加速するインフレで何もかも高くなっている昨今、できるだけ余計出費を抑えて、家計に余裕を持たせたいもの。切り捨てられる出費のひとつとして意識されやすいのが趣味にかかるお金ですが、まったくの無趣味も少し味気ない。そこで、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、比較的低コストで楽しめる趣味について教えてもらいました。
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お金をかけずに趣味を楽しむならウォーキングなどがおすすめ
ウォーキングやストレッチ、家でできるマッサージなど、初期投資のかからないものはお金のかからない趣味としておすすめです。特に、こうした体1つでできる運動系の趣味は健康にもいいため、長期的に見ると医療費などの節約にもつながります。
編み物なども初期費用が小さく済む
運動系以外では編み物もおすすめです。かぎ針編みや棒針編みなどいくつか種類はありますが、かぎ針編みであればかぎ針1本と毛糸だけで始めることができます。また、棒針編みなどと比べ、作業の中断や再開がしやすいのも趣味として続けやすいポイントです。
近くに図書館があるなら読書もおすすめ
自宅の近くに図書館があるのであれば、読書も趣味としておすすめです。小さい図書館だとしても、リクエストをすれば近隣の図書館から取り寄せてもらうことができるでしょう。純粋な楽しみとして小説や雑誌などを読むのもいいですし、実用本やビジネス書など勉強になるような本を読むのもいいですね。
教本と問題集で学習可能な資格勉強もあり
このほか、資格勉強もおすすめです。資格取得にはお金がかかりそうなイメージもありますが、学校に通わず、教本と問題集を使って独学で勉強できるものも多くあります。民間資格は費用が高くつくケースもありますが、国家資格であれば5000円~1万円程度で受検でき、教本と問題集の代金を合わせても1万5000円以内に収まるものは意外にあります。
個人的におすすめなのは英検、漢検、数検です。比較的低コストで勉強できますし、実力に合わせて受験する級が上がっていくとモチベーション維持にもつながります。
英語の勉強であればNHKの英語の番組を視聴するのもいいですし、身近に英語を勉強している友人などがいれば一緒に英会話をしてみるとより楽しく続けられるでしょう。また、勉強という点では放送大学の無料視聴もおすすめです。放送大学に入学すると、単位を取るための費用がかかりますが、テレビやラジオで放送授業を視聴するだけであれば無料です。
形から入るタイプは要注意
比較的お金のかからない趣味を紹介しましたが、形から入る人は要注意です。例えばウォーキングであっても、シューズはここのメーカー、ウェアはこれとおそろいにして、などとこだわると初期費用だけで数万円かかってしまうこともありますし、お金をかけたとしても3日坊主で終わってしまう可能性もあります。
今あるもの、もしくは少し足すだけで始められるのがお金のかからない趣味であり、道具にこだわるのなら、趣味としてしっかりハマってからにするといいでしょう。
料理はコスト的にはおすすめしづらい
このほか、お金のことを考えるのであれば、料理は趣味としてはおすすめしづらいです。
節約を考えた料理ならいいのですが、“趣味の料理”となると、珍しい食材や輸入食品を使ったおしゃれなものに挑戦したくなることもあると思いますが、最近は材料費も高騰しているうえ、調理器具やスパイスなどもこだわりはじめると費用がかさんでしまいます。さらにSNSで発信し、食器や調理器具にも見栄えを求めはじめると、家計の負担になりがちな点にも注意が必要です。
洋裁系もお金がかかりやすい
編み物と同じ手芸系でも、洋裁の場合はお金がかかりやすいので注意です。毛糸と異なり、洋裁に使う生地はコストが高いことも多いです。生地だけではなく、生地に合わせた糸や、ボタン、ファスナーといった副資材、はさみやチャコペン、チャコペーパー、裁縫用のりなど必要な道具もあれこれと揃えると、出費も増えがちです。
手芸系の趣味では完成品を売ってお金にしたい、と考える人もいますが、売れるのは一部の人の作品。思ったよりは売れないものと思っていたほうがいいでしょう。
ガーデニングも出費が増えやすい
また、ガーデニングも道具をそろえるのに比較的お金がかかるうえ、土や肥料、種や苗など継続的にお金がかかる趣味です。実益を兼ねた趣味としての家庭菜園なども、本格的になると想定よりお金がかかってしまうことがありますので注意しましょう。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/新藤まつり