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65歳オバ記者が振り返る“激動の1年” 母親の死から、卵巣がん疑い手術、『あさイチ』生出演まで

オバ記者
オバ記者が2022年を振り返ってみる
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介護をしてきた93歳母親の死、「卵巣がんの疑い」で自らの手術、そして『あさイチ』(NHK)生出演…。ライター歴40年を超えるベテラン、オバ記者こと野原広子(65歳)が“激動の1年”を振り返る。

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2022年ほどいろいろあった年はない

それにしてもすごい1年だったわ。65年生きてきて、2022年ほどいろいろあった年ってなかったんじゃないかしら。

「牡羊座は幸運の木星が出たり入ったりで吉凶混合の1年でしたね」と占星術師の森冬生さんはおっしゃるけど、まさにそう。

オバ記者の母親
自宅での介護の末亡くなった母ちゃん。写真は四十九日のときのもの
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2月に茨城放送のラジオ番組から依頼されて緊張でカチンコチンの初生出演。去年から帰省介護していた母親のグチを公共の電波にのせておしゃべりしたと思ったら、春先に亡くなってお葬式。

ラジオ出演したオバ記者
緊張したラジオ出演だったけど、母ちゃんの話をいっぱいして楽しかった
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グチを言ったバチが当たったのかしら。初夏からなんとなく体の調子が悪くなり、重い腰をあげて区の婦人科検診に行ったら「卵巣が12cmに腫れている」と、すぐに婦人科専門病院に行くようにすすめられた。そこで大学病院で精密検査を受けるように言われた。そのタイミングでNHKの『あさイチ』に出演しないかという話が舞い込んできたの。

卵巣が腫れて心配なのに…『あさイチ』からオファー

大学病院での精密検査が始まり、先生に生出演が可能かどうか聞いたら「まず大丈夫でしょうけど万が一、腫れている卵巣が破裂したら即入院です」と、まあ、恐ろしいことを言うんだわ。さらに「激しい運動は極力さけたほうがいいですけれど、卵巣は普通の生活をしていても何かの拍子で破裂することがあります」とも。日に日に膨らんでいく自分のお腹を見ながら、不安なんてもんじゃないわよ。

オバ記者
NHK『あさイチ』のヘアメイク室にて。出演前に自撮り
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でもNHKの『あさイチ』出演なんて、願ってもできることじゃない。そりゃあ、絶対に出たいわよ。イラストレーター・有田リリコさんとの共著『で、やせたの?』を見て出演依頼してくださったので、本の編集をしてくれたOさんは私の体を心配しつつ、大喜びして「オバは運がいいから大丈夫」と言ってくれたの。自分が不安なとき、こういう励ましの言葉がどれだけ心強いか。

本番前は緊張でドキドキだった
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個室バスの旅に「代わりに行ってもらえますか?」

で、大学病院での検査を始めたら、「良性腫瘍の可能性が高い」と言われ、私も張りつめていた気が抜けたのね(「卵巣がんの疑い」ではあるけれど)。雑誌の取材で旧知のライター、Kさんから「個室バスで東京から大阪に行く」と聞いて、「いいなぁ。行きたいなあ」と、けっこうしつこく言っちゃった。

オバ記者
不安しかなかった大学病院での検査
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Kさんも楽しみにしている様子で、私にお鉢が回ってくる可能性はほぼないと思って言ったんだけどね。出発数日前になってKさんにのっぴきならない事情ができた。「どうしても行けなくなったので代わりに行ってもらえますか?」と言われたときは、一瞬、「えっ?」と思ったんだよね。というのもそれまで腫れている下腹部は“違和感”くらいの感じだったんだけど、数日前から“鈍い痛み”に変わってきていたの。けれど、あれだけ「行きたい」と言った手前、断れない。

「きっと大丈夫!!」。乗り物好きってこういう時、絶対に“引く”という選択をしないんだよね。とにかく時間に余裕をもって出発地の池袋に行こうと、出発の30分前に到着するように山手線に乗ろうとしたら電車が来ない。最寄り駅の秋葉原の様子がおかしいの。

やっと「人身事故」というアナウンスがあったのは10分後のこと。その時はまだバスの出発時間まで一時間くらいある。「楽勝、楽勝」と思って気持ちを落ち着かせようとしたけれど山手線はいっこうに来ない。とにかく先に進もうと途中の田端駅で埼玉に向けて方向を変えてしまう京浜東北線に乗り込んだの。

田端駅から池袋駅までふつうに山手線が走っていたら4駅で10分。でもその山手線はまだ動く気配がない。こうなったらタクシーしかない。が、駅前のタクシー乗り場は長蛇の列。

長いことライターをしていると、こういう時に普通じゃないことを普通にしちゃうんだよね。乗り場のうんと手前に陣取って体から「来いっ」と念じると次の瞬間、一台のタクシーが私の前で停まってくれた。そしてその運転手さんがプロドライバーとしてド素晴らしい仕事をしてくれて、出発30秒前に滑り込みセーフ!!

バスに乗車中、振動で“痛み”が…

と、そこまでは良かったんだけど、問題はここからよ。個室バスは誰にも気がねなく寝転がれるし乗り心地は悪くない。けど、走り出してすぐバスの振動がズンズンと私の腫れている卵巣に直に響いて、もともとあった“鈍い痛み”が、時間と共にふつうの“痛み”に変わってきたんだわ。

oba
内心ドキドキしながら散歩した道頓堀
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東名高速を2時間おきに休憩いれながらだけど到着には7時間かかる。「腫れている卵巣が破裂したら即入院です」という医師の言葉が今さらながら思い出されたわよ。どうにか大阪、梅田のバスターミナルに着いたら、朝の道頓堀をちょっとだけお散歩して、撮るべき写真を撮り、すぐに近くのカプセルに潜り込んで薬をのんで横になったときは心底、ホッとしたっけ。

『あさイチ』では無我夢中で放心状態

で、どうにかNHK『あさイチ』に「ダイエット失敗の権威」と見栄をきって生出演したけど放送中、ずっと立ちっぱなしなのよ。出演中は無我夢中でわからなかったけれど終了したら放心状態。家に帰ったら即爆睡。半日、起きられなかったわ。

「ダイエット失敗の権威」として出演
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そんなこんながあった10日後に入院して、その4日後に6時間におよぶ大手術。幸い「卵巣がんの疑い」は「境界悪性腫瘍」とどっちかと言えば良性の枠に入って、抗がん剤治療はない代わり、20年近くかけていたがん保険も出ない。担当医にその話をすると、「境界悪性腫瘍は再発や他に移転する可能性が低いからなんでしょうね」とおっしゃる。がんになったら300万円は出なかったけど、よかった!!

オバ記者
6時間もの手術を終えたあとのオバ記者
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そんなドタバタの1年を下腹部の存在をまったく感じないほど回復した私が振り返って思うのは、ありきたりだけど健康が第一。何があっても健康ならなんとかなるもの。そのためには体のどこがが「ん? なんかヘンじゃね?」と思ったら即刻、病院に行くこと。定期健診も大事だけど、異変の時の受診はもっと大事だよ。それと、“痛み”があるのに個室バスで出かけたりしたけど、そういうときは無理しないのが肝心ね。

オバ記者
今はすっかり回復!
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健やかな年の初めでありますように!!

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
オバ記者ことライターの野原広子
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

【329】「卵巣がんの疑い」手術から2か月半、65歳オバ記者が「乗り切った!」と達成感を覚えた瞬間

【328】「すい臓がん」になった親友 「私、死ぬかもよ」と言った2か月後に永遠に別れるまで

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