ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子。毎年春になると、“気象病”で体調不良に悩まされるが、今年もやはり…。体調の浮き沈みに翻弄されながらも、桜の景色を見てオバ記者が思いを巡らせたのは――。自らの「顔」に感じる体調の変化について綴ります。
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“花見酒”を楽しむも「健康そうな顔じゃない」
毎年、3月は体調が悪いけれど4月、5月になると復活する、と言っていたけれど、今年は4月にずれ込んだ感じ。
4月に入って最初の日曜日、仕事仲間のSさんが誕生祝いランチをしてくれたのよ。「新幹線が見えるテラス席を用意しました」と指定したのは東京駅すぐ前の常盤橋タワーの2階のレストランでね。東京駅再開発もそろそろ大詰めなのか、常盤橋タワーの目の前では大工事が始まっている。ここから新幹線が見えるのはビルが建つまでのほんの短い間なんだよね。
こういう期間限定って大好き。てか、乗り鉄と同時に“眺め鉄”の私。外から車窓の中を見ながらこの見知らぬ人たちはどこからどこへ向かうのかしら、なんて思いをはせながら箸を動かすのは最高よ。
で、帰りは東京駅から秋葉原までSさんと一緒に歩いたら、通りに人が溢れている。そういえばここはその名も江戸桜通りで桜並木が続いている。
この日は気分が良かったのでシャンパンで乾杯×3回と、2次会で生ビールを1杯グビリとやったからだね。さっそく顔がちょっとばかりむくんでいる。そうなんだよね。最近、自撮りしても顔が気に入らないことが多いんだわ。美醜ではない。健康そうな顔じゃないんだよ。
知人の“偉人伝”のような話を聞きながら“絶景鑑賞”
で、その4日後。今度は26年前に仕事をしたM社のHさんと東武動物公園駅の周辺を“デート”をしたの。当時、Hさんは出産間近。大きなお腹をしていて、「さすがにね」とお酒は飲まなかったけれど、六本木の鳥居坂をスタスタと上がって行く姿のカッコよかったこと! その時お腹の中にいたご子息が今や大学院生だそうな。その昔、秋元康さんが確か「子供がいると時間が形になる」という主旨のことをおっしゃっていて、なるほどなと思ったけど、Hさんが形にした時間もすごいよ。
なんと、出産して2週間後に実家の近くにあった教習所に通ってバイクの大型免許を取得したんだって。里帰り出産で子供は母親がみてくれるって、なかなか思わないって。で、夫はパリ-ダカールのレースに出るほどのバイク好きで、彼女自身も中型バイクの免許を持っていたけど、この子が大きくなったら3人でヨーロッパにツーリングに行こう。そのためには大型バイクに乗り慣れていた方がいいと決めたんだって。そして満を持してこの5月にいよいよ実行するんだって。
こんな”偉人伝”のような話を聞きながら、お散歩する爽快さといったらない。そもそもこの日の目的は私がHさんにおすすめした天然温泉「雅楽の湯(うたのゆ)」に一緒に行きましょうということになったんだけど、「ついでに桜も見に行かない?」と誘われて来たのがここ。
東武動物公園のすぐ横を流れている川岸に菜の花が咲き、桜が両側から川に向かって倒れて、はらはらと花びらを散らしているってね。もう、あまりに出来すぎていて現実味がないくらいよ。「目黒川は大変な人出らしいけれど、ここは人っこひとりいない」とHさんがいえば、「声を張り上げている酔っ払いもいない」と私。なんたってこれだけの絶景を愛でているのは私たちだけで、地元の人は桜には見向きもしないで自転車で走り抜けるし、すぐ近くの小学校の児童は当たり前の顔をして集団下校してるって、もう、あり得ないって。