも冷静なE先生は淡々と話すの。

親友のF子はすい臓がん診断から2か月後に他界

聞いている私はとっさのことでよく理解できない。だって私の親友だったF子はすい臓がんと診断されたから2か月後にはこの世からいなくなっているんだよ。「がんではない」と言われたところで、じゃあ、のう胞って何? それでもE先生に言われるまま、半年後の婦人科検診の診察日を決めて、1か月後の消化器内科の受信日を決めていたんだけどね。

それにして病院っておっかないことを、出し抜けに言うよね。ってか、すい臓ののう胞がどれほど怖いのかもよくわからないから、それがまた不気味。

オバ記者
すい臓ののう胞ってナニ?
写真7枚

会計の順番を待つ間にネットで調べたけど、私ののう胞がどんな状態なのかまでは当然わからない。

私は来年1月半ばの検診までどんな気持ちで過ごしたらいいのか。心配をしたらいいのか、それとも心配しなくていいのか。

どっちに転んでも、物だらけの家の片づけをしなくていいことにはならないけど、やる気、出ませんって。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
写真7枚

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

【379】66歳オバ記者、「80代元気ばあちゃん」のお掃除動画に衝撃 毎朝25分の細かいお掃除ルーティンとシャープな身体の動き!

【378】66歳オバ記者が “捨て活”を始めて気づいた「今まで片付けられなかった」ワケ

→オバ記者の過去の連載はコチラ

関連キーワード