ゆっくりと古都を旅したいなら――「奈良県の中南和エリア」をチェック! 鈴木亮平さんがJR東海「いざいざ奈良」のCMで旅をしていることでも注目を集めています。「仏像にお花、おいしいものと3拍子揃い、海外のかたにはまだ知られていない穴場」だと、奈良に縁のある旅行ジャーナリストの村田和子さんはいいます。女子旅やひとり旅にもおすすめのとっておき穴場スポットを、村田さんが紹介してくれました。
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ゆったり旅を楽しみたいかたにおすすめなのが、飛鳥、藤原、桜井、吉野など、奈良の中南和エリア。京都や奈良市内ほど訪日外国人も多くはなく、これからのシーズンは、季節の花が見頃を迎えます。そして仏像を観るなら、やはり奈良。国宝や重要文化財に指定されている、美しい、あるいは荘厳な仏像が多いのもこの地域の特徴です。
今回は「いざいざ奈良」のCMの舞台となった大和四寺(長谷寺、岡寺・室生寺・安倍文殊院)を参拝し、おいしいものを巡る旅をレポート。古民家を活用したおしゃれなカフェや、気軽に利用できる老舗の食事処など、女性が気になる立ち寄りスポットも必見です。
大和四寺をめぐる?それともお気に入りをじっくり?旅のお供はかわいい御朱印帳
長谷寺、岡寺・室生寺・安倍文殊院は、いずれも創建1200年以上で、国宝や重要文化財の宝庫。そんな四寺を中心に奈良大和巡礼スタンプラリー(https://nara-yamato.com/stamprally/)が実施されています(2026年3月31日まで)。
巡礼札を購入し、大和四寺に奈良県立万葉文化館、なら歴史芸術文化村を加えた6つのスポットを巡ると、四寺の霊木でつくられたご祈祷済みの念珠が授かれ、道中さまざまな特典も受けられます。
ただし私は車で巡りましたが、四寺を結ぶ公共交通機関は必ずしもアクセスがよいとは言えません。火曜日および日曜日には、JR奈良駅、近鉄奈良駅から奈良大和四寺を巡る定期観光バスも運行されているので利用もいいでしょう。また各寺院ともに見どころが多いので、欲張らずに1つのお寺をじっくり、巡礼の場合も1日1か所、あるいは複数の旅に分けるなど、ルールを決めて自分のペースで巡るのもおすすめです。
そして今回、旅のお供にしたのが、かわいらしい鹿の刺繡が施された御朱印帳。なんとこの鹿や御朱印帳の文字は、CMに出演中の鈴木亮平さんが描いた「いざいざ奈良」のオリジナル。愛らしくそして高級感ある御朱印帳(2500円・税込)は、EXサービス会員向けの「旅先予約」で入手できます。
それでは今回訪れた大和四寺の見どころを紹介していきましょう。
平安貴族の御用達「長谷寺」 源氏物語にも登場し花の寺として有名
桜井市の初瀬山に佇む長谷寺は、399段の石段が続く「登廊(のぼりろう)」を、四季の花々を愛でながら本堂へと進みます。ご本尊は十一面観音菩薩立像。高さは10mを越えるということで圧巻です。
源氏物語の第22帖「玉鬘」でも、長谷寺への参拝が描かれていますが、平安時代には「初瀬詣」が貴族の間でブームになるなど古くから信仰を集めているお寺です。
「いざいざ奈良」のCMで私が一番好きなシーンが、凛とした空気の中、読経が響き渡る朝の勤行の風景。実はこちらの勤行は一般の方も参加ができます(入山料500円のみ)。夏場は朝6時半から長谷寺本堂“礼堂”にて行われるので、ぜひ近くに泊まり体験してみてはいかが?
参拝後は、門前町の「白酒屋」で名物の「草福餅」を頂きましょう。CMでも最後にちらっと映っていましたが、店頭では杵で餅をつく様子や、餅で餡を包む工程などを見ることができ、職人技にびっくり。こしあんを包んだ「青(あお)」、粒あんを餅で包み鉄板で焼く「お焼き」の2種があります。迷ったら、両方いただいちゃいましょう!
■長谷寺 https://www.hasedera.or.jp/
厄除けで有名な「岡寺」 シャクナゲや可愛らしい花手水に心癒される
飛鳥の地を苦しめていた悪『龍』を、池の中に封じ込め石で『蓋』をして改心をさせたという言い伝えから、もとは「龍蓋寺」という名だった岡寺。悪龍の厄難を取り除いたことから、「厄除け霊場」として多くの人、特に女性が訪れるお寺です。
ご本尊の「如意輪観音坐像」は、高さ4.85m。建立は奈良時代で、塑像(土でできた仏像)としては日本最大の仏様だといいます。土でできた仏像の精巧さ、1300年以上の時を経て、なお変わらずに佇む姿に心動かされます。
山内には3000株の石楠花(しゃくなげ)が植わり、4月中旬からGWにかけて見頃を迎えます。地元の人が育てた花をあしらった花手水、ゴールデンウイークには山内の池にダリアを浮かべるダリア池も登場。絵になるスポットも多く女子旅にもおすすめです。
■岡寺 https://www.okadera3307.com/
女人高野「室生寺」で国宝・重文の仏像を拝み、地元の山菜料理に舌鼓
女人禁制だった高野山に対して、女性の参拝を受け入れていた室生寺は、女人高野として親しまれています。自然、特に水を崇拝する龍神信仰の霊地であり、樹齢いくばくかという高い木々がそびえ、凛とした張りつめた空気は神秘的な雰囲気。
国宝や重要文化財指定の仏像も多く、本堂の如意輪観音菩薩は重要文化財。金堂には、国宝「釈迦如来立像」を中心に、平安時代の仏像がずらり。
■室生寺 http://www.murouji.or.jp/
室生寺の門前にある、明治創業の老舗旅館「橋本屋」では、日本古来の自然食材を使った、ヘルシーな女性向けのランチ(女性向けスペシャル山菜ランチ 2000円・税別)を頂けます。趣ある施設でゆったりとした時が流れます。
三人寄れば文殊の知恵の「安倍文殊院」 陰陽師・安倍晴明ゆかりの地
645年創建の安倍文殊院は、1300年以上続く祈祷寺で、陰陽師 安倍晴明は、この地で生まれ、天文学などを極め、修行をしたといいます。文殊池に浮かぶ金閣浮御堂は陰陽道に関する宝物をお祀りし、「7まいり」という魔除け祈願の場になっています。
本尊の日本最大の文殊菩薩は快慶作の国宝。文殊菩薩が獅子に乗り、四人の脇士(いずれも国宝)を伴う「渡海文殊群像(とかいもんじゅぐんぞう)」は、説法の旅に出かけている姿だとか。2024年7月から約1年間は、免振工事のため文殊菩薩が獅子から降りた貴重な姿を拝める、またとないチャンスです。
■安倍文殊院 https://www.abemonjuin.or.jp/
旅の拠点は「大和八木」が便利 レトロな今井町の町歩きも楽しんで
今回紹介したスポットを巡る拠点としておすすめなのが、京都駅から近鉄特急で約50分の「大和八木」駅の周辺。大和八木駅は、駅前に最上階のスパから奈良の絶景を眺める「カンデオホテルズ奈良橿原」があり、徒歩10分ほどの今井町は、江戸時代の町並みが残る重要伝統的建造物群保存地区。レトロな風情ある街並みには、町家を改装したカフェなども多く、散策しながらのひと休みもおすすめです。大和四寺への参拝と合わせて、今井町の散策もぜひ楽しんでみてはいかが?
いかがでしたか?私が訪れた3月の平日は、海外のかたの姿もまばらで観光客も落ち着いた感じで、久しぶりにゆったりと古都を満喫できました。
JR東海の「いざいざ奈良」のページでは、他にも奈良の最新スポットや見どころなど観光に便利な情報が満載です。またEXサービス会員向けの「EX旅先予約」では、今回ご紹介した大和四寺の特別プラン(僧侶の案内付きで拝観できたり、特別御朱印が授かれるなど)や、大和四寺を代表する仏像のアクリルスタンドと拝観券がセットになったプランも販売中。
ぜひまだまだ知らない魅力がたくさんある、奈良県の中南和エリアに出かけてみてくださいね。
■いざいざ奈良 大和四寺編 特設サイト https://nara.jr-central.co.jp/campaign/izaiza_yamatoyoji/
■EX旅先予約 https://jr-central.co.jp/ex/travel-portal/
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを
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