つらい経験を経て、家族の絆が深まった
コロナ禍での入院のため、家族でさえ面会することは叶わなかった。そんな淋しい入院中でも、嬉しいこともあった。
「大変だから来なくていいよと言っているのに、旦那さんが毎日、お見舞いを持って来てくれたんです。コロナ禍だったので、直接お見舞いを受け取ることはできません。でも、手術をして2日目くらいかな、ICUから部屋を移動するとき、看護師さんが気を使って、ガラス越しに旦那さんの顔が見えるタイミングを作ってくれました。お互い笑顔で手を振ったりして(笑い)」
食事も立って済ませた
1か月後に退院したものの、傷の痛みは続いていた。座る姿勢がつらく、立つか横になるかの生活が続き、食事も立って済ますことが多かった。
「家族はすごくよくしてくれました。痛くて座れないと言うと、旦那さんは低反発のクッションを何種類も買ってきてくれたり、家事も全てしてくれるようになりました。でも実は、私は長く座っていられないので、立って動いているほうが気が紛れるんです。なのに家事をやらせてもらえない。“いつになったらやらせてもらえるんだろう”ってこぼしたら、横で息子(高校生)が笑っていました(笑い)。
息子は私ががんになってからも普段通りの態度で、そこにも救われました。笑えるテレビ番組をすすめてくれて、食事の時間に家族で新喜劇などを見て過ごしました。笑っている時間は不安を忘れることができました。
食べるのがつらい時があって一口でやめたら、息子に“もう食べないの?”って聞かれて、息子に心配させちゃダメだと思って頑張って食べました。同じことを旦那さんに言われても、甘えて食べなかったかもしれません(笑い)。家族には本当に助けられました」
◆歌手・女優・タレント・立花理佐さん
1971年10月19日生まれ。大阪府出身。1986年にロッテのCMオーディションでグランプリを獲得。1987年1月放送の『毎度おさわがせしますⅢ』(TBS系)にて主演を務め、同年『疑問』で歌手デビュー。現在はラジオ、バラエティーでも活躍中。プライベートでは、2000年に結婚、2004年に長男を出産。2020年に直腸がんと診断され、子宮などの摘出手術を行った。https://ameblo.jp/lisalovers/
撮影/浅野剛 取材・文/小山内麗香