春を告げるタラの芽やふきのとうが店頭に並ぶ時期。季節を感じる山菜は、栄養が豊富だと野菜ソムリエプロの福島玲子さんは話します。独特の苦味がある山菜ですが、その苦味も健康効果が期待できる栄養素だそうです。詳しく聞くとともに、おすすめのレシピを教えていただきました。
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タラの芽&ふきのとうの栄養効果を解説
だんだんと暖かくなる早春の時期に旬を迎えるタラの芽やふきのとうに含まれる栄養素は、美肌効果や女性ホルモンによい作用をもたらすことが期待できます。
タラの芽の栄養|美肌へ導く栄養豊富
タラの芽にはカリウムが多く含まれています。カリウムはナトリウムを排出し、摂りすぎた塩分を調節する効果があります。むくみや肌のトラブルの予防にもつながりますよ。
さらにβ-カロテンもたっぷり。体内でビタミンAに変換されて作用し、肌のターンオーバーを促したり、シミの予防や改善効果を高めたりといったことが期待できます。ビタミンAとしての機能以外にも、抗酸化作用があります。
葉酸も摂ることができ、これには造血作用があり、血流の促進作用により脳梗塞や動脈硬化のリスクを減らすとともに、冷えや生理痛の緩和にも効果的です。新陳代謝を高める働きがあることから、ビタミンAと同様に肌のターンオーバーを促すので、美肌へと導いてくれます。
ふきのとうの栄養|女性にうれしい効果
ふきのとうには、女性ホルモンの生成に関わるビタミンEが豊富です。ホルモンバランスを整えるので、更年期症状の予防や緩和にもよいとされています。血行を促し、栄養や酸素が全身に行き渡りやすくなることで、美肌にもつながります。
さらに、抗酸化作用や免疫力アップ効果のあるポリフェノール、むくみを解消するカリウム、便通を改善する食物繊維もたっぷり含まれています。
ふきのとうの苦味はアルカノイド、ケンフェール、フキノール酸などのポリフェノール類、香りはフキノリドとそれぞれ独自の栄養素によるものです。苦味成分のポリフェノール類には新陳代謝を活発にして食欲増進や消化促進につながり、フキノリドには胃腸の働きを改善する効果があります。
ちなみに、ふきのとうにはピロリジジンアルカロイド類という天然毒素が含まれています。ただし、この天然毒素は国内での健康被害は報告されたことがないですが、心配ならばアク抜きをすることで減らすことができると言われています。塩をまぶしてから、熱湯で数分間さっと茹でればOKです。
おいしい保存食「ふきのとう味噌」のレシピ
山菜といえば天ぷらにしたり、おひたしやそばの具にしたりといったイメージがありますが、味噌と調理すれば保存食になり、おにぎりやパスタに活用できます。ここでは、野菜ソムリエプロの私がおすすめする「ふきのとう味噌」のレシピを紹介します。ほかの山菜で作っても、独特の苦味や風味を味わえますので、ぜひ試してみてください。
《材料》(作りやすい分量)
ふきのとう…8個(約80g) サラダ油…大さじ1と1/2 味噌…大さじ4 みりん…大さじ2 砂糖…小さじ1
《作り方》
【1】ふきのとうをよく洗い、6〜7mmぐらいの大きさに切る。苦みが気になる人は、ふきのとうを切る前に沸騰した湯の中で1〜2分茹で、水に1時間ぐらいさらしてアク抜きをして、水分を絞っておく。
【2】サラダ油を引いたフライパンに【1】を入れ、しんなりするまで1~2分ほど炒める。
【3】【2】に味噌、みりん、砂糖を合わせた調味料を加えて、3~4分火を入れて水分を飛ばし、好みのかたさになるまで炒め合わせて完成。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ