
年齢を重ねると、これまでのメイクがなじまないという悩みが出てくるのは当たり前。そう教えてくれたのは、『骨格補正メイク「顔の比率」を描き変えて、一生美人!』(主婦の友社)を上梓した美容家・池田曜央子さん。池田さん考案のバランスを補正し、平均値に寄せて印象を激変させるメイク術について、“丸顔”と“面長”の2タイプに分けて教えていただきました。
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丸顔さんのメイク術は足りない縦ラインを補正
顔の比率によってメイクの仕方は変わりますが、主に丸顔か面長かによってメイクで補正する部分が変わります。
「丸顔さんは、顔の縦幅に対して横幅の比率が大きめなのが特徴。顔の横幅に対して、顔の縦ラインが全体的に短く見えるために、幼い印象になりがちです。
さらに、年齢を重ねるとまぶたが下がり、目は理想の比率より縦幅が短い切れ長になり、また鼻骨が平らになってくることで、左右の目頭の間が広い離れ目に見えがちで、顔の横幅が強調される人が多い傾向にあります。これらの特徴をメイクで黄金比に近づけることで、若々しくきれいに見せることができます」(池田さん・以下同)
丸顔は縦ラインを強調しシュッとした美人顔メイク
丸顔さんで切れ長の目は、横幅をさらに強調してしまいます。そこで、中間色のシャドウとマスカラを使って、目を楕円形に近づけながら、濃い色味のアイシャドウで内外にも伸ばして余白を埋めましょう。

【1】アイシャドウは一番薄い色をアイホールに、中間色を目全体が楕円になるように、目頭の上は内側へ、目尻の上は外側へ広めにのせる
【2】一番濃い色のシャドウを二重ラインより広めに、目尻でくの字に折り返してのせ、目の縦幅を強調して“楕円アイ”に補正
【3】ジェルペンシルを使って切開ラインを入れ、目頭を寄せる。最後にマスカラを上下左右に長めに塗り、目を楕円に近づけつつ顔の余白を埋める
鼻と髪も工夫してさらに縦ラインを強調
歳を重ね先端の軟骨部分が萎縮することで、丸っこく見えがちな鼻。そこで、鼻先をハイライトで伸ばし、口に近づけて鼻下を短縮するメイクがコツです。さらに目頭間のくぼみをハイライトでフラットなのっぺり顔に補正することで、垢抜けが叶います。
【1】明るめのハイライトを使い、眉間は台形に、鼻の付け根から鼻先まで細く入れる
【2】部分用ハイライトを目頭間のくぼみに入れて影を消し、コントゥアペンで鼻先のくぼみを強調。最後にもう一度パウダータイプのハイライトを鼻先に乗せて、鼻先を延長する
最後に髪も斜めラインで卵型の頭に補正しましょう。眉ラインで厚く揃えると顔の横幅を強調してしまうので、トップを立ち上げて斜め前髪〜左サイドまでをつなげて縦長感を演出します。
全体的にワックスを揉み込んでから、トップは分け目の右から髪を取り、根本にキープスプレーをつけて立ち上げ、左眉にかけながら丸くつながるように左に流します。右サイドは耳にかけてすっきりと見せることで、輪郭を削りつつ縦長のシルエットが出来上がります。
面長さんのメイク術は余白を埋めるのが大切
面長さんは、顔が間延びして見えがち。そこで、余白を打ち消すメイクをすることで、-10歳に見えることだって叶うと言います。
「間延びした顔の中段や下段から視線をそらし、さらに眉頭を離して暗く見えがちな寄り目の目元を明るく見せるメイクがポイント。前髪をおろして耳横にボリュームを作ることで、頭全体をきれいな卵型にするヘアスタイルもおすすめです」

面長さん×寄り目はシャドウ✕ラインで若見せ!
左右の目頭の間が狭く、寄り目に見えがちなタイプは、目を楕円に補正し、さらに目頭間を明るく広げるのが若く見えるメイクのコツです。
【1】アイシャドウの一番薄い色をアイホールに、中間色を二重幅に長めに入れる。一番濃い色は下まぶたの延長に終点をとり、目の際に入れて横幅を出す
【2】ジェルペンシルを使ってアイラインを入れる。目尻は目頭より上に終点をとり、アイシャドウの一番濃い色を使ってぼかす。マスカラを目尻側が濃く長くなるようにつければ、楕円形のアイメイクが完成
【3】仕上げに明るめのハイライトを目頭のくぼんだCゾーンに入れ、目頭を明るくする
眉毛は描き足して目を離し、髪はボリューム感をアップ
面長さんを寄り目に見せないコツは眉メイクにもアリ。眉頭を離し、眉上を書き足して目頭の間を外側に寄せることで、目と目を離して見せることができます。
【1】目頭の延長で眉頭の位置を決め、はみ出た部分の毛ははさみでカットする。眉毛は毛流れに逆らってはさむのがポイント
【2】アイブロウパウダーの一番濃い色を使い、眉頭を80度倒して描く。眉山に向かって平行になるように眉上を描いて太さを出し、平行眉を作る
最後にヘアスタイルにも工夫を。サイドに広がりを持たせて横幅をプラスすることで、理想の卵型になります。
前髪をおろして横ラインを強調し、さらにボリュームのあるウェーブで顔の横幅を広く見せましょう。顔周りが広がるように毛先を巻くのもおすすめ。パーマを掛けるのも◎です。
アイシャドウ選びのコツ&大人女性のNGメイク
最後に、池田さんに大人女性が“骨格補正メイク”をするときのコツを2点教えていただきました。
シャドウ選びに迷ったら「ベーシックなベージュ系」を
メイクには必需品のアイシャドウ。“骨格補正メイク”をするときに、顔タイプによって色選びは変わるのでしょうか?

「迷ったときは丸顔・面長に関係なく、ベーシックなベージュ系を選びましょう。肌の中にあるような色味で仕上げることで自然に見えます。
ニュアンスカラーのアイラインやマスカラであまり上げずにサラッと作るミュートメイクはたしかに今っぽいですが、大人女性がやってみると、ただでさえまぶたがどんどん下がってきて目の印象が弱くなっているので、全体的に地味になりすぎてしまいます。
ですから、サラッとしたカラーで肌なじみがいいものを使い、ラインや眉毛、まつ毛などは濃淡をつけてキリッと仕上げたほうが若々しくメイクが映えて見えますよ」
大人女性がメイクをするときのNGポイントは?
池田さんは、大人女性は自然な色味を使ってグラデーションで補正するのがよいと強調します。
「たとえばブルーベースの肌の人が、アイシャドウで部分的に青みを入れるのはOKです。ただし、日本人は基本的に黄色人種なので、ブルーベースと言っても奇をてらった色味を大人女性が全体的に使うと浮いてしまうと思います。
“骨格補正メイク”は自分の顔の縦横比によって、メイクで縦横を補正して黄金比に近づけるメイク術です。けれど、目が離れているからといって内側に強調するような目頭切開ラインをわかりやすく入れてしまうと、ギャル感が出てわかりやすい若作りに見えてしまったり、目の形によっては不自然に見えてしまったりすることも。余白を埋めるために、自然な色味を使って補正するのが大人女性にはおすすめです」
◆教えてくれた人:骨格補正メイク専門家・池田曜央子さん

青山学院大学経済学部卒業。建築士として活動後、美容・ファッションを学び、メイク講師の道へ。好印象な美人に近づける“骨格補正メイク”を考案し、1000名を超える女性を劇的に変身させる。一般社団法人日本骨格バランス協会代表理事を務めるほか、池田曜央子メイクアップアカデミーを開講。著書に『骨格補正メイク「顔の比率」を描き変えて、一生美人!』(主婦の友社)。https://ameblo.jp/nyankosan0916/
撮影/黒石あみ、取材・文/イワイユウ