電子レンジ・オーブンレンジの不具合。これは、修理が必要な故障なのか、寿命が近づいているサインなのか、それとも使い方が間違っているのか――。なかなか判断が難しいですが、その見極め方、そしてレンジを長持ちさせる使い方を、家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらいました。
電子レンジの寿命は約10年!それ以降も使い続けると…?
まず知っておきたいのが、電子レンジの寿命。田中さんはこう話します。
「電子レンジの寿命は一般的に10年と言われています。電子レンジはマイクロ波を食品に当て、食品内の水分子を振動させることで、摩擦熱で食品を温める仕組みになっています。このマイクロ波を発生させるマグネトロンという部品の寿命が、約10年とされているのです。もちろん寿命は使用頻度によっても変わってくるため、あくまでも目安となります」(田中さん・以下同)
購入してから10年ほど経ち、不具合が出てきても、「まだ使えるから大丈夫」と使い続ける人もいるかもしれません。ですが、それはおすすめできないと、田中さん。
「電子レンジが壊れて使えなくなってから慌てて購入すると、しっかり吟味する時間が取れなかったり、値下がりした買い時を逃してしまう場合があります。また不具合に気づかずに使い続けた結果、発火事故につながるケースもあります。寿命が近づいたサイン、つまり不具合は見逃さず、しかるべき対応を取りたいものです」
寿命が近づいてきているサインとは
「温まりにくさ」は寿命のサイン
不具合のサインとなるのが、次の例です。
「ひとつの目安は、温まりにくさ。以前に比べて温まりにくくなってきたときは、前述のマグネトロンの寿命が近く、マイクロ波が弱まっている可能性があります。
また頻繁に稼働しなくなる場合は、センサーの不具合か、部品の接続不良が考えられます。自分で対処できるか、取扱説明書を確認してみるといいでしょう。それでも直らない場合は故障している可能性があります」
使い続けると危険な症状
そして次のような症状が出たら、使い続けるのは止めた方がいいと、田中さんは警告します。
「いつもと違う異音がしたり、金属が溶けるような異臭がする場合や、食品以外の部分から火花が出るようなときも要注意。使い続けると発火の危険があります。
また、電子レンジを使用するとブレーカーが落ちる場合は、漏電している可能性があり、こちらも火災につながる危険があります。いずれの場合もすぐに使用を中止しましょう」
もしこうした不具合が出たら、どうしたらよいのでしょうか。
「基本的にはメーカーに修理を依頼するのがベターですが、家電は種類に応じて部品保有期限が定められているものがあります。電子レンジの場合、製造終了後8年と定められているため、8年を過ぎている場合は、買い替えになる可能性が高いです」
長持ちする使い方
ただ、少しでも長く使い続けるために、普段からできることはあります。
湯気や、左右上下の物との距離に注意を
「まず、外部からの湿気や熱にさらされると故障につながる可能性がありますので、炊飯器や電気ケトルなど湯気や熱を発するものに気をつけましょう。また本体の上に物を置いたり、背面や左右の壁に近すぎると、放熱が妨げられる場合があります。取扱説明書に従って使用しましょう」
オーブンレンジの場合、レンジ本体の上に付属の角皿などを置いてしまいがち。周辺にも湯気が出るものがないか、チェックしたいですね。
また、温める食材にも注意が必要です。
「たとえば根菜類など水分が少ない食材は、温めると発火のおそれがあり、火花や煙が電子レンジの故障につながることもあります。水分が少ない食材には、水などを振りかけてラップをするなど注意して温めましょう。本来、マイクロ波は食品の水分に反応しますが、対象物がないとマイクロ波が不安定になり、マグネトロンが劣化してしまうことがあるのです」
お手入れも欠かさずに
「そのほか食品から飛び散った油分などを放置しておくとセンサーの反応が悪くなり、適切な温めができなくなる場合がありますので、使用後は必ず濡れたふきんなどで汚れを拭き取りましょう。
スチームオーブンレンジには、庫内の汚れをスチームで浮かせて落としやすくする機能がついたものが増えています。またシンプルな電子レンジなら、ターンテーブル式よりフラットテーブル式のほうがお手入れがラクですし、熱ムラも少ないのでおすすめです」
その例が、次の2点です。