足を温めることがさまざまな不調の改善につながると語るのは、のべ8万人の体を見てきた整体師の吉田佳代さん。その効果とケアの方法について、医学博士・医師の白澤卓二さん監修のもと上梓した『不調を解消する すごい足温め』(あさ出版)で紹介しています。足裏と脚を見れば健康状態がわかるという吉田さんに、その著書の中でも紹介している簡単セルフチェック法と不調への対策方法について教えていただきました。
* * *
足を温めることは全身を温めること
なぜ吉田さんが足を温めることを推奨しているのかというと、体の土台である足が温まることで、全身の血流が温まり、内臓が働きやすい環境になるからとのこと。内臓の働きがよくなることで全身が活性化し、不調が改善し、心の調子までよくなることが期待できるのだそうです。
「ふくらはぎは筋肉の伸縮による筋ポンプ作用で血液を心臓へと押し戻すことから、『第二の心臓』と呼ばれています。また、足裏には無数の神経があり、その神経を通じて脳に情報が伝わるため『第二の脳』と表現されることもあります」(吉田さん・以下同)
さらに、「全身の土台」として体を支える足は、健康を維持する大きな役割を担っています。そう聞くと、疎かにしてはいけない部位だという気がしてきませんか?
「足をケアすることで健康な体を手に入れることができると言っても過言ではありません。その最たるものが『足を温めること』なのです」
そこで、吉田さんが教えるチェック方法を試して、自分自身にあった足の温め方を知りましょう。
赤色の足裏はエネルギー過剰のサイン
足裏が赤色のときは、イライラしたり、怒りっぽくなったりするなど、エネルギー過剰で興奮している状態。
「土踏まずが赤い場合は、胃腸が過活動ぎみで炎症を起こしている可能性があります」
足裏が赤色のときは半身浴で温める
このような状態のときは、湯船にみぞおちの下まで浸かる半身浴で足を温めるといいそうです。アロマなど、リラックスできる香りを取り入れて心を落ち着かせましょう。湯たんぽで温めるのもおすすめです。
「全身で肩まで浸かるより体がゆっくり温まるのでのぼせにくく、長めに入浴することができます。毛穴につまった老廃物を押し出して新陳代謝を促すので、肌がツルツルになります」
半身浴のアドバイス
半身浴をする際は湯温を38〜40℃くらいのぬるめに設定し、へそから握りこぶし1つ分くらい上までの量のお湯に浸かります。冷えを防ぐために、上半身は濡らさないようにしましょう。
「汗のかきすぎは疲労や肌の乾燥の原因になるので、はじめのうちは、20分浸かることを目安にしましょう。20分経っていなくても汗ばんできたら、湯船から上がります」
逆に、20分を過ぎても汗をかかない場合も湯船から上がり、様子を見ながら浸かる時間を徐々に延ばしていくのがいいそうです。また、常温のミネラルウォーターか白湯を用意して、随時水分補給も忘れずに。
「血液をサラサラにして血流をよくして、代謝をあげるためにも、入浴の前・中・後に水分を補給しましょう。体形にもよりますが、人が一度に吸収できる水分量はコップ約1杯といわれています。一気に飲むのではなく、時間を空けて水分を少しずつ取るように心がけましょう」
紫色の足裏は血液とリンパの滞りのサイン
血液やリンパが滞って排泄不良の状態になっているときや、肺の働きが弱く、血液中の酸素が不足しているときは足裏が紫色になります。
足裏が紫色のときは呼吸に合わせ筋肉をほぐす
対策としては、深呼吸で酸素を取り込みながら筋肉をほぐし、血流を改善すること。そうすると肺も活発に活動しやすくなるのです。
「ふくらはぎや太ももなどの筋肉を呼吸に合わせて規則的に刺激することで、筋肉がほぐれ、血流がよくなります」
筋肉ほぐしのやり方
ふくらはぎや太ももの筋肉は、適度に動かして血流を維持しないと硬くなって冷えを起こします。すると、血液の温度も低下し、不調につながってしまいます。また、筋肉をほぐすことで、溜まった老廃物によるコリで圧迫された血管が通常通りの働きを取り戻し、足温めの相乗効果が期待できるそうです。
「ほぐすタイミングは半身浴、足湯などで血液、体が温まっている状態で行うのがおすすめです」
ここでは一例として、手のひらで圧を加えて太ももの筋肉をほぐす方法を紹介します。
<太ももの筋肉ほぐし>
【1】あぐらをかいた状態で、片方の内ももの付け根に両手のひらを並べて当てる
【2】息を口からゆっくり吐きながら5秒かけて、上体を前に倒し、手のひらに体重をかけて押していく。そのあと、息を鼻から吸いながら5秒かけてゆっくり体勢を戻す。これを5回繰り返す
【3】両手のひらを少しずつひざの手前までずらしながら同様にほぐし、続けてももの付け根に向かって少しずつずらしながらほぐす。反対側の脚も同様に行う