主に加齢が原因の「加齢黄斑変性」
主に加齢が原因で起こる「加齢黄斑変性」は、目の網膜の中心部にある黄斑部が老化によって変性し、視力が低下したり、ものがゆがんで見えたりといった症状が起こる病気です。
「網膜のなかで視力を司る黄斑部は、細かなものを識別したり、色を見分けたりする働きをしています。特に重要な部分が、黄斑部の中心にある『中心窩』。加齢による変性が中心窩まで及ぶと、日常生活に支障をきたすほど視力が低下してしまいます」
加齢黄斑変性もセルフチェック
加齢黄斑変性についても、片目ずつセルフチェックをしてみましょう。
《加齢黄斑変性セルフチェック【1】》
下記の項目で該当するものがあるかチェックしてください。
・ものがゆがんで見える
・視野の中央がよく見えない
・視野が暗くなる
・ものがぼやける
・視力が低下した
・ものが小さく見える
・色が以前と違った色に見えることがある
《加齢黄斑変性セルフチェック【2】》
上のイラストを目線と平行にして30~40cm離し、片目で真ん中の点を見つめ、どのように見えるかチェックしてください。
セルフチェック【1】で該当する項目があったり、セルフチェック【2】で真ん中の黒い点が欠けて見える、歪んで見える、薄暗く見えるといった状態だったりした場合は、黄斑部の病気が考えられるため、眼科検査を受けるようにしましょう。
加齢黄斑変性の治療法
加齢黄斑変性のうち、日本人に多いのは、通常では起こらない血管(新生血管)が伸びてきて悪さをする「滲出型」のタイプ。滲出型タイプの治療で最初に選ばれるのは、「抗VEGF療法」です。新生血管の発達に関係しているVEGFという物質の働きを抑える薬を眼球に直接注射する方法で、注射は1分ほどで終了するそうです。
「ただし、加齢黄斑変性には再発のリスクがつきまとうのも事実です。定期的な治療が必要となる場合が多いことを忘れないでください」
加齢黄斑変性の予防には酸化防止が大切
加齢黄斑変性には加齢が深くかかわっていますが、野菜不足の偏った食事をしていたり、不規則な生活をしていたり、紫外線を浴びていたり、タバコを吸っていたりするとなりやすくなります。
「抗酸化作用のある栄養素を摂ることも、加齢黄斑変性の予防や進行を遅らせるのに有効とされています。特に、水晶体や黄斑部に存在する成分であるルテインやゼアキサンチンは、光刺激から網膜を守るといわれています」
目の病気を遠ざけるには定期検診が最重要
加齢とともに発症リスクのあがる目の病気ですが、きちんと治療をすれば治るケースも増えています。「肝心なのは早期に発見し、早期に治療を始めることです」と角谷さん。目の病気の場合、初期段階では自覚症状がない場合も多いため、定期的に眼科健診を受け、気になることがあればすぐに眼科を受診するようにしましょう。
「病気が見つかったときは末期状態ということもあるのが目の病気です。くれぐれも手遅れにならないようにしてください」
◆教えてくれた人:株式会社わかさ生活 代表取締役社長・角谷建耀知さん
かくたに・けんいち。18歳のとき、脳腫瘍の大手術によって視野の半分を失う。自身の経験から、自分のように目で困っている人の役に立ちたいとの想いで、1998年にわかさ生活を創業し、目の健康サプリ「ブルーベリーアイ」などを販売。現在は多数の企業や眼科医と連携して、商品の開発・情報発信を行う。著書に『歳をとっても目が悪くならない人がやっていること』(アスコム)、『長生きでも脳が老けない人の習慣』(同)など。https://ameblo.jp/wakasa-president/
◆監修:医学博士・森下清文さん
もりした・せいぶん。医療法人森下眼科理事長・医学博士。大阪医科薬科大学で研鑽を積み、同大学の講師として、白内障、緑内障、眼底出血などの診療と研究に従事。1991年に大阪市北区で森下眼科を開業。1992年4月から「市民健康講座 目の勉強会」を開始。全国各地で啓発活動を行う。https://morishitaganka.net/