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《家事や仕事を始めるまでに時間がかかる…》そんな悩み解消に、自律神経の名医が伝授する集中力UPの「ワンツー呼吸法」

スーツ姿で腕組みをした男性
順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんが教える「ワンツー呼吸法」とは?
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毎日のやるべきことをきちんと終わらせたいのに、集中できず、つい余計なことをしてしまって時間ばかりが過ぎてしまう…。誰しもそんな経験があるのではないでしょうか。集中するために、自律神経を整えることが必要だと話すのは、『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(アスコム)の著者で、順天堂大学医学部教授の小林弘幸さん。集中力と自律神経の関係や自律神経を整える方法について教えてもらいました。

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集中力には2種類ある

「集中」と聞くと、とにかく目の前のことに没頭しているようなイメージをもちますが、実は集中力は2種類に分けられるそうです。その2つとは、「短期集中力」と「持続集中力」です。

「アスリートや演奏家らが、ある限られた時間内でパフォーマンスを上げるための集中力を『短期集中力』とするのに対し、私たちが仕事や勉強で必要とする、ゆるやかに長く途切れない集中力は、『持続集中力』と名づけられます」(小林さん・以下同)

日々のタスクを終えるために必要なのは持続集中力

作業をしている途中でついついスマホをチェックしてしまったり、気づいたら別のことを考えていて作業が進んでいなかったり、といった経験は誰しもあると思います。毎日さまざまなやるべきことに追われるなかで私たちに必要なのは、一日のタスクを無事に終えるための安定した集中力です。

スマホをいじる人
持続集中力がないと、集中したいのについつい余計なことをしてしまう(Ph/photoAC)
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「一日のタスクをこなすための集中力を手に入れるためには、まずは自身の状態を『安定』させることが大切です」

持続集中力に必要なのは自律神経のバランスを整えること

集中力に関する悩みで多いのは、「作業を始めるまでに時間がかかる」、「作業の途中で気が散ってしまう」、「疲れやすく、すぐ休憩をとりたくなる」の3つだと小林さんは言います。そしてこれは、自律神経のバランスをコントロールできれば解決するそうです。

「自律神経が乱れると、持続集中力は確実に低下します。これは逆にいうと、自律神経を整えれば、集中力を持続させられるということ。そのためには、交感神経と副交感神経のバランスをいい状態に保ち、心をリラックスさせる必要があるのです」

自律神経は、大きくわけて「交感神経」と「副交感神経」の2つで構成されますが、交感神経が優位になりすぎるとイライラしやすくなり、副交感神経が優位になりすぎるとやる気が減退しやすくなります。

「交感神経と副交感神経の両方が高いレベルでバランスがとれれば、それだけ集中力も高くなり、ハイパフォーマンスを発揮することができます」

簡単にできる自律神経の整え方

集中力はすぐにでも手に入れたいところですが、「まず準備段階として、簡単な方法でできる自律神経の整え方を知っておきましょう」と小林さん。

「集中力を高めるために必須の、モチベーションの上げ方、冷静な思考の手に入れ方を、自律神経の具体的な整え方を通じて実践していくことで、より『集中』に入りやすい状態を作れるはずです」

ワンツー呼吸法

自律神経を整えるために毎日やるべきと小林さんがすすめるのは、鼻から3~4秒ほどゆっくりと息を吸い、口をすぼめた状態で6~8秒かけてゆっくり長く息を吐く「1:2(ワンツー)呼吸法」。ポイントは鼻から息を吸って、口から吐くこと。さらに、次のようなストレッチと合わせて行うと効果的だといいます。

1:2呼吸法のストレッチのイラスト
手首をクロスさせ、息を吸いながら腕を伸ばす(Ph/『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(アスコム)より)
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【1】両手を真上に伸ばして手首を交差させる
【2】息を吸いながら腕を上に伸ばす
【3】息を吐きながら体を右へ倒す
【4】息を吸いながらまっすぐに戻す
【5】息を吐きながら左へ倒す

両手をクロスさせて体を倒すイラスト
息を吐きながら右に倒す。息を吸いながらまっすぐに戻し、反対側も同様に行う(Ph/『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(アスコム)より)
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「この一連の動きを5回1セット、一日1~3セット行いましょう」

サーカディアンリズムの意識

自律神経を整える2つ目の方法は、サーカディアンリズムを意識した生活をすること。サーカディアンリズムとは、生物に備わっている24時間周期の体内リズムのことで、睡眠の周期や体温、ホルモンの分泌、自律神経や免疫系といった要素を調節する役割を持っています。このリズムが乱れると、自律神経のバランスも乱れてしまいます。

「朝日をしっかり浴びて、一日3食をちゃんと摂り、リラックスした状態で入浴をして、寝る前の強い照明は控え、決まった時間に寝ることを心がけましょう」

「香り」も自律神経を整えてくれる

自律神経を整えるには心身ともにリラックスした状態にすることが必要であり、そのために「香り」を工夫するのも有効です。小林さんのおすすめは、アロマやお香をたくこと。人間はいい香りをかぐと交感神経の働きが抑制され、副交感神経が優位な状態になると考えられています。

「アロマやお香以外では、ハーブティーやコーヒーから立ち込める香りをかぐのもOK。また、ガムを噛んで、鼻腔から直接香りを感じるのも効果的です」

寝る1時間半前に入浴する

整った自律神経に重要なのは、良質な睡眠。良い睡眠をとることをサポートしてくれるのが「入浴」です。最も良いのは就寝の1時間半ほど前に、40度くらいのお湯に15分ほどつかること。そうすることで、体の内部の体温である深部体温が上昇します。深部体温が上がった状態から下がった状態へと移行することで、人間は眠気を感じるようになります。

「お風呂から上がった直後は、まだ深部体温は上がったまま。当然、眠気を感じることはありません。しかしそこから1~2時間かけて、深部体温は一気に下がります。すると、眠気のピークが訪れるのです」

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